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タイでJリーグ列車を走らせた理由

2020年の11月、12月にタイのバンコクにてJリーグラッピングの列車(BTSというスカイトレイン)を走らせました。重要市場であるタイでのプロモーション施策として実施しましたが、その背景や得られた効果などをまとめてみようと思います。

タイでのJリーグ人気

まず、2012年にアジア戦略を始めた当初からタイは最重要国の一つとして位置付けてきました。理由はいくつかありますが、親日国でもあること、多くの日系企業がタイとのビジネス交流があること、そしてタイ国内リーグや代表の成長が著しく、ゆくゆくはタイ人トップ選手がJリーグで活躍する世界観もあり得るのでは、と見ていたことがあります。

そして2017年にはタイの国民的人気選手であるチャナティップ が北海道コンサドーレ札幌に加入し、初年度からの大活躍もあり、Jリーグの認知度・関心度は急上昇することになります。
彼のようなパイオニアが生まれたことで、その後は毎年数人のタイ人選手がJリーグでプレーするような状況が続いています。
香川真司選手がドルトムントで大活躍したことを契機に、より多くの日本人選手がドイツに渡った現象にも近しいかなと思います。

タイではJリーグが毎節生放送・配信されていますが、ライツホルダーであるSIAMSPORTのYouTubeでの試合生配信は、全世界で同時視聴数ランキング1位になることすらあります。

課題は女性、若者へのリーチ

タイのサッカーファンには完全に認知もされ、関心度も50%を超え、セリエAやリーグアンよりも高い数値を得るまでになっています。
一方で、Jリーグに関心を持っている層は、30-40代の男性が圧倒的に多く、女性や若者(20代以下)がの関心層が極端に少ないことが課題として浮き彫りになっていました。
これは、これまでのプロモーション施策を現地のサッカーファンにターゲティングしてきたためであり、当然の結果ではあるのですが、ここから更に関心層を増やして次のフェーズに行くには、サッカーコアファン以外の一般層、特に女性と若者にリーチのできるプロモーション施策が必要だと考えるようになりました。

タイでは今でも屋外広告がよく見られます。大きなビルや電車、バスなんかにインパクトのある広告が多く見られます。まだJリーグにタイ人選手もいなく認知もかなり低かった今から8年ほど前、バンコクに出張するたびにマンチェスターUやバルセロナの選手肖像がペイントされた屋外広告を目にして、いつかはJリーグもここで、とずっと思っていました。(当然、当時にJリーグ屋外広告を出したところで大して注目もされないというのは分かりきってましたので。。)

BTS(スカイトレイン)はバンコク在住の方々にとっては生活に身近な交通手段ですし、老若男女が目にします。また、その車体ラッピングはインパクト絶大で、うまく話題性を喚起できれば、若者世代を中心にソーシャルでのバズも産めると思い、今回のJリーグラッピング列車の施策を実行することになりました。
また、裏のテーマとして、コロナ騒動で分断される世の中において、カラフルなJリーグ列車を走らせることで、少しでもタイの方々にも明るい話題や元気を届けられればといった想いもありました。

約1ヶ月半という短い期間でしたが、Jリーグ列車がバンコク市内を走り、多くのタイの方々の目に触れることとなりました。SNS上では、現地ファンに列車を見つけて自撮りした写真を投稿してもらう企画を行い、UGC企画としても盛り上がりました。
結果、年末に実施したファン調査では、ターゲットとしていた女性・20代のJリーグ認知度・関心度が大きく上昇しました。この施策だけが効いたわけではないと思いますが、少なからず効果はあったと感じています。

今後もワクワクするような施策を考えていきたいと思います。

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