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損害保険諸問題に関する有識者会議と「リスクマネージャーの視点と実務」出版

3月より金融庁主催「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」に有識者メンバーとして参加しておりました。財務副大臣や金融庁幹部の皆様がご出席され、YouTubeライブでの中継、発言内容の議事録公開など、初めての経験でしたが、結果として非常に貴重な体験をする事が出来ました。

すでに金融庁より有識者会議報告書が公表されておりますので、内容についてはそちらをご覧いただければと思いますが、主に昨年発生したビッグモーター問題と企業保険カルテル問題に端を発した損害保険業界の在り方についてさまざまな角度から議論が行われたものです。一言で言えば、損害保険に関わる代理店、企業契約者、もちろん保険会社自身がプロフェショナルであれ、という事だと思います。個人でも企業でも被保険者に対してリスクマネージャーとして、リスクマネジメントサイクル(洗い出し、評価、低減回避、移転保有)を実践し、損害保険を活用していく姿勢が求められていると思います。

有識者メンバーは私を含めて9名、大学教授、弁護士、大手コンサルタント、消費者団体と多様な皆様でしたが、企業保険のユーザーサイドとして事業会社リスクマネージャーの立場で参加してきました。まず驚いたのが、事務局である金融庁の皆様の事前準備、アレンジ力です。たった3ヶ月間で多岐にわたる論点についてのベースの情報を集め、資料を作成し、メンバーには事前説明を行った上で、会議後には議事録作成、報告書ドラフト作成と、目の回るような3ヶ月だったのだと思います。

会議中は特に事前の調整もしていませんでしたが、なんとなくメンバーの発言順なども緩やかに決まっていたような感じで進んでいました。第二回の会議以降はメンバー9名を2周するような発言機会でしたので、1回目の発言は準備していきましたが、2回目の発言は皆さんの発言をメモしながら、なるべく言い放しにならないよう、論点を重ね合わせるようにアドリブ発言するのが難しかったですが、個人的には意外と楽しかったです。

第3回には企業保険の実務についての説明という事で登壇の時間も頂きました。プレゼン内容はこちらに掲載されておりますが、余り世の中に知られていない保険リスクマネージャの仕事を知って頂く良い機会が得られたと思います。同第3回には慶應義塾大学柳瀬教授もゲストプレゼンをされ、日本企業のオーナーや売上構成の変化、リスクマネジメント変化の要請に関する背景を説明するとともに、特に昨今大企業セクターにおいてはキャパシティ不足を実感する企業が増えていることも報告されました。

そんなタイミングに合わせて、昨年から執筆を続けてきた保険リスクマネージャーの実務書が6/28(金)に発刊されました。今回の有識者会議を経て、特に大企業はプロ契約者として自律的な保険リスクマネジメントを実践していく重要性を述べましたが、自社でどのように取り組んだら良いか悩まれる企業も多いかと思いますが、本書では当社を含めて被保険者団体PARIMAの有志メンバーで実務について書いてまとめましたので、多くの企業保険関係者の方に手に取って頂ければと思います


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