「始まりの音〜日本からの旅立ち〜」【ウガンダ旅行紀行#1】
ポーン
音が頭上を駆け抜ける。
いよいよカタール航空807便が加速を始めるのだ。誘導灯に導かれ、速度を上げていく。
日本とのしばしの別れ。アジアの反対側カタールへ。そしてその先、アフリカはウガンダ。
コロナ禍で日本に慣れきった身体にアフリカという言葉は重すぎる。不安と恐怖と加速度に押しつぶされそうになりながらも、かつての自分が心に決めた「アフリカに行く」という決意を抱き締める。あの決意からはや3年。ようやくだ。
翼が風を捉えた。機体が浮き上がる。
僕は行く。未知の場所へ。不安も恐怖も何もかもがある。だが行くのだ。未知への高揚感が僕を突き動かす。
急上昇する。旋回する。見慣れた景色はすぐにどこかへ。
行こう。新たな景色を見に。体験しに。自分だからこそ見れる景色があるはずだ。
シートベルトサインが消えた。機体が安定する。
安堵。
少し身震いをする。見知った街や人と離れる。たかが2週間。けれどはるか彼方へ。
何が見れるのだろう?何を味わえるのだろう?何を吸収できるのだろう?ウガンダの人に何ができるのだろう?果たして自分は世界に何か影響を与えられるのだろう?
シートベルトサインが再びつく。また揺れ出した。
恐怖と期待を胸に抱え、僕は進み出した。