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「経済政策〇〇兆円」とは何か?

近頃のニュースで「補正予算案」というワードを耳にすることが多くなった。昨日、衆議院で補正予算案が可決し、本日参議院で可決される見通しだ。

「補正予算案」とは何か?

「予算」とは国が1年間の経済政策のために使う予定の費用の事だ。これは、毎年3月末に決定される。

そして「補正予算案」とは、その名の通り、この「予算」の「補正」だ。年度途中に、著しい社会情勢の変化、突発的な自然災害対策など、新たな財政需要が発生したときに編成される

今回、予算が補正された理由は当然、新型コロナウイルスの影響によるものだ。予算が決まるのが3月末だったので、その頃の状態を考えると、予算が決定した直後に補正予算案を考える、という流れである。

「補正予算案」が決定するまでの流れ

今年度の予算は102兆6580億円だった。8年連続で過去最大を更新しているようだ。

昨日の記事によると、「今年度の補正予算案は117兆円に上る緊急経済対策」と書かれている。当初の予算額の約102兆円に加え、117兆円という大規模の緊急経済対策だ。

しかし、ここまで至る途中、別の案があった。それが「緊急経済政策108兆円」だ。

当初の緊急経済対策は「低所得世帯に30万円の現金給付」といった政策や、個人事業主などを補償する持続化給付金などによるものだった。

しかし、当初予定されていた「低所得世帯に30万円の現金給付」の対象となる条件がややこしく、国民からも批判をくらった。そして政府は、この政策を撤回し、国民一律一人10万円支給する「特別定額給付金」となった。

当然この補正予算案は組み直さなければならない。そして、補正予算案の閣議決定をやり直すのは初めてとなった。

ところで108兆円の経済政策とはどれくらいなのだろうか。東日本大震災の時は約20兆円、リーマンショックの時は約57兆円と考えると、今回の緊急経済対策は相当な規模だ。他国と比べても最大級である。(緊急経済対策の額は補正予算案の額)

しかし、これにはカラクリがあり、「見掛け倒し」と言われている。それはなぜか。

「緊急経済対策に向けた補正予算案」の実態

例えば、108兆円のうち20兆円は、昨年の12月に策定された経済対策の未執行分なので、新型コロナの経済対策とは関係ない。

また、資金繰りが厳しい企業の納税や社会保障費の猶予は、いずれ納めなくてはならないため、結局のところ政府にお金が戻ってくる。

こういった現状を踏まえると、新規の財政支出(真水)は108兆円のうち、19.1兆円にしか及ばないのだ。しかも、この中には「GO TO キャンペーン事業」など現時点で絶対に必要か定かでない政策も含まれている。

国民の補償を手厚くし、命を守る事が第一優先なのに、こんな政策に数兆円注ぎ込まれているとは信じ難い。

一律一人10万円支給する特別定額給付金の実施により、緊急経済対策は最終的に117兆円となった。このうち、特別定額給付金は総額12兆8803億円にあたる。

117兆円のうち、コロナ対策による新規の財政支出(真水)は約25兆円にしか及ばない。

まとめ

最初の感想。数字がたくさん出てきてややこしい。ここまでの流れを整理すると

①3月末に決定される2020年度予算案とは別の補正予算案がある
②補正予算(緊急経済対策)は、当初108兆円だったが、政策が変わり、117兆円に引き上げ
③この金額は世界と比べてもかなり規模が大きいが、実際に政府が国民に放出する額は25兆円程度にしか過ぎない

緊急事態宣言も一ヶ月延長する、ということで、特別定額給付金も10万円だけでは足りない気がする。それに加えて低所得者の補償をもっと手厚くする動きも見えている。そのため、補正予算は更に増えるだろう。

また「117兆円ってすげー」で終わらず、実態を知ることによって、政府の見方は大いに変わっただろう。逆に言うと、実態を知らない人は「日本が凄い」と見えてしまうのだ。数字は中身よりもインパクトが人を動かす…

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