
「敬神生活」とはどんな1日を過ごすのか?〜後編〜
「敬神生活」とはどんな一日を過ごすのかをご紹介します。後編では、日中の過ごし方から1日のおわりまでをお伝えします。
前編はこちら↓
日中の過ごし方
日中は、どんな出来事も「修行」と考え、自分自身を観察することが大切です。
修行と割り切る
悲しいことに、人の世に生きることは基本的につらいものです。お釈迦さまも「人生は苦である」と説かれました。
生は苦なり、老は苦なり、病は苦なり、死は苦なり、
怨憎するものに会うは苦なり、愛するものと別離するは苦なり、求めて得ざるは苦なり。
地上生活の特徴のひとつは、霊的進化の成熟度が異なる魂が、皆おなじ世界で生きているということです。死後の世界では、霊的進化の成熟度によって住む階層が異なるといわれます。
ではなぜ地上生活は、異なる成熟度の魂が混ざりあって生きているのでしょうか。
もし地上が同じ成熟度の魂だけが住む世界であれば、試練や葛藤の機会は少なくなるでしょう。しかし、現実には未熟な魂と成熟した魂が共に暮らしており、互いに影響を与えながら成長していきます。
未熟な魂は成熟した魂から学び、成熟した魂は未熟な魂を導くことで自己の在り方を深めます。
この相互作用こそが、地上世界における魂の進化を促す重要な要素です。魂が成長するためには、自らの意志で選択し、善悪や真偽を見極める力を養うことが求められます。
そう考えれば、地上生活は単なる苦しみの場ではなく、貴重な学びの場といえるでしょう。困難や試練に直面したとき、それを否定的に捉えるのではなく、自らを磨く機会と受け止めることで、魂の成長につながるのです。
もし地上が同じような成熟度の魂が住む世界であれば、試練や葛藤の機会は少なくなるでしょう。未熟な魂は成熟した魂から学び、成熟した魂は未熟な魂を導くことで自己の在り方を深めます。
太陽を浴びる
太陽の光には、心身を整える力があるそうです。意識して太陽の光を浴びるようにしています。太陽を浴びることでセロトニンが分泌され、心の安定につながるそうです。また、太陽の光には霊的な力があるとされ、朝日を浴びながら深呼吸をすると不思議と落ち着きます。
教派神道の一派、黒住教の教祖・黒住宗忠も、太陽の光の力を身をもって体験しました。重い病にかかりましたが、太陽を浴びて病が治ったと伝えられています。この体験から、宗忠は太陽を神聖な存在と捉え、日拝することを信仰の中心に据えました。
また、古来より多くの文化で「サンゲージング(Sun Gazing)」と呼ばれる太陽凝視の実践が行われています。日の出や日の入りの時間帯に太陽を静かに見つめることで、心を落ち着け、宇宙との一体感を得るというものです。
ちかごろ食欲が減ってきたのは、サンゲージングの効果なのかも知れません。家族に「最近、お腹出てきた?」と言われたからではありません。
セルフ人間観察モニタリング(思考・言葉・行動に注意する)
言葉や行動だけでなく、心の中の思考も清らかであるよう努めます。しかし、これはかなり難しい!少し気を抜くと、つい忘れてしまいます。
大切なのは、自分をどれだけ客観的に見つめられるか。そのためには、定期的にホッとする時間を持つことが効果的かもしれません。
また、自分の言動や思考を観察し、その気づきを記憶しておくことも必要です。一日の終わりには、その記憶を振り返り自分自身を点検する。この習慣を続けることで、より良い自分へと近づいていけます。
一日のおわりに
夜は一日の振り返りと、心を鎮める時間をとります。
神棚に手を合わせる
一日を終え、無事に帰宅できたことに感謝します。何事も「当たり前」ではなく「有り難い」「お陰さま」と思えるようになりたいです。
お風呂に入る
お風呂には、単に体を洗う以上の意味があるのかも知れません。水の力で穢れを祓い、新たな気持ちで明日を迎える。そんなことをイメージしています。
ダウンタイムをとる
意識的に「何もしない時間」を設けています。静かな時間を持ち、心を落ち着ける。特に繊細な気質の方には大切だと思います。できれば一人になりたいです。
夢の解釈をする
朝に記録した夢を振り返り、そこに込められたメッセージを読み解きます。夢の解釈にはベティ・ベサーズの著書「ドリームブック 夢辞典(改訂増補新版)」がおすすめです。
「日々の内省」をする
今日一日にあったことをすべて思い出します。一つひとつの出来事をもう一度見つめ直します。この時、自分自身や誰かを責めることなく、客観的な第三者の目で見つめることが大切です。
瞑想をする
心を静め、神さまに同調する時間です。息を吐く、息を止める、息を吸うことに意識を保ったり、光に包まれていることをイメージしたりします。
〜補足〜
ひとり会議
「日々の内省」に加え、週に一度はじっくりと、自分だけの作戦会議を開きます。一週間を振り返り、良かった点・改善すべき点を整理し、次の一週間の目標を立てます。
眠られぬ夜には
瞑想したりダウンタイムをとっても、心がざわついて眠れないことがあるかもしれません。そんな夜には...
スイスの哲学者カール・ヒルティーは、著書「眠られぬ夜のために」の中で、 眠れない夜を苦しむのではなく、「魂の目覚めの時間」と考えるべきだと説いています。
夜は静寂に包まれ、日中には気づかなかった心の奥の声が聞こえてくる時間です。
ヒルティーは、眠れない夜には祈りや良い書物(哲学や宗教、道徳に関するもの)を読むこと、自分の行動や生き方を振り返ることを勧めています。
まとめ
敬神生活とは、日々の出来事を学びの機会とし、心を磨く生き方です。小さな実践の積み重ねが、やがて大きな変化になるはず。日常の一つひとつを大切にしながら、自分を高めていきたいです。
日中は自己観察と修行の時間
・困難も成長の機会と捉え、自らの在り方を見つめる
・太陽の光を浴び、心身を整える
・言動や思考を観察し、より良い自分を目指す
一日の終わりは心を鎮める時間
・神棚に手を合わせ、感謝の心を持つ
・お風呂で穢れを祓う
・ダウンタイムで心を落ち着ける
・夢の解釈や瞑想を通じて、内なる声に耳を傾ける
補足
・週に一度の「ひとり会議」
・眠れぬ夜は「魂の目覚めの時間」とする