行動力が足りない人は、「情報力」が圧倒的に足りない
行動力の基礎は情報力?
昨年、横浜市立大学でキャリアに関する講演を行った際、学生からこんな質問を受けました。
「私は慶野さんほど行動力がありません。どうしたら、行動できるようになるのでしょうか?」
確かに、私はゼロから何かをつくるのは好きだし、未経験のことでも遠慮せずに行動する方ではあると思います。
ただ、私の「行動力」は特別な才能だとは思いません。
行動できずに立ち止まっている場合、圧倒的に「情報量」が不足しているケースが多いと感じています。
情報が不足していると、「何から手を付ければいいかわからない」「どんな努力をどの程度すればよいのかわからない」「どんな対策をすればいいかわからない」と漠然とした不安が募り、「やり方もわからないし不安だから、行動したくない」状態になってしまうのではないでしょうか。
行動すると決めたときの情報収集
何かしたいと思いついたとき、私はまず情報を集めます。
似たような成功事例はあるか?
目標達成までの手順はどのようなものか?
どれくらいのコスト・マンパワーが必要なのか?
業界での相場はどれくらいか?
陥りがちなトラブルやボトルネックは何か?
先駆者はどのような段階を経て現在に至っているか?
自分がやるとして、武器になる/足りていないスキル・リソースは何か?
必要になる知識は何か?
そのジャンルで何が王道/最先端なのか?
そんなことを調べるうちに「こんな工夫をしたら成功しそう」「〇か月くらいでできるかな」「〇〇ができる人を巻き込もう」「想定していた目標は無謀そうだからハードルを下げて挑戦しよう」「手間のわりにリターンが少なそうだからやめておこう」など、実現可能性や、具体的にすべき対応などが見えてきます。不安な懸念事項があれば、調べて解消できる場面も多々あります。
また、そこそこ事前に情報を集めたら、実際に行動することも大切。
行動する中で、不明点が解消されたり、次の課題が見つかったりして、集めた情報の中でどれが有効だったかがわかり、「次に必要な情報が何か」の輪郭が見えてきます。
情報収集と行動を同時に、または交互に行うことで、どんな行動をすべきかの指針になり、安心して行動を継続できるのだと思います。
慎重派にだって強みがある
もしかしたら、「なんの情報も計画も保証もなくても、クソ度胸で行動できるぜ」というタイプの人もいるかもしれませんが、そんなツワモノでなくても、情報を適切に集めることで行動する素地を作ることができます。
慎重派の方は、ツワモノをうらやましく感じるかもしれませんが、生まれ持ったクソ度胸の方が優れているとも限りません。
行動が必要になるとき、たいていはリソースに限りがあります。ビジネスだったら、キャッシュが尽きたら事業が継続できません。受験勉強だったら、受験日までの日数という時間的制約があります。
限られたリソースを使って成果を出すには、必要な行動を成果から逆算して組み立てるロジカルさがあるに越したことはないはずです。
知らない英単語は辞書で調べれば意味がわかるし、ゲームで行き詰ったら攻略法を調べれば次に進めます。
現実はそこまでシンプルではありませんが、情報収集で前に進める場面もたくさんあるはず。
だから、「どうせ自分には行動力がないんだ」なんて勝手にあきらめず、まず「行動するための調べもの」を試してみてほしいのです。
パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名