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【経理】メーカー経理で気付いた5つのポイント

※本ページはプロモーションを含みます。
経理マンXです。
今回はメーカー経理を経験して感じた実務のポイントを紹介します。
自分自身は経理って何をするの?という状態で配属を迎えてしまったので、大学生の方やこれから経理をやる予定の方の参考になればと思います。



メーカー経理が知っておくべき5つのポイント

これからメーカーに入社し、経理部門で働くことになる皆さんに向けて、私が実際に経験した「覚えておくべきポイント」を5つ紹介します。
私自身、新卒でメーカーに入社し、経理部に配属されたときは、多くのことを試行錯誤して学びました。
この経験を、少しでも皆さんの参考にしていただければと思います。
これから説明するポイントは、経理の基本を理解するだけでなく、メーカー特有の業務にどう対応するかを考えるうえでも役立つはずです。


① 工場の存在が想像以上に大きい

メーカーにおいて「工場が重要」というのは当然のことですが、実際に働いてみると、その影響力が想像以上に大きいことに気づきます。

  • 工場はメーカーの命
    工場が停止すると、製品が作れず、会社全体に大きな影響を与えます。
    工場長はその工場のトップであり、現場では社長以上に影響力がある存在と見られることもあります。(雑に表現すると工場長は神)

  • 経理にとっても工場は要注意
    工場の締めが遅れると、本社の経理業務にも大きな影響が出ます。
    工場の数が多いほど、その管理や調整が重要になります。
    例えば、工場の締めが1日遅れると、本社の締めも遅れるといったことがしばしば起こります。
    これが海外に工場を持っている場合だと尚更で、海外のスタッフは国によって緊張感などにも違いがあり、対応に時間がかかるケースもあります。

まとめ:工場の動きを理解し、スムーズな経理業務が進むよう、常に意識しておきましょう。


② 原価計算はシステムに助けられることもある

メーカー経理といえば「原価計算が重要」というイメージがありますが、実際には会計システムが大いに助けてくれるため、全てを自分で計算する必要はない場合もあります。

  • システムの強力なサポート
    会計システム(SAPなど)は、原価差異などを自動的に計算してくれるため、詳細な原価計算に精通していなくても問題なく仕事を進められます。
    ただし、基本的な知識はもちろん重要です。

  • 専門チームの存在
    大手メーカーなどでは、原価計算を専門に扱うチームが存在することもあります。
    そういった環境では、より高度な原価計算の知識が求められることもあります。

まとめ:原価計算にこだわりすぎず、幅広い知識と柔軟な対応力を持つことが大切です。


③ 様々な部署と連携が必要

メーカーの経理業務では、社内の様々な部署と連携して業務を進めることが多くあります。
数字を見てそれでハイ、終わり!というわけにはいきません。

  • 生産技術部やR&D部門との連携
    例えば、原価に関しては生産技術部に、研究開発費についてはR&D部門に問い合わせることが必要です。
    また、親会社として経理を担当するなら、子会社の経理に関する質問も頻繁に発生します。

  • コミュニケーション力の重要性
    経理という仕事においても、実はコミュニケーション力が重要です。
    数字だけでは理解できない背景を各部署の人に聞き出し、全体像を把握する力が求められます。
    複雑な交渉ではなく、明確な情報が欲しいことが多いので、難しく考えすぎる必要はありません。

まとめ:多くの部署と関わるので、情報を的確に引き出す質問力を身につけましょう。


④ 「今までのやり方」が重視されがち

メーカーでは、変化を嫌う傾向があります。
特に製造業では、過去の実績や慣習が重視され、効率化の提案がすぐに受け入れられるわけではありません。

  • 変化に慎重な理由
    製造業では、これまでの積み重ねが品質や安定性を支えているため、変化に対して慎重になりがちです。
    「今までのやり方で問題ないのに、なぜ変える必要があるのか?」という反応をよく目にします。
    もちろん、これも正しいことで、製造のプロセスならずっと同じ方がミスは少ないでしょう。

  • 経理業務でも非効率な部分が残る
    経理の現場でも、慣習的に行われている非効率な作業が少なくありません。
    効率化を進めようとすると、思った以上に抵抗があり、変革には時間がかかることも多いです。
    ただし、今の時代はDXも叫ばれ、非効率を減らそうという試みが多くはなっているはずです。

まとめ:変化を進める際には、現状維持を望む声があることを理解しておくと、スムーズに対応できます。


⑤ 本社と工場の意見対立があることも

メーカーには複数の工場がある場合が多く、その中で本社の意向と工場の意向が食い違うことがあります。
この対立構造は、メーカー特有の問題とも言えます。

  • 工場ごとの序列が存在する
    工場が複数あると、会社の戦略によって優先される工場とそうでない工場が出てきます。
    拡大が進む工場もあれば、縮小する工場もあり、それによってリソースの配分が変わります。
    これにより、設備投資などの稟議が通る工場と通らない工場が出てくることがあります。

  • 全体最適 vs 部分最適
    本社は会社全体を見渡して判断しますが、工場側は自分の工場の最適化を優先します。
    ABCと3つの工場があるなら、A工場の工場長は他のBやCの設備投資の詳細よりも自分たちの工場のことを考えるというイメージです。
    このため、両者の意見がぶつかることがあり、調整が必要です。

まとめ:本社と工場の利害対立が起こることを理解し、状況に応じて柔軟に対応できるようにしましょう。


以上が、メーカー経理に配属されて気づいた5つの重要なポイントです。
これらを事前に知っておくことで、入社後の混乱を減らし、スムーズに仕事を進めることができるはずです。
自分の経験が、少しでも皆さんの役に立てば幸いです。

メーカーの経理に限定した本はなさそうなので、下記の本を紹介

おまけ
SAPについての補足

SAP(Systems, Applications, and Products in Data Processing)は、ドイツのSAP社が提供する統合業務ソフトウェアである。
特にERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務システム)として広く認知されており、その中でも会計システム(財務管理モジュール)は、多くの大企業で使用されている。
SAPの会計システムは、複雑な業務プロセスを効率化し、企業全体の財務状況を一元管理できる点が特徴である。

SAPの会計システムの概要
SAPの会計システムは、財務会計(FI: Financial Accounting)モジュールと管理会計(CO: Controlling)モジュールを中心に構成されている。
これにより、企業の財務データやコスト管理が効率よく行われる仕組みである。

  1. 財務会計(FI: Financial Accounting)モジュール
    FIモジュールは、外部の利害関係者向けに企業の財務状況を報告するために使用される。企業の財務データを一元管理し、財務諸表を作成するためのデータを提供する役割を担っている。
    主な機能は以下の通りである:

総勘定元帳(GL: General Ledger):企業のすべての取引を記録・集計し、財務諸表作成に必要なデータを提供する。
買掛金管理(AP: Accounts Payable):サプライヤーへの支払いや請求書の管理を行う。
売掛金管理(AR: Accounts Receivable):顧客への請求や入金管理を行う。
固定資産管理(AA: Asset Accounting):企業の固定資産の取得、減価償却、廃棄の管理を行う。
財務諸表作成:バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書など、外部向けの財務諸表を作成する。

2. 管理会計(CO: Controlling)モジュール
COモジュールは、企業内部での意思決定に使われるデータを管理し、コストと収益をコントロールするためのシステムである。
主な機能は以下の通りである:

原価管理(Cost Center Accounting):部門ごとのコストを管理し、原価削減やコスト分析をサポートする。
製品コスト管理(Product Cost Controlling):製品ごとのコストを把握し、原価計算や利益率分析を行う。
利益センター管理(Profit Center Accounting):部門ごとの収益性を評価し、経営効率を高めるためのデータを提供する。
プロジェクト管理(Project Controlling):プロジェクトごとのコスト管理や収益分析を行う。

SAP会計システムの特徴

  1. リアルタイムデータ処理
    SAPのシステムは、企業の財務データをリアルタイムで処理できるため、経営者や財務担当者が最新の財務状況を把握し、迅速な意思決定を行うことができる。

  2. 統合性の高さ
    SAPは、会計だけでなく販売、在庫、購買、生産管理などの業務とシームレスに統合されている。
    これにより、財務データが全社的な業務データと連動し、企業全体の業務を可視化し最適化することが可能である。

  3. 多国籍対応
    SAPは、多通貨や多言語に対応しており、多国籍企業が異なる国や地域で事業を展開している場合でも、統一した会計管理が可能である。
    各国の会計基準や税法に適合した財務報告も行えるため、国際的なコンプライアンスにも対応している。

  4. 高度なレポート機能
    SAPの会計システムは、財務報告や経営分析のための高度なレポート機能を備えている。
    必要に応じてカスタマイズされたレポートを作成することができ、企業ごとのニーズに応じた分析を行える。

  5. 自動化と効率化
    多くの会計業務が自動化されており、定型業務を効率化し、人的ミスを減らすことができる。
    特に、大規模な取引やデータ処理においては、その効果が顕著である。

SAP導入のメリット
業務効率の向上:取引の記録から財務報告までの一連の業務プロセスをシームレスに統合し、効率化が図れる。
グローバル展開に対応:多国籍企業が多地域で事業を展開する際に、多通貨・多言語対応機能が大いに役立つ。
コンプライアンス対応:各国の会計基準や税法に適合した形で運用できるため、国際的なコンプライアンス対応が容易である。
リアルタイムの経営情報提供:データがリアルタイムで更新され、常に最新の情報に基づいて迅速な経営判断が可能である。

SAPのデメリット
導入コストの高さ:SAPのシステムは高度にカスタマイズ可能であるが、その分導入費用が高額になることが多い。
特に初期導入やメンテナンスコストが大きい。
操作の複雑さ:多機能であるため、すべての機能を使いこなすには高度なトレーニングが必要であり、操作の複雑さが課題となる場合がある。
カスタマイズの難しさ:企業独自のニーズに応じたカスタマイズは可能であるが、特定の要件に完全に合わせるためのカスタマイズには時間とコストがかかる。

まとめ
SAPの会計システムは、財務会計と管理会計を統合し、企業全体の財務状況を包括的に管理できる強力なツールである。
特に多国籍企業や大規模な企業にとっては、その統合性や多国籍対応機能が強みとなる。
しかし、導入コストや操作の複雑さなどの課題もあるため、企業のニーズに応じた慎重な導入が求められる。

SAPを新規導入するとなると、めちゃくちゃ大変
しかし、一度導入すれば、日本から海外子会社の帳簿が見れるのは便利といいイメージです。
SAPは月次処理などでエラー結果が出ることもあり、これは経理担当者にとって嫌なものだと思います。(工場側で修正が必要なら、工場に依頼する)

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