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日経学会に参加してきました!①【 新入編集部員の日記 #10 】

前回の記事(#9)はこちら!

皆さん、こんにちは(こんばんは)!経済編集部のSです。

9/16(土), 9/17(日)の2日間、日本経済学会秋季大会(以下、日経学会)に編集長とともに参加してきました!今回の日経学会は完全対面での開催ということもあり、たくさんの方々との交流がありました。

編集者として学会に参加するのは初めてで、編集長についていくのに必死でした。今回は日経学会1日目にあった出来事を(私の視点から)振り返ります。

※チャールズ・ユウジ・ホリオカ先生による会長講演の模様は、次回の記事で受賞講演とともにまとめて書く予定です。


■ 灼熱の日経学会

日経学会の会場となった関西大学千里山キャンパスのある吹田市の気温は34℃でした。上記の𝕏の投稿通り「灼熱」でした。

(私は当日現金での支払いをしないといけなかったのですが、恥ずかしいことにキャンパスに入ってから現金を持ち合わせていないことに気づきました。炎天下の中、ATMに行くため関大の長い階段を2往復することになり、開会前に体力を半分くらい消耗しました。)

主に2つの校舎でセッションが行われていましたが、校舎間の行き来で外に出るたび汗だくに…。先生方には見苦しい姿でご挨拶してしまいすみませんでした…。


■ 日経学会の目的

書籍・雑誌編集者が学会に参加する目的はいくつかあります。個人的には次の3つがあると考えます。

  • 発表・セッション・講演を聞き、読者の興味・関心が高そうなトピックをみつけ雑誌や書籍の企画につなげる

  • すでに書籍・連載等でお世話になっている先生方にご挨拶する

  • 初対面の先生方にご挨拶し顔と名前を覚えていただく=”将来の著者”を見つける

今回の日経学会も、個人的には上記3点を念頭に参加していたつもりです。

1点目は雑誌・書籍づくりに直結する大事なポイントです。実際、日経学会でのセッションの内容をもとに『経済セミナー』の特集や書籍をつくることは多々あります。

特に日経学会の場合、企画セッションで画期的あるいは先進的な内容を取り上げており、読者の皆様に需要があるコンテンツにつながることがしばしばあると感じます。

2点目や3点目はやや営業・ビジネス的な観点です。いわゆる「挨拶回り」的な側面があり、一見無駄が多いようにも見えますが、私はこれらの点も大切にしています。

なぜなら、編集・出版の仕事は人(特にここでは著者)とのつながり・信頼関係で成り立っているからです(もちろんあらゆる仕事において人とのつながりは大切ですが)。

この業界に入って強く感じていることの1つが、本はただ作って終わりではないということです。

改訂をしていただいたり、違う企画でまたご寄稿いただいたりと、著者の先生方とのお付き合いは長く続きます。

研究でお忙しい中、時間と労力を割いて弊社の記事や書籍を書いてくださっている(あるいはこれからしてくださる予定の)先生方に対して、できれば直接顔を合わせて感謝と御礼を申し上げたいと私は思います。

また、仕事・研究に限らず互いの近況を話し合うなど、カジュアルなコミュニケーションもまた大切だと思います。

なんでもない会話から企画や本が生まれることもありますし、原稿が書けない時に著者の皆様とコミュニケーションをとり支援をする上でも、信頼関係がなければ難しいと(周りの編集者をみていて)思います。


■ セッションの報告内容など

■ 経済学の社会実装の実践

午前はこちらの企画セッションに参加しました。
サイバーエージェント、エコノミクスデザイン、UTEcon、ナウキャスト、エビデンス共創機構など、経済学を積極的に事業に活用している企業・団体による企画でした。

「経済学の売り方」という言葉が特に印象に残りました。「経済学の知見をビジネスにする(お客さんに対する「売り物」にする)にはどうしたらよいか?」 この問いに対する登壇者の皆様の議論が個人的に興味深かったです。

「面白い論文・画期的な研究」だけでは売れない(需要に結びつかない)
→もっと一般的で顧客に刺さるテーマでセールスしにいく
(例:「EBPM・DXでお困りごとはないですか?」)

「顧客課題から入ること」、そして「経済学との親和性が高い切り口でテーマを設定すること」などは私もかなり勉強になりました(経済学雑誌・書籍の出版も広い意味で「経済学」を売り物(コンテンツ)として商売を成り立たせないといけないなと感じるので…)。

特に印象に残ったのは辻中仁士さん(ナウキャストCEO)のご発言です。「経済学にはマネタイズしやすい分野とそうでない分野がある」というお話は、踏み込んだ話題でありつつ、実際たしかにそうだよなとも思いました。さらに、辻中さんからはサイバーエージェントの方に向けて「ぶっちゃけた」質問もされていました(ここでは言わないでおきます)。

このように、本セッションは研究発表とは大きく性質が異なる一方で、ビジネスの世界に身を置く皆様から忖度のないお話を聞くことができる貴重な機会であったと感じています。


■ ポスター発表

午前のセッションを終えたのち、次はポスター発表を見に行きました。
日経学会では、主に博士課程の大学院生の方々がポスター形式で自身の研究を発表します。将来の「研究者の卵」が一堂に会する場とも言えます。

今回のポスター発表では、私の知り合いも含めてたくさんの方が発表しており、主にミクロの実証研究のエリアを見て回りました。

時間の関係でポスター発表は一部しか拝見できなかったのが残念です。

博士課程の学生や若手研究者の皆様ひとりひとりが必ず持っている「芽」を見逃すことなく、いずれ大きく花が開くよう編集・出版という形でお手伝いしていきたいと思います。

■教育・家計セッション

午後は、乾友彦先生が座長を務める教育・家計セッションの発表を拝聴しました。

私は大学院で教育経済学の実証研究に取り組んでいたので、どの報告も興味深く拝聴しました。印象に残ったのは、赤林英夫先生(小野塚祐紀先生の討論者)のコメントです。

小野塚祐紀先生の大学入試に関するご研究は、データの構造が複雑でした。これに対して赤林先生は図を作って正確にデータ構造を把握し、適切なコメントをされていました。

実証分析を高い解像度で理解しフィードバックする方法のお手本のような発表を見ることができました。

また、私自身もフロアから質問させていただくなど、興味関心を持ってこのセッションの発表を聞くことができ素晴らしい時間になったと思います。


■ 憧れの先生方との交流

野球少年が本物のプロ野球選手に会ってうれしく思うのと同様に、経済学を学ぶ大学院生の大端くれだった私も、論文や本でしか見たことがない先生方と直接お会いすることができ大変感激しました。

上記の𝕏の投稿にあるように、今回十分準備していったはずの名刺がなくなるくらい数多くの先生とお会いしました。

先生方と直接交流させていただくことを通じて、仕事に対する私のモチベーションはかなり高まりました。「憧れや尊敬の対象であった人と一緒に仕事をして経済学界に貢献している」という実感を得たのでした。

一つ印象的だったエピソードがあります。

関西大学のキャンパス内で目的のセッションの会場に向かっている途中、道に迷っていた方に声をかけられました。ちょうど同じ棟のセッションに行くとのことだったのでご案内したのですが、名札をみると見覚えのある名前。
その方はなんと私が修士研究の参考にしていた論文の著者の方でした…!まさかこんな形でお目にかかるとは思いもしなかったです。

先生方との交流については次回の記事にも書こうと思います。


■ 日経学会のウラ話

ある先生は、ご挨拶したときテニスラケットをお持ちでした。その後、私は1日中「学会なのになぜテニスラケットを持ってきているのだろう…?」とずっと気にかかっていました。

実は、日経学会が終わった後、テニスやフットサルなどのスポーツを楽しむのが一部の先生方の間で恒例になっているとのことでした(しかも編集長や編集部長は、昔フットサルに参加していたとのことでした…!)。

暑さにやられ、編集長についていくことで精一杯だった私は、先生方のバイタリティに驚かされました。裏を返せば、学会もスポーツもどちらもエネルギッシュに取り組むことができる体力や気力があるからこそ研究でたくさん成果を出すことができるのかもしれません。

また、こうした研究者間のネットワークが学会だけでなくスポーツなどの活動を通じて形成されているのも素晴らしいことだと思いました。

(次回は私も参加できるように準備しておきます…。笑)

次回は日経学会2日目の様子を中心にお届けします!


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経済セミナー編集部
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