藤田さんちの本棚紹介 #12
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は平安時代の人が着て、見ていた色の本をご紹介。
有職の色彩図鑑
由来からまなぶ日本の伝統色
有職は「ゆうそく」と読み、
公家・武家などの行事、儀式、官職等に関係する知識と、それに詳しい者のことを指します。
「有職の色彩」は、「貴族たちのまとう装束に、どのような色を用いるかを示したもの」ということになります。
装束に使われる色、重ねの色目
著者の八條氏は、『有職装束大全』なども記されている方で、
本書はそこから色彩を重点的にまとめた本になっています。
6章構成になっていて、それぞれで染色・表裏の重ねの色目・衣のかさねの色目・織色・緂の色・位当色が紹介されています。
染色
この章では、染色で作られる色を単色で見ていく章。
色名と一緒に、素材や染めた糸や布の写真が美しく配されています。
どのような扱いの色で、どういう由来があり、どのように染めるかが簡潔にまとまっています。とても読みやすい!
表裏の重ねの色目
古来の絹布は薄く下地の色が透けるのですが、それをあえて楽しんだのがこの「表裏の重ねの色目」。
四季に合わせた配色が紹介されています。
「表○○ 裏●● 」という形の表記で、○○ / ●●の部分に色名が入ります。
衣のかさねの色目
こちらは十二単のように複数枚の衣を使った配色が紹介されています。
「そういう組み合わせがあるのか!」と、読んでいてワクワクドキドキする章です。
織色 / 緂の色
織色は、織物にする時に「タテ糸」と「ヨコ糸」の色を変えることで作る色のこと。
光の具合で、タテとヨコの色が煌めて見えるという特色があるのですが、印刷では100%堪能できないのが惜しいところ。
緂の色は、白を基調に有彩色を段だらにしたグラデーションのこと。
有彩色の間に白が必ず挟まる配色って、普段見ないので新鮮でした。
位当色
位や身分を表す色が、どのような変遷をたどったのかが分かる章。
日本史で学ぶ『冠位十二階』が起点となっていて、
これがどのような変わっていったのかを学べるようになっています。
読み応えある一冊
写真も美しいし、色見本も発色良いし、内容も充実していてとても読み応えのある一冊です。B5サイズの大きさも持ちやすくて心地よいです。
日本の伝統色に興味がある方は、ぜひ読んでみてください!