外出禁止でも二週間で感染者数10倍以上ーカリフォルニア州の状況
まずは、僕が今住んでいるカリフォルニア州で新型コロナがどのように広がっているのか、そして、どのような対応が取られているのかを、かなりハイレベルでご紹介したいと思う。
カリフォルニア州における感染者数・死者数の推移
僕は3月10日からカリフォルニア州における新型コロナのデータを集めて、自分のエクセルに集計している。
これはかなり怪しい行為だと思われるかもしれないとの自覚もあるし、事実、家族からはそのように思われている・言われてもいるが、元を辿ると、どの程度のリスクがあるのかを把握したうえで家族の行動の安全性を考えたい、という親心から始まった取組みであることを断っておきたい。
というごたくはさておき、とにかく、3月10日からのデータが手元にある。カリフォルニア州における3月10日から4月4日までの累計感染者数(左軸)と死者数(右軸)は以下のグラフの通りとなる。
<カリフォルニア州における累計感染者数と死者数の推移>
僕がデータ収集を開始した3月10日時点でのカリフォルニア州における感染者数は153人、そして、シリコンバレーなどを含むサンフランシスコ周辺(以下ベイエリアという)の感染者数は93人だった。
そして、ここから一週間が経過した3月17日時点で、カリフォルニア州における感染者数は617人(3月10日比+464人)、ベイエリアでは326人(同+323人)であった。
外出禁止令が出されてから
この3月17日時点で、ベイエリアではShelter in Placeと呼ばれる外出禁止令が出されている。繰り返しになるが、この時点でのベイエリアでの累計感染者数は326人である。
この二日後、3月19日に外出禁止令の範囲がカリフォルニア州全体に拡大された。3月19日時点でのカリフォルニア州の感染者数は1,008人(ざっくり一日100人強増えるペース)、ベイエリアでは463人(同50人強)であった。
これ以降、カリフォルニア州では原則として外出が禁止が継続されている。詳細は別途まとめてご紹介できればと思うが、学校は休校、仕事は原則テレワーク、生活に必要と判断されるお店以外は休業、といった様子で生活が回っている。これに違反することは軽犯罪に該当して罰金(400ドル、約4万円)を支払わされるので、いわゆる外出自粛とは異なり、強制力を伴ったものである。
さて、このような対応が継続されているカリフォルニア州が今どのようになっているのだろうか。この記事を書いている時点での最新データ(4月4日時点)では、カリフォルニア州での感染者数は13,765人(ざっくり一日1,000人強増えるペース)、ベイエリアでは3,440人(同200人強)となっている。
つまり、外出禁止令を出してからカリフォルニア州全体では約14倍、ベイエリアでは約11倍になったということである。
外出禁止令の”効果”
これをどう考えればよいのだろうか。
実際にカリフォルニア州、そしてベイエリア(の比較的へんぴな所)に住んでいる感覚としては、少なくともベイエリアではかなり迅速に外出禁止が実行に移され、そして、しっかりと履行されている印象がある。
ロサンゼルスなどの大都市では一部の人々が外出禁止令が出された後もビーチなどに出掛けていたことで問題にもなったが、これは世界のどこでもある程度発生してしまう事態の範囲内だったように思う。
従い、外出禁止令は実施されており、人々もそれを精一杯守っている。なのに、外出禁止令が出されてからの二週間あまりで感染者数が10倍以上になっている、ということである。
これは、外出禁止令の効果がないということなのか。
断じて違う。
感染者数が10倍以上になってしまっているが、逆に言うと、10倍程度に抑えられていると考えるべきなのだと思う。新型コロナはそれほどタチの悪いウイルスなのだ。
こちらは一週間以上も前のデータを基にした資料であり、紹介するのもやや恐縮だが、カリフォルニア州とニューヨーク州の感染者数の推移を比較したものである。
これを見ると、感染者数の拡がりのどの段階において外出禁止(Shelter in Place)を発出したかで、ニューヨーク州とカリフォルニア州で明確な状況の違いに繋がっていることが分かると思う。
もちろん、ニューヨークとカリフォルニアの状況を単純比較するのが正しいとは思わないし、外出禁止令を出したタイミング以外にも様々な要因があるはずである。
例えば、ニューヨークの方が人口密度が高いし(ニューヨーク州は一平方キロ当たり1,090人、カリフォルニア州は651人)、地下鉄を中心とした公共交通機関の利用も多い、そして、寒い(新型コロナの感染力との相関は未だ不明だが、ウイルス一般は寒い方が感染力が強いとされている)。
しかし、一方でカリフォルニア州の方が人口が多い(ニューヨーク州は1,954万人、カリフォルニア州は3,596万人)などという、カリフォルニア州にとって不利な点もある。
とにかく、カリフォルニア州はかなり早い段階で外出禁止令を出したにもかかわらず、二週間で感染者数が10倍以上になっている。アメリカにおいては、これでも新型コロナ対策が非常にうまくいっているエリアと評価されてすらいる。新型コロナはそれほどの脅威になってしまうものなのだ。
参考までになるが、これを書いている時点で僕が確認できている最新である4月5日午後10時時点での情報(ソース:日本経済新聞)に基づけば、東京都の累計感染者数は1,033人、大阪府で408人、神奈川で264人、千葉県で261人、兵庫県で203人、という感じである。
皆さま、仕事や学校など、様々な事情がおありだと重々承知しますが、ご自身、ご家族、そして周りの方々を大切にされるご判断をされることを切に祈っています。
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