英語の特性:長い主語は嫌い!(代わりに使うit)
おさらい
この章ではずっと、名詞は2語以上のカタマリになることもあるんだ!というお話をしていいますね。目次を見てください。
「不定詞」「動名詞」「疑問詞」「接続詞」「複合関係詞」の5つの文法は、長い名詞を作ることができます。
そして名詞を置くことができる場所では、「主語」「目的語」「補語」に名詞を置くことができる、というお話をしましたね!
ということは、「名詞ならなんでも主語・目的語・補語に置いとけば、文法的に問題なし!?」となるのでしょうか!?
残念ですが、「長い名詞のカタマリ」に限っては、どこに置いていいわけでもないのです…。今回はそのルールを覚えていきましょう!
そもそも英語では結論(=動詞)ファースト!
文型を思い出してください。いつでもVは2番目のポジションをキープしています。ほとんどの文章では、主語を伝えたらすぐに動詞!となりますね。ここが日本語の語順と違うところで、ビギナーズラックの人たちが躓きやすいところでもあります。英語と日本語の文章を見比べてみましょう!太字にしたところが主語・動詞です。動詞が対局の位置にありますね!
I like spinosaurus the most in dinosaurs <because the bones of their back fins are beautiful>.
私は<背びれの骨が美しいから>恐竜のなかでスピノサウルスが一番好きだ。
<>の中にあるのは副詞句です。日本語では副詞句が先に述べられ、最後に述語「好きだ」が置かれています。一方で、英語では、さっさと動詞「好きだ」を述べてしまい、副詞句は一番最後に置かれるのが一般的です。
SVという順番に慣れている人からすると、日本語の文構造って「で、あなたは……なんなの!?なんなの!?好きなの!?嫌いなの!?」となるみたいです。それくらい、さっさと動詞を述べてほしい文化を持っているということです😊
長い主語は嫌い!
では、以下のような英文はどうでしょうか?太字は主語です。
That the bones of their back fins are beautiful is the reason why I like spinosaurus the most.
背びれの骨が美しいということが、わたしがスピノサウルスを最も好きな理由だ。
thatという接続詞が後ろにSVの完全な文章を続けてそれなりに長い名詞を作っています。それが主語になっているんですね。動詞はなかなか発言されません。これもやっぱり聞き手・読み手を「で、それが結局なんなの?なんなの?」という気持ちにさせてしまうんです。
SVOCの時の、長い目的語も嫌い!
名詞は目的語にも置けますから、SVOCという文型のなかのOにも置くことができます。(Cに置くのもOKです!)
簡単なSVOCの文章といえば、こんなものがありますね。
I found the movie interesting.
わたしはその映画がおもしろいと分かった。
ではこの目的語の部分を、長い名詞のカタマリにしたらどうなるでしょう?
I found to watch the movie made by an Australian director around 2010 interesting.
わたしは2010年ごろにオーストラリア人の監督によって撮られた映画を観ることがおもしろいと分かった。
今回は不定詞「to V」を使って長い名詞のカタマリを作っています。さらに、the movieという名詞の後ろに「過去分詞」という形容詞が続いているため、ますます長い名詞のカタマリとなっています。形容詞が後ろから、どんな映画なのかを説明している文法です!(形容詞については、Chapter 2で詳しく取り扱います😊)
これをひと目で見た時、「interesting」が何に対する形容詞なのか判断できますか?分かりにくいですね!だから、SVOCの中のOが長くなることも、英語は嫌います。
じゃあどうする!?→「仮のit」をいったん置いておく!
代名詞の1つである「it」を召喚しましょう!
ここでの「it」は、「仮主語のit」「仮目的語のit」と呼ばれています。主語だろうが、目的語だろうが、ルールは簡単です!
1.長い接続詞・不定詞・動名詞のカタマリがくる主語/目的語に、itを置く。
2.本来、主語/目的語に置くべきだったカタマリを、文末に置く。
以上です!
上で挙げた例文をitを使った文章に書き換えてみます😊
That the bones of their back fins are beautiful is the reason why I like spinosaurus the most.
↓
It is the reason why I like spinosaurus the most that the bones of their back fins are beautiful.
まずは仮主語のitです。主語に置かれていたthat節を文末に移動していますね。
こうすることで「それがスピノが好きな理由なんだよね!」と主語・動詞の距離感が一気に近くなり、結論である「理由です」の部分が素早く伝えられるようになりました。itに関しては「ちなみにそれっていうのは~」という気持ちで文末をチェックします😊
I found to watch the movie made by an Australian director around 2010 interesting.
↓
I found it interesting to watch the movie made by an Australian director around 2010.
次に仮目的語のitです。SVOCのOが長かったので、itを置いて、本来あったカタマリを文末に移動させています。
こちらも「わたしはそれがおもしろいと気づいたんだよね!」と、主張をいち早く伝えられています。こちらも「ちなみにそれって言うのは~」という気持ちで、目的語の内容を最後に明らかにしています。
このように、英語では「誰が」「なにを」の情報よりも、「~である」「~でない」「~した」「~してない」という動詞の情報が一番気になってしまうのです!😊✨
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