隣の芝生は青いけれど、見ないふりをしています
先日たまたま買い物をしていたら、おしゃれな花屋さんに車椅子の女性が一人で来ていました。小回りの効く車椅子をスイスイと上手に操って、身軽に動いている女性。店員さんと一緒に移動しながらお花を選んでいました。
今の彼はこんな風に身軽に一人で外出するなんてことは出来ません。すごく大きな電動車椅子に乗っていて小回りなんて全く効きません。
車椅子に乗るのも一人では無理で、電動リフトと人の力を借りて乗り移ります。
それでも…
それでも、他の誰かと比べるのではなくて、私たちなりの楽しみを見つけて、幸せに過ごしています。
そう言いたいのだけれど それは嘘です。
それはただの願望であって、まだまだ、たどり着けていないのが現状。
彼と一緒にいて、私は凄く幸せな日々を過ごしています。
でも…
健常者同士のカップルがデートしていても羨ましいと思うことはあまりないのですが、車椅子で自由に動いている人を見ていると、いいなぁと正直思ってしまうのです。
そんなこと思うのは酷いよね。彼には言えない。
どこかに出かけようって話をすると、だいたい険悪なムードになるんです。
僕がどれほど大変なのか、全然わかっていないって感じでね。それでも全然諦めてはいませんが。
YouTube上には彼と同じように障害を持った方の動画がいくつも出ています。彼と同じ頸髄損傷のちんさんもその一人です。家族3人とガイドさん付きの宮古島旅行の動画が上がっていました。
お子さんと一緒に海水浴するサムネにびっくり!!
ちんさんは19歳の時にスポーツ中の事故で頸髄損傷になったとい
う方。今は36歳だそうです。
ちんさんも私の彼と同じC6完全損傷。同じ部分の怪我で障害を負っています。
ちょっとだけ頸髄損傷の説明を書きますね。
私は説明が下手なので、中学生でもわかるように説明してくださいとChatGPTにお願いしました。
同じ部分が神経が障害されているので、単純に考えると同じ症状が出ているはずなのですが、二人は能力や生活状況はまるで違うのです。
ちんさんは自分で漕ぐタイプの車椅子をスイスイ動かせますが、私の彼は無理です。すごく大きな電動車椅子。
彼は長時間座っていると血圧が下がってクラクラしてしまう症状もあるため背もたれが倒れて足が持ち上がる機能のある車椅子を使っています。なので、外出へのハードルがとても高いのです。
一番のハードルは彼自身が基本的にはどこにも出かけたくない、ずっとベッドにいたいと思ってしまっていることなんですけどね。
ここは、そう簡単には崩せないところで、時間がかかりそう。
でも絶対に諦めはしません。
私も彼と旅行したかったなぁって本当は思っています。旅行とまではいかなくてもちょっとしたお出かけでもいいな。生き物が大好きな彼と動物園とか水族館に行ってみたい。
彼のウンチクを聞くことに疲れてしまいそうだけど…
よく彼は虫や魚の生態の話をしてくれるのだけど、毎回私の意識が遠のきます。でもね、生き生きしている彼を見るのは好きなんです。
あぁしたらできるんじゃないか? こうしたらできるんじゃないか?
色々なことを考えてはみるものの、彼の心を動かすことはそう簡単ではありません。
でも、何度も言いますが、絶対に諦めはしません。
30代の頃の彼は、ちゃんと車椅子ユーザーでした。
普通の車椅子に自分で乗って車まで行くこともできました。車にも自分で乗り移れたし、運転もできていました。
病院受診も一人で行けていたし、一人で高速道路を走ることもできて、友達の家に泊りに行くこともできました。
でも、私が知っている彼はずっとベッドの上にいる彼。ベッドで暮らす彼を好きになったのは私なのだから、今の彼のままでいい。本当はそう思うべきなのかもしれません。
障害を負う前の彼には戻れないのと同じように、30代の彼には戻れないのはわかっています。
でも、今と違う景色が見てみたい。
そう思ってしまうのです。
今日はそんな心の内を書いてみました。
お読みいただきありがとうございました。