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リスクをデザインする企業保険

本日は被保険者団体PARIMA Japanのオンライン、面着ハイブリッドイベントが予定されていますが、前段で前回イベント「リスクをデザインする」の振り返りと座談会のパネリストとして参加予定です。本日のイベントダイジェストは別途纏めますが、前回のセッションを振り返ります。

保険会社のアンダーライティング(UW)はケースUWとポートフォリオUWに分かれており、前者は引き受けを行うリスクを個別UWするもの、後者はあらかじめ設定されたリスクグループ全体に引受方針、ルールを定めてポートフォリオ全体で管理をするものです。実際の引受では双方を融合して使われる事が多いですが、対象とするリスクや契約の大きさにより、特に企業の契約する規模の大きな保険プログラムはケースUWのウェイトが高まります。

規模の大きな保険プログラムとは、概ね年間支払保険料1千万円を超えるような保険証券を想定しています。企業保険契約の中でも大口であり、ケースUWのウェイトが高い保険契約と言えると思います。

このような大口保険契約は、そのリスクも複雑かつ大きい事もあり、保険会社から求められる情報量も多く、またレディメードの約款から特約による補償の拡張も行われるケースが増えます。契約の自由度が個人保険に比べると格段に上がります。故に、どのようなリスクを、どのくらい、どんなワーディングで保険転嫁するのか、「リスクをデザインする」ことが必要になります。

保険会社のビジネスモデルは、単純化すれば互いに独立の多数の類似リスクを引き受けることにより、分散効果とスケールメリットを享受し、リスク引受に必要な資本効率を上げていくというものです。従い、被保険者は保険会社の引き受けをしたいリスク(リスクアペタイト)を考慮し、そのリスクをデザインしていく必要があります。つまり、リスクの個別性が高く、分散効果もスケールメリットも働かないリスクを保険転嫁しようとすれば、保険料は高くなり保険会社の外部資本利用の効果は低くなることになります。

デザインされたリスクは保険会社に適切に伝えていかなければなりません。デザインコンセプトや、移転しようとするリスクに対するリスクコントロール、勿論過去のロスデータや、事故発生後の事故防止対策など、上記のケースUWを想定しつつリスクのプレゼンテーションをする必要があります。本日のセッションではこのプレゼンテーションにスポットを当ててディスカッションを予定しています。

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