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ゲームと脳(認知機能)との関係

コロナ禍の「おうち時間」を経て、ゲームを楽しむお子さんが増えました。時期を同じく学校ではICT化が進み、1人1台タブレットを持つようにもなりました。

それに伴い、メディアでは「ゲーム依存」という言葉もよく聞かれるようになり、お子さんのゲームとのかかわりについて悩まれている親御さんは多いと思います。

もちろん、ゲームのし過ぎによる弊害は無視できるものではありません。
しかし、今回は、ゲームの使用によるポジティブな研究結果についても目を向けてみたいと思います。


ゲームと認知機能との関係

私たちは、家族と訪れた飲食店の騒がしい店内でも周囲のお客さんの声は無視して家族の声を選んで聞き取ることができます。
このように、身の回りにあるたくさんの情報の中から必要な情報を取捨選択するなどの働きを認知機能の働きの中でも「注意」といいます。

ゲーム好きは視覚的注意能力に長けている

ゲームが好きな人(特にアクション系のゲーム)は、この注意の中でも視覚的な注意能力に長けていると言われています。

アクション系のゲームをする人は、日ごろから素早い動きの敵を見つけることを行っているため、目でものを追うトラッキング能力が優れているという結果が出ています。

また、アクション系のゲームをしたことのない人に比べ、色違いを素早く見つけ出すといった、複数の刺激の中から仲間外れを探す探索課題においても、反応が早く正確であることがわかりました。

注意は、訓練によって徐々にある程度自動化することができるようになります。普段から自動車を運転する人は、事故を起こさないように注意を払いながらも問題なく運転できています。もちろん、意識的な注意が事故防止には大切なため油断は禁物です。

ゲームによって認知機能を鍛える

高齢者を対象としたドライビングゲームを用いたマルチタスク課題では、訓練による課題成績の向上にのみならず注意の持続やワーキングメモリーの向上といった効果がみられました。

現在では、すでに高齢者施設などで生活される方々の認知機能を活性化させるためゲームを活用したり、最高齢73歳のeスポーツチームができたりなど注目を集めています。

おわりに

ゲームと視覚的注意機能を中心に紹介しましたが、その他の認知機能においても高いパフォーマンスを発揮するといった報告があります。ゲームのし過ぎや依存症など問題も多くありますが、ゲームと適切にかかわることでさまざまなポジティブな面があります。

小学生のうちからインターネットとつながり、世界中と交流のできるデジタルネイティブの時代になりました。お子さんがゲームと上手な付き合い方ができるようサポートをしていくことが社会全体としても求められているといえます。

参考文献
箱田裕司(編) (2020). 知覚・認知心理学(公認心理師の基礎と実践7巻). 遠見書房. 
野内類・川島隆太.(2014). 脳トレゲームは認知機能を向上させることができるのか?. 高次脳機能研究, 34, 335-341. https://doi.org/10.2496/hbfr.34.335

坂田陽子 (2020). 「ゲームをやめなさい」は,やめなさい!?. 知能と情報, 32, 87-91.https://doi.org/10.3156/jsoft.32.3_87


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