子どもの「自分はできる」を育くむ ー80/20 のルールー
子どもは「自分はできる」と感じるとさらに努力を続けることができます。
この「自分はできる」という感覚のことをカナダの心理学者バンデューラは自己効力感(セルフ・エフィカシー)と名づけました。
自己効力感を築くことで、人生における困難な状況に直面した際にも、適切に対処できるようになることが期待できます。
【子どもの自己効力感を育んでいくには】
子どもの得意を支える
子どもの得意な分野に目を向けて、その分野で活動できるようにしてあげましょう。子どもは自分の得意としていることには積極的です。得意なことから自信をつけていくといいでしょう。
小さなことでも肯定的な言葉をかける
お家では、夕食後の食器を片付けさせたり洗濯物を取り込んだり掃除の手伝いをさせたりと少しでも家事に参加させてみましょう。余計に時間がかかっても、手伝ってくれるよう頼み「助かった」と感謝の言葉を伝えましょう。
子どもに期待に応えられない状況を避ける
子どもに能力以上のことを要求するのは避けましょう。能力以上の課題に突き当たり「できない」出来事を繰り返し経験することで「学習性無力感」が形成されていき、本来であれば乗り越えられる課題に対してもあきらめがちになるケースがあります。取り組んでいる課題が子どもの能力以上と感じたら子どもの水準に合わせ課題に手を加えてあげてもいいでしょう。
子どもの「チャレンジ」を奨励する
子どもが課題に取り組んだり新しい活動をやってみようとしたりしたら、子どもの能力以上に取り組んだ努力をほめるようにしましょう。結果にかかわらず一生懸命にやることや練習することへの動機づけにつながり、いつかうまくいくという気持ちが持てるようになります。
「どういうやり方をしたときにできたのか」考えさせる
「何が悪かったのか考えなさい」という失敗の原因探しをしがちですが、「どういうやり方をしたときにできたのか考えなさい」といったような成功の原因探しを行うことが、子どもの動機づけ促進を考える上では重要になります。
【番外編】「80/20 のルール」で取り組む
何かに取り組む際には、最初から解けない課題を与えるのではなく子どもができる課題を与えましょう。
最初に子どもがやり遂げられる課題を全体の80パーセント与えてから、難しい課題を20パーセント与えるのがよいといわれており、これを「80/20 のルール」と呼びます。
試験における設問の順番が与える影響についての研究では、テストや試験などで、難しい設問を簡単な設問の前に入れると、その逆の順序でテストを行った場合よりも点数が下がったりあきらめが早くなることが分かっています。
参考文献
ジェド・ベイカー著, 竹迫仁子訳 (2014). おこりんぼうさんのペアレント・ト レーニング―子どもの問題行動をコントロールする方法―. 明石書店.
中西良文 (2004). 成功/失敗の方略帰属が自己効力感に与える影響. 教育心理学研究, 52, 127-138. https://doi.org/10.5926/jjep1953.52.2_127