なんでもない日記―2023.5.28―

  かつて、(正確には2年と3ヵ月と5日前)、私は人生で初めてPassCodeのライブに行ったわけだが、当時はコロナ禍の真っ只中。

 今読み返すと、随分若く、やはり勢いと気力だけで書いていたように思う。正直今読まれると、気恥ずかしさを強く覚える。
 それはともかく、あの時、メンバーの南菜生さんはこのように話していた。
"不要不急と呼ばれるものを追いかけている中で、私だけ取り残されている気がしてた。でも、今日ライブをして、止まっていた時間が動き出していくような、そんな気がしています。"
 ライブハウスはどうしても観客が密集する。むしろそれが志向される面すらある。だから、殆ど真っ先にコロナ対策が適用された。この3年で、多くのライブハウスが失われた事だろう。私の好きなUVERworldなど、ライブハウスに対して金銭/物資を問わず応援を続けたアーティストは数多いたけれど、それでもだ。
 それとは全く関係ない理由―開発や、土地の借用のあれこれなどで、一つのライブハウスが失われた。Zepp Tokyoだ。
 長くはないライブ経験の中で何度か足を運んだが、私が最後にZepp Tokyoで見たアーティストはPassCodeだった(これも2021年)。
 コロナ対策が施行される中では、声援を送る事も、(歌って良い所で)他の観客と共に歌う事も出来ない。熱気に包まれていてもマスクをつけなければならないし、何より椅子は楽であり、邪魔だった。

 それがようやく、この5月に対策緩和が発表された。それ以前、仙台でのライブでも声出しはあったが、正式に緩和が決定された事で遠慮なく声を出せるようになったのだ。
 2023年5月28日、Zepp Hanedaで、PassCodeは「It's you」からライブをスタートした。この曲は皆で歌うパートがあって、それはもう大きな声量で、私も声を出した。知らない方は是非聴いてほしい。この曲は、3年間、「いつか皆で一緒に歌おう」と言い続けて我慢を強いられていたのだ。
 

 そこからは新曲も交えつつ、「コロナ禍の中で作った曲」が多めのセットリストが展開された。私がちょうど、最初に行ったライブで演奏されていたような曲たちだ。あれから2年が経ち、PassCodeも自分も変わった。あの時、豊洲PITのステージに立った4人の内、1人が脱退した。私が最後にZepp Tokyoに行った時には、今の体制になっていた。そんな、新メンバーである有馬えみりさんも、今では私のイチオシのメンバーだ。
 変わっていくものもあれば、変わらないものもあって、変わるには痛みが伴うものだけど、上手くそれが出来れば、それは「進化」と呼べるのではないだろうか。コロナ禍による規制も、メンバーの脱退・加入も、そして初の武道館ライブも経験したPassCodeのこれからが楽しみで仕方がない。箱が大きくなっても、距離が離れてしまっても、素晴らしい景色を見せてくれるという確信があるから、これからも応援していきたい。

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