ツアーを終えて(+お知らせ)
Twitterの文字制限だと書ききれないのでここに記録を残す。誰にも読まれなくて良いのでとりあえず覚えている事をざっと書いて自分で読み返してずっと記憶に残していたいツアーだった。2023年2月3〜6日の記録。
Day 1 - 岡山 蔭涼寺
実はこのアルバムリリースツアー、自分で演奏する箱を決めて、諸々連絡して、移動手段を考えたりする自主ツアーなるものは初めてで、最終的な段取りがたまたま引越しの時期と重なってしまってかなりチャレンジングだった。
ツアー前日はDos Monosのライブ(一緒に廻ったヨーロッパツアーの延長上のTheater D 3.5)で吹きまくって体力を120%使い切って終電で帰宅、早起きして荷造りすれば良いと思っていたものの引越ししたばかりだったので持っていく必要のあるものが翌朝なかなか見つからず、結局ギリギリのところで家を出る。新幹線の切符は僕が持っていたので石若選手と東京駅で集合。のはずが待ち合わせたかった改札が見つからず、やっと合流した地点から新幹線の乗り場が遠く、大量の物販と楽器を抱えて猛ダッシュで改札を通る。焦って切符が上手く入らず少し破けてしまって、駅員さんに怒られる。エスカレーターを駆け上がってホームについたものの予約した席の車両が遠かったのでギリギリのところまで更に走ってから乗車した瞬間に背後でドアが閉まった。石若選手はこの時二日酔いで二重にしんどい思いをさせてしまった。
危うくツアーが始まらないところだった。
乗ってしまえばこっちのものなので岡山駅に無事到着。sawubona musicさんに協力していただき、蔭涼寺というお寺でライブができることになった。不定期にライブを開催されている場所で、とても素敵な空間にがっつり音響設備が備わっていました。
因みに今回ツアーを組むにあたってあえてライブハウスなどを避けたのは自分が普段演奏していて音楽を響かせたいと思う空間が他に存在するからだと思う。一年を通して毎日音楽が鳴っている空間に自分も参加する事はそれはそれでやりがいがあって光栄なことだけど、音を鳴らしたいと能動的に思った場所で音を鳴らして、その時その場所でしか体験できないものを自分含め一緒にいる人達と共有したい。音楽を鳴らすために作られたわけではない場所の方が音が身体に馴染む気もする。音楽は自由だ!とはいうもののそのほとんどがシステム化されて何かしらに縛られている中で、受動的にならずあえて自分から選んで出したい音を出したいところで出す、というのを大事にしたい。もちろん人それぞれだけど。
それはさておき、蔭涼寺ではカメラの方もライブレコーディングのエンジニアの方まで用意してくださっていて、更にはフードや物販スタッフもいらしてくださり本当に助けていただきました。ライブレコーディングは一部何かしらの形でそのうち公開したい。
ライブは最高なPAと空間の響きのお陰でメンバーそれぞれの音がはっきりと聞こえて非常にやりやすかった上に、遠方からも沢山お越しいただいたお客さんの集中力と熱が伝わってくるとてもやりがいのある90分間だった。良いスタートを切ることができて安心した。
ありがたい事にここで持ってきた分のLPが完売しそうになり、どうしようか悩んでたところ石若さんのアイデアで二日目の神戸からドライバーとして合流する予定の山﨑くん(通称たいきめん)に急遽東京から神戸まで追加分のLPとCDと忘れていたステッカーを持ってきてもらう事に。
英子さんはライブ後に僕が使っていたマイクをその場で買い取っていた。
打ち上げはPadang Padangというレストランでカレーやワインや山羊のチーズなど次々と出てきて初日から豪華な食事で、ここも時々ライブなどのイベントをやっているとの事。
ファミマのシュークリームを食べて就寝。
翌朝再びお寺で集合、金澤さんはベースを車に積んで電車移動。
残りメンバー4人は荷物と一緒にsawubona musicさんに岡山から神戸まで送っていただき終始至れり尽くせりでした…
Day 2 - 神戸 旧グッゲンハイム邸
神戸市垂水区にある旧グッゲンハイム邸は知り合いのミュージシャンが時々演奏しているのをSNSなどで見ていてかなり前から気になっていた場所で、英子さんの紹介で今回ブッキングすることができた。
住所の場所に到着すると建物の手前に踏切があって、そこを往復しながら楽器・機材等を搬入。ドラムは持ち込みで貸してもらった。
グッゲンハイム邸は広い庭から海を見渡せる最高のロケーションにあった。機材をセットアップしながらツアーファイナルとツアートートの宣伝を石井さんと石若さんにしてもらった。
PAの方が外から入ってくれる事になり、ここでもライブレコーディングを2mixで主に記録用として残すことができた。初日ともまた違う建物の自然な響きも心地よくて曲が新鮮に感じたし演奏は全く別物になった。空間の響きが変わると音価とそれぞれの楽器の音色も変わるので作曲された部分の再現方法やバランスの取り方、即興においての入口や出口の探し方だったり道筋の作り方に大きく影響する。初日同様バンドの音を聴いているのがめちゃくちゃ楽しかった。
学生の方も多くて嬉しかった。学割って大事だなと改めて。経費の心配とかなければできれば無料で聴いてほしいくらい。笑
遠くからのお客さんも含め会場をパンパンにしてくれてありがとうございました。良いエネルギーを沢山もらった。
ライブが終わったら東京からたいきめんが追加分のLPやCDを持ってきてくれていて本当に助かった。ここでは物販を自分でやる事になり、めちゃくちゃありがたい事に物販に行列ができてしまって完全に1人では捌ききれないペースで売れていった。ありがたすぎる。何をいくつ売ったかは全く把握できず。笑
この会場のために用意した分のLPも即完して4枚だけ四日市用に残した。
SMTKのツアーでもライブ写真を撮ってくれた京都のしょうさん(Instagram: @shohnophoto)からオファーがあり撮ってもらった。↓
終演後フードで入ってきてくれたカレーをいただきながら物販や機材の片付けをした。翌朝は四日市へ移動するため8時集合だったけど、気付いたら結局2時過ぎまで熱燗を飲みながらスタッフの方達と話していた。
会場の2階に泊まって朝起きたら絶景すぎて動画を撮りまくった。
Day 3 - 四日市 radi cafe apartment
3日目は電車チームとたいきめん車チームに分かれて移動。
会場に着く前、ハードオフが近くにあるということでもしローズが置いてあったらライブ用に買おうぜみたいな話になって寄ることに。ローズは結局無かったけど良い感じの値段でSV-1が売っていて一瞬迷いつつとりあえず会場へ戻ることに。
石若氏は店内に入って3分も経たないうちにウクレレベースを購入してた。
商店街を通ってradi cafe apartmentに無事到着して荷物を搬入。この会場でもPAの方が入ってくださり、ドラムを石若さんの知り合いの方に貸してもらうことができた。
セットアップ中、個人的にだんだんSV-1が欲しくなってきてしまって結局サウンドチェック中にたいきめんに乗せてもらってハードオフに買いに戻ることにした。10分後ハードオフに再び到着して購入。そのまま車に乗せて会場へ戻った。
radi cafe apartmentは去年の4月に石橋英子さんのバンドツアーで初めて演奏して、またすぐ来たいと思ってたので今回組めて良かった。前回打ち上げで出してくださった料理が感動の美味しさだったので本当は食べて行きたかったけど今回は当日夜戻るというタイトなスケジュールにしていたので残念ながら食べれなかった。
近鉄四日市駅からもJR四日市駅からもアクセスが良いので近くに行く際はぜひ。
岡山と神戸ではグランドピアノだったけどここでは生ピアノではなくハードオフで買ったエレピを石井さんに使ってもらったので、その影響もあってバンドのパフォーマンスはまた全く違う音像になった。電子的な音は使い方にもよるけど基本的に感触としては無機質なので特に空間を鳴らすライブでは質感の荒いアコースティックな楽器のアンサンブルにおいて良い繋ぎとしての役割を担ってくれる。直接的な振動と間接的な振動のバランスの調整で全然印象が変わる。今作品ではこれが大きなテーマの一つでもあったので、ツアーを経てまた色々見えてきて良かった。
sold outとなった会場では岡山・神戸と同じようにお客さんの熱がダイレクトに伝わってきて気持ちよく演奏できた。
本編ラストの曲"Recollections Abstracted"の最後の音が鳴りきった後の一瞬の静けさでお客さんの1人が「うむ」と大きめの声で合いの手を入れてくれてとても良かった。
終演後4枚だけ残ったLPの抽選会をすることに。欲しい方に名前を紙に書いてもらって箱に集め、僕が一枚ずつ引くというスタイルで。今思うと神戸でも抽選式にすれば良かったけど1人で物販をやっていたのでそこまで頭が回らなかった。断ってしまった神戸の皆さま、申し訳ないです。まだLPに興味のある方はこのページの最後のお知らせを見てもらえたら!
最後の移動は英子さんと石井さんが電車チーム、金澤さん石若さん松丸はたいきめん車チームで東京へ。帰り際に僕と英子さんで最後の宣伝動画を撮った。商店街の音楽が良い感じのBGMになっていて面白かった。
夕食はサービスエリアのパンで済ませて家に23時半頃に無事到着。四日市で買ったSV-1も家に迎えることができた。
Day 4 (ツアーファイナル) - Blue Note Tokyo
一昨年あたりから色々な企画でブルーノート東京でライブをしていたものの、まさか自分名義で自分の音楽をここでできるとは思っていなかった。チケット代が高くありつつ、一般的に馴染みのある場所な上に食事やドリンクも美味しいので(いつも賄いが最高です…)、ある意味では普段聞きに来ない(来れない)人にとってもハードルが下がるのでこのバンドでやってみたいなーーーと思ってたところ、実現することができた。
そもそもこの内容で集客するのが難しい事は自分で一番理解してるし、毎日のようにしつこく宣伝しつつ正直ガラガラの会場を覚悟していたのにも関わらず1stも2ndも客席がしっかり埋まっていて特に2ndは満席に見えた。宣伝&リツイートしてくれた皆さまのお陰です。特に柳樂さん、大友さん、荘子it (先週結婚発表して金城くんになった)は忙しい中コメントを書いてギリギリまで盛り上げてくれて、心から感謝してます。ブルーノートのスタッフもめちゃくちゃSNSでプッシュしてくれて嬉しかった。
開演前にメンバーが持ってきた衣装を見たら全員シュッとした感じの黒で揃っていて、前持って服装について一言も話していなかったのに最終日にビジュアル的に統一感が出てバンドだなーーとしみじみ。
1stセットは結構埋まっていたものの、それまでの会場と比べて自分たちで出す音の距離感とお客さんとの物理的な距離の差が大きくて、全力でやりつつはじめ少しやりづらさがあった。2ndセットはほぼ満席で最初からお客さんの熱と集中力を感じ取る事ができて、このツアーにおいて圧倒的にベストパフォーマンスができた。最後に一番納得のいく演奏ができて(メンバーのみんなもそう言っていたと思う)、理想的なエンディングを迎える事ができたのがこのツアーでの最大のハイライトだった。
ジムオルークさんがわざわざこのライブを観に東京に来てくれて、両方のセットを観てくれた。他にもミュージシャンや関係者が沢山聴きに来てくれて嬉しかったし、ジャケ写を撮ってくれた廣田達也さん、ジャケットデザインとツアーフライヤーとトートのデザインを手がけてくれた村尾雄太さんも聴きに来てくれた。
そういえば照明の打ち合わせをしなかったなと思いつつ映像を見返していたらずっと渋い感じの色味で音楽と調和しててかなり良かった。
ツアー中短い動画をひたすら撮り溜めていたのが最終日はなぜか撮り損ねて全然リールにできなかったけど、ライブ音源をミックスして映像をこれから公開するのでそれを楽しみにしてもらえたら嬉しい。
リール↓
Day 1 - 岡山
Day 2 - 神戸
Day 3 - 四日市
有名な曲も無く、あらゆる伝統から離れ、言葉もほぼなく、みんなで踊れるわけでもない、どちらかというとハッピーでもなく煌びやかな要素も無いこの音楽を聴きに多くの人が4日間を通して各会場に集まってくれたことは奇跡的だとも思うしプロモーションを手伝ってくれた人達の力が大きかったと思う。リリースした時、音楽系のニュース媒体にほとんどピックアップされず(なんで??とは思った)、取材も全然入らなかったのでほぼ聞かれていないと思ってた。お客さんが来てくれて、とても報われた。ツアーができて本当に良かった。
今回作品のために構想を練って曲を作るのは実はとても辛くて苦しかった。え、こんなのが?と思う人もいるかも知れないけどアイデアを0から生み出して納得のいく形にするのは体力と精神をかなり擦り減らすもので。そういう意味では去年の春頃から夏にかけて結構ハードだった。
なので今まで色んな大人に謎に「君はもう少しわかりやすい表現をした方が良い」など変な事をごちゃごちゃ言われてきて、こういう言葉に振り回されたことは1ミリたりとも無いものの、全部無視してそういう人からすぐ離れるようにして良かったなと今回ツアーを終えて強く思った。
あえて書くことでも無いけど、この先も作品を作る時は一切媚びないし妥協しない。信念を貫くことができない作品は商品としての価値は得ることができても作品としての価値が無くなってしまうので。それは聴く人を騙せたとしても真面目に作っている他の人にはバレる。メンバーと一緒に信じるがままに作品を作って、(無理をさせてしまったけど)演奏してまわる事ができて幸せだった。
最高の締めくくりができたという事で気持ちをリセットして次の作品に向けて思い悩む期間にまたそろそろ突入すると思う。というか早く次に進みたい。
最後にお知らせがあります!↓
お知らせ!!!
なんとなんと、ツアー最終日の前に完売してBlue Note Tokyoでは一枚も用意できなかったアナログ盤ですが、増刷が決定しました!!!
今ではレコード店等でも在庫がないので、今後手に入れる方法としては以下2パターンのみ。
① 松丸契のライブで本人がたまたま持ってきた際に直接購入
② 増刷アナログ盤予約フォーム
ツアーファイナルで既に予約を沢山いただいてるので増刷分も早い段階で売れてしまいそうです。欲しい方はお早めに!(発送は3月以降になります)
詳細は上記予約フォームのリンクからご確認ください。ツアートートバッグとセットでぜひ。
ツアーに来てくれた皆様、来れなくても音源を聴いてくれている皆様、まだ未聴で興味を持ってくれている皆様、健康である限り作り続けるので今後もどうぞよろしくお願いいたします。
松丸契