![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56802094/rectangle_large_type_2_4448fdb632fb2129f158fac73f10db5e.png?width=1200)
【レポ】ワクチン接種してきた
「ワクチン受けますか?」と
急な連絡が届いて驚いた。
「・・えっ自分が?」と。
率先して受けるつもりは無かったけど、私は気管支に持病があるのでコロナに感染すれば重症化する確率が高い(たぶん死ぬ)だから重い腰を上げてワクチンを接種することにした。
貴重な体験なのでゆるくレポしたいと思う。
■「ワクチンなんて打つな!」
ワクチンの申請書を書いていると、
亡くなった祖母のことを思い出した。
(・・もし、ばぁちゃんが生きてたら
こう言ってブチキレていただろうな)
「ワクチンなんて打たんでええ!」ってね。
なにせ祖母は根っから根性主義だったせいか?それとも信仰心が厚すぎたせいか?怪我も病気も「舐めて治せ」「気持ちの問題」が口癖だった。
そりゃもう『ワクチン』の類は大嫌い。
親父が子供の頃にドカン!!!と、車にはねられ血まみれになったときも、当然のように「舐めれば治るわ!」と言われたそうだ。
車にドカン!
血みどろグチャグチャ!
後々、親父から当時の舐めただけの生々しい
傷跡を見せられた時はさすがにドン引きした。
(ヤベー家に生まれてしまったな)と。
ひえっ・・・・
・・・しかし私は幼い頃から8回~?ほど入院しているが、それに関して祖母が反対することはまったく無かったらしく、父は「は?なんで??」とブツブツ言っていたそうだ。
祖母は息子には辛く
孫には甘いものである。
まぁそんな祖母は医者にかかることも無く、戦後から爆撃も病気も避け続け100歳近くまで大往生したあげく畳の上で最期を迎えたのだから、精神論も案外バカにならないもんだなーと思う。
もしあの祖母が生きていたら、この世界の惨状を見ても「舐めれば治る!」「気持ちの問題じゃ!」と父には言うんだろうなぁと申請書を書きながら想像してフフッと笑った。
■「おびえる人たち」
・・・接種会場に向かう途中、
コロナワクチンについて調べた。
いつも通り、色んな憶測が飛び交っていた。
「副作用ヤバイ」とか。
「不妊になる」とか。
「ワクチンで死ぬ」とか。
それを(ふーん)と軽く聞き流し、
予約した会場へ向かった・・
なにせ私は入院を8回以上している。
(正確に覚えてない)
だから「手術前に死ぬ可能性もあるけどやります!」「仕組みはよくわかっていませんがやります!」でおなじみ「よくわからんけど大丈夫!」代表である『全身麻酔』を3発もやっている。
お医者さんに「あなた死にますよ」とか「重い障害が残ります」と言われたことだって麻酔の数と同じく3回ある。
もちろん全部生き残ってピンピンしているし、
なにかの障害が残ったことだって1度も無い。
何万分の1の確率だってさ。
だからコロナのワクチンの副作用がどうのこうのは、私にとって「まぁ今更だしなぁ・・」という感覚でしかなかった。
・・・だがワクチン接種会場にたどり着くと、
『真っ青な顔』をしている人がたくさんいた。
(えっ・・・どうした・・・?)
とある中年男性が不安そうに
スタッフの女性を呼び止めた。
「あの・・ちょっと!すいません・・」
「・・・はい?なにか・・?」
しかしその質問内容が、
なんとも不可思議だった。
「痛くないですよね?」
・・・・・・・・・だったのだ。
(・・・・・・・?)
しかしこれと同じような質問が、
会場で度々飛び交っていたのだ。
「大丈夫ですよね?」とか。
「痛くは無いですよね?」とか。
フワッとした質問を何度もするのだ。
そうやって尋ねてくるほとんどが、
なぜか中年の男性だった。
もちろん本人たちは『注射の痛み』を
気にしているワケではないだろう。
・・・・言うまでもないことだが、
本当に聞きたいことはこういうことだ。
「副作用は大丈夫でしょうか?」と。
そう聞きたいのだけれど・・
なにせここは周りの目がある。
恐らくは、こんなことを
考えていたのだろう。
不確定なデマに流されている
ヤバイ奴と思われたくない。
不用意に自分の不安を
周りに伝染させてくない。
出るかもわからない副作用に対して、
ビクビクしてる臆病者と思われたくない。
・・・そんな風に思っているから、
遠回しに不安を解消しようと
遠回しな質問をしているのだ。
「痛くはありませんよね?」と。
・・・・不安な気持ちはわかる。
今まさに『同意書』を書かされて、
さらに不安が増していることだろう。
だが、周りの人はそれを見て苦笑いする。
当然だが・・・それなりの社会人経験がある大人であれば、だれもがその言葉の裏側。真意を察してしまうからだ。
「痛くないですか?」という謎の質問が「私に副作用が出る可能性がありますか?」「不安です」「怖いです」「何か安心できることを言ってもらえませんか?」であること、誰もが瞬時に変換して理解してしまう。
不安。疑念。虚勢。恐怖。面子。
滑稽と感じる人も多いのだろう。
そして、内心こう思うから苦笑いしたのだ。
「いやいや、答えられるわけがないだろ!」と。
もちろん女性のスタッフさんも困り顔で
ニコッと笑って適当にあしらって去っていった。
ワクチンを打った後。誰がどうなるかなんて、
誰にもわからないことだ・・そのための同意書。
男性はうつむいて
静かに椅子に座った。
(気の毒にな・・・・)
いくら交通事故が怖いからといっても、
車を運転しないわけにはいかないのと同じさ。
・・・その中年男性が不安そうに、
若い女性スタッフにすがった姿。
それを見て「フッ」と
かすかに鼻で笑う周囲の若者。
それは「自分は覚悟できてるぜ!」
という気負いから来るものだと思う。
その一連のやり取りを見て、
改めて気づかされる。
この中の誰かが・・
もしかしたら・・と。
・・・・そう考えると、
手に汗がにじんでくる。
絶対じゃないけど、
もしかしたらってのが怖い。
それはあの男性かもしれないし、
自分かもしれない。
ワクチン接種会場は非日常。
異様な空間に感じられた。
■「死ぬ前にしたいこと」
列に並ぶと、想像以上に
早く自分の番がやってきた。
お医者さんらしき人が尋ねてくる。
「利き腕はどちらですか?」と。
その反対側に注射を打つそうだ。
特に緊張などはしなかったが・・貴重な体験なので『もし自分がここで死んだら』みたいな妄想をして脳内遊びをすることにした。
そして真っ先に後悔したのは、
(冷蔵庫の塩サバ食ってこればよかった)
ってことだった・・・
いつだってサバはうまい。
もうすぐ腕に注射針が刺さる。
(別になんてことはないさ)
入院中は1日3回の採血と点滴をブチ込まれた。
注射針が腕に迫ってくる・・・・
(注射なんて怖くもなんとも・・・)
ブスッ
(いっ・・・・)
それはあまりにも予想外だった。
『ただの注射』だと思っていた。
(いっ・・・・・)
端的にめちゃくそ痛かったのだ。
(いってええええええええ!!!!!)
(なにこれ?!?!!?!)
わたしプロ入院マン。
人の10倍以上の注射を
ブチ込んできた人生だったけど・・
ダントツ1番。トップオブトップ。
『人生で一番痛い注射』だった。
・・・・刺された瞬間。
副作用がどうたらって話は吹っ飛んだ。
まさかのワクチン接種の一番の鬼門
『注射がクソ痛い』ってことだった。
ネットで調べた話とぜんぜん違う!!!
周囲の人からも「ワクチン接種の注射はぜんぜん痛くない」と聞いていた。ぜんぜん違うじゃん・・メチャクチャ個人差あるのか?
(くっそ痛い!!!なんだこれ!?)
するとお医者さんが笑顔で言った。
「・・・痛かったでしょ?」と。
(あ・・やっぱ痛いものなのか?)
私は白目をむきながら答えた。
「・・人生で一番痛かったです」
するとさらに先生がこうおっしゃった。
「夜になるともっと痛くなりますよ~」
(ええっ・・・そうなの・・・?)
あの痛みは『注射の針』じゃなくて、
ワクチンのなにかなのかなぁ?
会場を出るとスタッフさんに
「15分待機してください~」
と言われたので椅子に座った。
・・・・恐らくこれから、
副作用が出る人がいるんだろう。
(もしかしたら自分が・・・・)
そんな風に思うと気分が悪い気もする。
とりあえず注射を打った腕が痛すぎる。
(イテテテ・・・なんだこれ・・・)
ひとり悶えていると・・・・
「緊張しましたね~」と声をかけられ驚いた。
20代くらいの女性が隣(の隣)に座ってきたのだ。
注射を打ったという安堵感。緊張からの解放。
副作用への不安感。同じ境遇の仲間意識。
謎の連帯感。
私は「いやー注射が痛くて泣きそうでしたよ~」とサラッと談笑して、15分になったので「それでは・・」と席を立とうとして、辺りを見回すと・・なぜか誰も席を立っていなかった。
私が一番最初に接種会場を後にするようだ。
(・・・・あれ?なんでだ?)
私より先に待機していた人は
20分か30分経つはず。
そこで気づいた。立たないのではなく、
具合が悪くて立てない人も多いのかもしれない。
(私は症状が軽かったのかなぁ?)
まぁ腕が痛いだけだからなぁ・・・
そのまま出口に向かおうとすると、
タタタッ・・と誰かが列を抜け、
出口へ駆け出していくのが見えた。
(・・・なんだ?なんだ?)
するとスタッフの女性がそれを追いながら、
「お待ちください!!!」と大声を出した。
駆けだした中年男性が
足を止めて振り返る。
・・・スタッフさんが、男性に駆け寄りながら
「(接種を)見合わせですか?」と声をかける。
(ああ・・・そういうことか)と察し、
私は接種会場を後にした・・・・
誰の選択が正しいかなんて、
誰にもわからないことなのだ。
デマはよくないけど、そもそもお上が「安全ですよ~」言い切っていたのにあとから「実は・・」なんて事例は過去に何度もあった。
薬害ほにゃらら非加熱なんちゃらとか。
フィブなんとかとかアスベストとかね。
わからないものは、わからないのだ。
(うおっ・・・・・)
歩き出すと、急に体のだるさを感じた。
それより腕が痛すぎて歩きづらい・・
ズンズンッ・・・・
(・・・なるほど、みんなと同じように
もう少し会場に残るが正解だったかもな・・)
家に帰ると、お医者さんの言う通り。
腕に激痛が走って動かなくなった。
(うおっ・・これが副作用か?)
横になると、余計に腕がシビレるし、
痛みが激しくなるので横になれない。
腕の下にクッションを置いて、
痛みを緩和させるようにした。
(イテテテテテ・・・・)
・・・・妙に眠い・・・
痛いのに・・・眠すぎる・・・
バタッと布団に倒れ込んだ。
気づいたら意識を失っていた。
目覚めてビックリ。
夕方の17時頃に眠りについて、
起きたら翌日の11時だったのだ。
そして午後になって、また眠った。
起きて熱を測る。平熱で異常なし。
倦怠感がわずかにあるが問題なし。
ただ、腕はクソほど痛くて動かない。
これが治るまでに3日ほどかかった。
「2回目のほうがもっとヤバイことになる」
みたいな話もあるので、当日は休暇をとりたい。
あと2回目の接種の前日には、ちゃんと塩サバ食べて後腐れないようにしてから行こうと思う。
おわり
いいなと思ったら応援しよう!
![ハルオサン](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71343489/profile_586ac9dfb97682fec981f5287abc7487.jpg?width=600&crop=1:1,smart)