リスニング点UPには頻度×密度がものを言う!課題設定の方法
IELTS対策をされている生徒さんからご相談を受けたので、回答として送ったものをnoteにもまとめることにしました。IELTSに限らず、高校・大学受験、英検、TOEICなど、リスニングの試験すべてに通じる内容です😊✨
わりとやりがちリスニング対策
学校のカリキュラムや、個人の勉強方法として選びがちなリスニング対策として、以下のようなものが挙げられると思います。
1.週に1回、学校の授業や自宅でリスニングの問題を解いているし、スクリプトの確認や音読もしている
2.週に3~4回、学校の授業や自宅でリスニングの問題を解いている
3.洋画、洋楽に接する機会が多いので、それがリスニング対策を兼ねている
これでぶじ目標達成されているならいいのですが、「こんなにこまめに英語を聴いてるのに、思うようにリスニングの点数が伸びない😭」と嘆いている方は、学習方法・課題設定を変更する必要がありそうです。
それぞれの学習スタイルの弱点をチェックしていきましょう。
1.英語を聴くのが7日毎に30分では、果てしない長期戦になる
「週に1回、学校の授業や自宅でリスニングの問題を解いているし、スクリプトの確認や音読もしている」方の場合、英語を意識して聴く時間は7日間に1度だけです。特に、問題を解いて、スクリプトを確認して、音読をしているような方の場合、実際に英語を聴いている時間は30分程度だと思います。
7日間のうちのその他の時間は、母国語である日本語を聴いている時間です。30分聴いただけでは、日本語の威力が強すぎて、耳慣れの効果を期待することはできませんね。
頻度を上げましょう!できれば毎日!1日10分でもいいので毎日です!
スクリプトの確認・音読は、リスニング力を鍛えるのに効果的な学習方法ですから、継続したいところです。
リスニング頻度を例えば毎日に設定したら、スクリプトの確認や音読まで毎日やる必要があるでしょうか?
答えはNOです!過度な負担は、学習を遠ざけさせる原因になります。時間や気持ちにゆとりのある時だけ、スクリプトの確認や音読を行いましょう。
2.「たくさん取り組む」だけは満足感を得ても身にはならないから危険
「週に3~4回、学校の授業や自宅でリスニングの問題を解いている」場合、頻度の条件はそれなりに満たしています。部活や仕事、人付き合いなど色々な都合があるので、実際には毎日は難しいかもしれないですね。週4回も取り組むことができたら上出来です!
課題設定をキツキツにすると、先程も書いたように、負担になりすぎてしまいます。「本当は毎日やるのがベストだけど、最低週4回は取り組むようにしよう!」と、少しだけ自分に優しくしてあげることも大切です。
じゃあこの学習パターンの場合、何が足りないのか?
それはおそらく「自己分析」です。
学校の授業でもありがちなのですが、「数をこなす」ことを重要視しすぎてしまうんですね。同じ単語を10回ずつ書いて!とか、同じ文章を3回速読して!とか。リスニングもそうで「週に4回、計80問に取り組む」という、「数」だけを意識してしまうのです。
ですがこれらの数字は、上辺だけの数字です。単語を10回書いたからって、必ず覚えるわけではありません。文章を何度読んでも、意味が分からないものは分からないままです。リスニングもひたすらがむしゃらに数をこなしたって、解けないものは解けません。
そこで「自己分析」が必要なんです。自己分析では以下のような点に着目します。
リスニングの場合、大きなテーマは「何が原因で、この問題を解けなかったのか?」です。
解答のキーポイント
・知ってるけど発音を覚えてない単語があったのか
・まったく知らない初見の単語があったのか
・話しているスピードが速くて追いつかなかったのか
・なまりが強くて聞き取れなかったのか
・単語と単語のリンキングに気づけなかったのか
問題文
・まったく知らない初見の単語があったのか
・選択肢で使われている文法や語法が原因で、正しく選択肢を理解できていなかったのか
・音声が始まる前に問題文を確認できなかったのか
精神面(語彙・文法レベルに問題ない場合に多い)
・集中力が欠けていたのか
考えられる原因は、これらの一体どれに当てはまるのか、というのを「間違えた問題すべて」に対し、考えていく必要があるんです。そして必要性が高そうなものであれば、それに対する対策を打っていくことになります。
さらに、わたしの場合、リスニングを解いたあとは、振り返りをメモしています。TOEIC対策をしていたときのノートを見たら「No.56以降集中して取り組めた」(失点なし)「No.32~35は上の空だった」(4問中2問を間違えてる)などとありました。
わたしはリスニング中に集中力を切らしがちなので、そこに関するフィードバックが多いです。批判ばかりだと辛いので、どうにか褒めるポイントを探すのも継続するコツです!
3.「動画や音楽で英語を聴く」のと「英語の問題を聴く」のは同じようで全然違う
「洋画、洋楽に接する機会が多いので、それがリスニング対策を兼ねている」パターンを考えていきます。英語好きな高校生の生徒によく見ます。
映画や洋画が英語学習に使えない、というわけではないんです。批判的なわけではありません。ただリスニングのテスト対策に向いているかと聞かれると、ちょっと怪しいな、という感じなんです。
それぞれ、コンテンツを理解するうえでの特徴を考えてみましょう。
洋画
・ジャンルによっては高度な専門用語が使われる
・場面設定がオフィス、学校、町中、授業の講義であることもある
・字幕(日英)がある(点数に伸び悩む学習者のほとんどは字幕有りで観ているとします)
・英語音声以外の情報が自動的に入ってくるため、音声に集中する必要がない(動作・表情・場所・BGMなど)
・起承転結を終えるまで、90分以上かける
・観ている間、学習者は字幕と映像を目で追いながら音声を聴いて、ストーリーや感情について考えている
リスニングテストに使えそうだな、というポイントは太字にしました。専門用語を理解しやすい、というのは洋画の利点ですね。また社会人や学生が主人公だと、試験によく使われるシチュエーションと似ている場面もあると思います。これは想像力を養う上で有効ですね。
ただ洋画の場合、余計な情報が多すぎてしまい、英字幕英語音声で観ても、実際にガッツリ英語に集中するには、かなりの集中力が必要になってくると思います。
洋楽
・同じフレーズの繰り返しがある
・歌詞カードと照らし合わせて聴けば音と音のリンキングを知れる
・リズムに合わせることを重視している場合、会話的な表現でないこともある
・試験で使われるような英語の表現でないこともある
・言っていることに脈略がないものもある
・場面設定がオフィス、学校、町中、授業の講義、ラジオの内容である歌は少ない
・起承転結を終えるまで4分かける、もしくは、起承転結がない
・繰り返し同じものを聴いてる場合は歌詞を覚えている
・歌詞よりも音に集中してしまうこともある
※音楽のジャンルによってだいぶ変わってくるところではあります!
1曲ぜんぶ違う歌詞、である歌は少ないと思います。同じフレーズの繰り返しは、学習には効果有りです!それにリンキングも学べるので、「音がつながってて意味不明」という問題がなくなっていくかもしれません。
でも肝心の歌詞が、試験英語的な表現でないことが多いのです。
リスニングテスト
《洋画と大きく異る点》
・感情的になることはあまりなく、問題がおきたとしても、淡々と事が進んでいく
《洋楽と大きく異る点》
・だいたいは場面設定がオフィス、学校、町中、授業の講義、ラジオである
《どちらとも大きく異る点》
・論理マーカー(howeverなど)を聞き取ることが重要である
・音声を聴くと同時に、問題文に目を通し、文章を理解する必要がある
と、いうわけでですね、やっぱりリスニングテストで点数を伸ばしたいなら、リスニングテストあるあるな表現が学べる問題に取り組んだほうが手っ取り早いんです。
読解問題と同じで、論理マーカーに着目することで、ある程度話の流れを予測することができます。でも洋画・洋楽では、論理マーカーはほとんど使われませんね。
それに、音声を聞きながら問題文を読むというのは、複合的な動作です。異なる2つの情報を、同時に咀嚼しなければなりません。これは洋画と洋楽と決定的に異なるポイントです。
どうしても洋画や洋楽でリスニングテスト用に耳を鍛えたい場合は、「洋画/洋楽を理解しながら、読書をして読書も理解する」ような練習方法が必要になってきます。個人的にこれは母国語でも大変だと感じるのでオススメしません😭💦
つまり、どうしろって言うんだよ!?
これまで書いてきたことをまとめます。
・理想は1日10分以上、毎日
・だけど現実的に考えて週に4回でもいいとする
・なぜ間違えたのかをしっかり検討する
・どうしたらその原因が取り除けるのか対処法を考える
・余裕がある日はスクリプトの確認や音読も行う
・洋画と洋楽からも学べることはあるけど、点数を伸ばしたいなら問題集に取り組む
じゃあこの学習方法を、どのくらいの期間やりますか!?最後の重要なポイントです。
理想は、現在から試験日までずっとです。秋に試験があるなら、4ヶ月間ずっと取り組めたら最高ですね!
でも現実は、他にもやらなきゃいけないことがたくさん!!!プライベートもそうだし、英語の試験だって、他の技能も伸ばさないといけないですよね。読解、英作文、スピーキング…。4技能を均等に伸ばすためには、リスニングばかりにかまけていられない!というのが実情だと思います。
そこでわたしがオススメするのは、(期間にゆとりがある方用ではあるのですが)、「試験日の2ヶ月前からリスニング対策を始める」です。約8週間ですので、日数で言えば最低32日、リスニングに取り組むことになります。
ただし、2ヶ月前に対策を始める限り、絶対に上記で挙げた頻度と密度を守ってください。頻度と密度を維持できなければ、リスニングの点数は効率よく伸びません!
2ヶ月という短期間で、コツコツみっちり行う。これをリスニング対策の課題として設定してみてください😊✨
※今年秋の英検を考えられている方々は、8月までは、ライティングとリーディング対策を重点的に行い、論理的思考と文脈推測力を強化することをオススメします💗(語彙4択問題の優先順位は一番最後でOKです)
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実践的応用力を鍛える英文法の教科書
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