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4日後に閉館する油壷マリンパークで「プロボノ」をしました
「京急油壷マリンパーク」が、9月30日で閉館します。
神奈川県の三浦半島の西側にある、53年間も地元住民に愛されてきた地域密着型の水族館です。
三浦独自の生態系を紹介する展示も充実し、科学教育の一助にも資する水族館でした。東洋一と言われた大回遊水槽を導入するなど、新しい試みも数多く行われてきたそうです。
閉館になり、本当に残念です。
立ち上がれ、ペンギンショップ!
私は、三浦に何人か友人がいます。
もともと、私がお手伝いしていたNPOの代表が三浦海岸で二拠点居住をはじめ、何度か泊まりに行きました。
そこで、三浦を盛り上げようと頑張っている、同世代の地元住民を紹介してもらいました。
そのうちの一人の、移住促進型の宿屋を経営している友人が、Facebookにこんな投稿をしているのを先週見かけました。
「園内の売店“ペンギンショップ”が早めに閉店して、園内に売店がなくて不便らしい」
「三浦の友人と、閉館までの10日ほど臨時のペンギンショップを出店して、アイスやドリンクを売ってラストを盛り上げたい」
「水族館側と合意が取れたので、アルバイトをしてくれる方を募集します」
とのことでした。
実は、水族館大好きな私。アクアパーク品川の年間パスポートを持っていて、一時期は週2ペースで通っていました。
閉館してしまう油壷マリンパークの飼育員さん、動物たちのことを考えると、いてもたってもいられず「バイトのシフトに入ります!」と即座に連絡。
しかし、よく考えると私は東京在住で県をまたぐ移動になるし、通勤列車に乗っていて感染リスクもあるし、バイトは現実的でないと数秒後に気付きました。(でも、だって、私の心の中でアザラシが「僕たちのラストを応援して」って囁いてきたから…!即断せざるを得ず!!)
だから、「リモートでもできること」を手伝おうと思いました。
私は「パワポでグラフィックデザイン講座」という講座を不定期でやっていて、デザイナーではありませんがちょっとしたバナーやチラシなら、パワポでちょちょっと作れます。
なので、「広報に役立つ画像をつくります」ということにしました。
トップにある「閉館まであと〇日」の画像や、こんな画像を10点ほどつくって提供しました。
正直、平時なら有休をとってバイトをしまくりたかったのですが、後方支援でお手伝いできただけでもとてもうれしかったです。
プロボノなら、手が届かない場で活躍できる
そして、さらに嬉しいことが。
私としては、バイトの方がSNSでシェアする用のバナーとしてつくったつもりでした。
短期間で立ち上げたショップなので、運営側にクリエイティブ周りのディレクションをする余裕もなかろうと思い「使えそうなものを勝手に作ってみました!使わなくても大丈夫ですよ!」という感じで、用途を明確に指定せずに提供しました。
すると、うれしい誤算が!
こちらがペンギンショップの現地の様子です。
店頭にめっちゃ使われてるうぅー!!
店の前に、横に、窓の内側と外側に!
なんと15枚くらいプリントして、ラミネートでピカピカにされて、掲示されていました。
水族館の広報物をつくれるチャンスなんて、なかなかめぐってきません。
普通、外に出す広報物は広告代理店に頼むだろうし、中の小さな広報物は内部で作っちゃったりします。外部の人間として関われるチャンスはかなり限られます。
そもそも水族館自体も少ないので、「水族館案件」が少ないのです。
そして、実は私はデザイナーですらありません。
編集者としてデザイナーとお仕事をすることはありますが、イラレやフォトショも使えません。
こんな私が水族館の広報物に携われるなんて、奇跡のようなことなのです。
普通の仕事だったら、まあ無い話でしょう。
それが、プロボノだったら、できちゃったのです。
金銭的な報酬は特にありません。それでも、「三浦の役に立てた」「油壷マリンパークを愛する人の思い出に寄り添えた」「憧れの水族館に自分が作ったものが掲示された」という、心理的な報酬を得られました。(超うれしい!)
プロボノから仕事になることも
基本的に、今はフリーランスとしての活動時間を確保するため、無償の依頼は受け付けていません。
それでも、私は時々、心の赴くままにプロボノ案件を引き受けます。
そして、意外とそんなご縁からお仕事につながることもあります。
特に地域のお仕事は、プロボノとして少し関わり、仲良くなって信頼関係が続いたのちに、「今度は仕事としてお願いしたいんですが…」と依頼がくるパターンが多かったです。
すべてが金銭的に報酬につながる訳ではありません。
そして、そう期待すると「リターンが少ない!」と辛くなります。
自分が気持ちよく提供できる範囲のことをして、たくさん種を撒いて、その芽が出ても出なくても気にしない、というスタンスがちょうどいいのです。
(今回は、大好きな海の生き物の役に立てただけで、大満足です)
53年間ありがとう、油壷マリンパーク
今月で、油壷マリンパークは53年の歴史に幕を閉じます。
最後の最後に、ほんの少し当事者として関われてよかった。
残り数日ですが、油壷マリンパークが地元の方にたっぷり愛されること、閉館後の動物たちが別の場所で幸せになることを心から願っています。
パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名
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