見出し画像

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ免責の動きと残余リスクについて

ロシアのウクライナ侵攻が始まり、保険マーケットにも様々な影響が出ています。既に在ロシアの西側保険会社は域外への出再が出来なくなり、現地での証券発行が難しくなっています。グローバル保険プログラムにおいてもロシアのローカル証券を本社主導で発行することが難しくなり、必要ならばロシア内資の保険会社に個別依頼が必要な状態になっています。

続いて、主に欧米元受、再保険者により、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ(会社により異なりますが周辺国)の免責付帯を主張する会社が出てきました。提示されている約款では、同地域で発生するいかなる事故であっても、被保険者の所在地を問わず一才免責とするものが多く、同地域に所在する被保険者だけでなく、本邦本社を含めて同地域で発生する賠償責任等の保険カバーが無くなる可能性が出てきました。

現在の情勢では、同地域の新規ビジネスを増やそうとする企業は少ないものと思いますが、問題は既存または過去に同地域内の顧客とのビジネスがある被保険者です。過去に同地域内の顧客へ製品を納入した、あるいはサービスを提供した企業は、現地での事故発生に伴いこれから先に製造物責任を負う可能性があります。もちろん「保険カバーが免責されている」事を理由に正当な請求を拒絶することは出来ませんので、該当する企業は対応を迫られるものと思います。

現段階では、保険会社もマーケット動向を注視している状況であり、被保険者のエクスポージャー情報を集めて、同地域内のウェイトが小さい事を確認して免責付帯はしないなど、個別判断をしているようですが、今後各社の特約再保険への免責導入→元受契約へのフローダウンが次年度あり得るかどうかは不透明な状況にあります。

いずれにせよ、被保険者としては過去取引も含めて、影響の生じうる同地域内の取引内容を改めて精査し、保険マーケットからの情報提供要請に備える事、リスクシナリオを検討して対策を実施する事が求められる事になりそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?