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真葛さんの物語

初めてこの地に来た時、なんて寂しい所だろうと思った。
何しろ自分が生まれ育ったのは花のお江戸のど真ん中だったのだから。
一歩外に出れば人も多く賑やかで異国の珍しい文物だって見聞出来た。
それに比べてここは‥。
しかし、暮らしていくうちに、この地にも良い点が多いことに気付く。
例えば、夫が持って来たこのお煎餅一つにもとても面白い物語があるのだ。
舅姑を養うために嫁が作ったという、このお煎餅には彼女の法名である“紅蓮”と付けられているのだ。
他にも海漁の様子、風光明媚な島々‥。
優しい夫と素直な継子たちに囲まれ、今、私は楽しく安らかな日々を過ごしている。

#歴創版日本史ワンドロワンライ · 2020年2月29日参加作品。
お題:東北。仙台に暮らした江戸時代の女性文人 只野真葛さんについて書きました。彼女は「赤蝦夷風説考」の著者 工藤平助の娘です。

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