誰も教えてくれなかった「ビジョンストーリー」
宣伝会議コピーライター養成講座がスタートして約2ヶ月が経過。なんと…なんとなんとなんとなんと!遂に、金の鉛筆GETだぜ!
しかも、受講のきかっけとなった『解決は一行。』(三才ブックス)の著者、細田高広さんから貰うことができた。
イェーイ!
課題は、【公園からゴミをなくすコピー(ポイ捨てをやめさせる)】を考えるというものだったんだけど、考えること自体が楽しくていくらでもアイデアが浮かんだ。
でも、この課題以外はまるでダメ。
全滅。どれほど頑張って考えても金の鉛筆をGETすることはできなかった。可愛くないピカチュウも、すっかり戦意喪失。
原因は明確だ。
ボクは、既存商品の中にある「コンセプト」を見つけるということができない。
というか、なぜか今までにない新しいアイデアや斬新な仕組みを考えてしまう。勝手に"0"から1を生み出してしまうんだよね。で、講師陣から大きな×を貰うっていう…。
ボクは、徐々にヒネクレはじめた。
もちろん、いいコピーを考えることは大切だと思うよ。でも、どんなにいいコピーを考えたって、その商品自体に圧倒的な需要がなかったら?いくらインパクトのある広告を考えたってムダじゃない?(注:ただの八つ当たりです)
モノで溢れかえっているこの時代に、素人のアタマを寄せ集めたところで時間のムダ。斬新な商品コンセプトを考えるところからコピーライターが参加したほうが「合理的」なんじゃないの?(注:あくまで個人の見解です)
ああ!
"0"から考えたい…!
っていうか、コンセプトそのものをつくるっていうことだけを学びたい。どこかにコンセプトのことだけを教えてくれる講座はないのだろうか?
ボクは、ダメ元でGoogle先生を呼び出し、【コンセプト 講座】というキーワードを検索してみた。すると、驚くことに一瞬でヒット!
『コンセプト開発実践講座』
おおっ!これこれ!ボクはこういう講座を求めていたんだよね。詳細を見てみよう。って…あれ?主催してるの宣伝会議じゃない?
え、講師は…細田さん!?
どうして…どうして誰も教えてくれなかったんだろう?つい、この間だったよね?細田さんの講座。一言くらい、最後にアナウンスしてくれてもよくない?今度、こういう講座もやるんですよって…。
ここに…これほどコンセプトについて真剣に学びたいと望んでいる「生徒」がいるのに…。
一体全体、どうなっているんだよ!
ボクは、そうブチ切れまくって講座の申込みを完了。再び、バリバリと電流をまき散らす「可愛くないピカチュウ」へと変貌した。
講座当日。
教室にスルッと入り込むと、現在進行形でお世話になっている事務局F氏と目が合った。あれ?この子...コピーライター養成講座に通ってる子じゃない?なぜ今日も?みたいな顔をされたけど、どうぞお構いなく♪
コンセプト、コンセプト、コンセプト。
ボクの頭の中は、講座がはじまる前からコンセプトのことでいっぱい。けれど、講座の序盤で語られたのは「ビジョン」についてだった。が、ビジョンの説明がはじまった途端、ボクのカラダに「電流」が走った。
こ、これが…ビジョン!?
ボクは、生まれてはじめて「ビジョンの概念」について理解することができた。細田さんのする説明は、今まで聞かされてきたどれとも違う。
まさか、コンセプトの講座でずっと知りたいと思っていた「ビジョン」について学べるなんて…夢にも思っていなかったな…。講座の内容聞けば聞くほど、曖昧だったものがストンと腑に落ちていくような感覚を味わった。
が、同時に自分の中で抑えていたものが一気に「爆発」するのも感じた。
もっと、早い段階でこの講座に来ていれば…あんなイヤな思いをすることもなかったのになって…。
ボクは、言語化に時差のある人間だ。
自分の感情のみならず、実現したい未来についても上手く相手に伝えることができない。やりたいことは無数にあるのに、誰にも理解してもらえない。
それ故に、いつも自分のカラダからはみ出るほどの「怒り」を抱えてきた人生だった。
こんなに「情熱」があるのに、どうして誰にも伝わらないんだ!!!
って。
更に、ビジョンハラスメントの餌食にもなった。
「で、どこ目指してるんですか?」と嘲笑されたり、ビジョンの概念を理解していないことをバカにされたりもした。お前は、何もかも思いつきでやっている薄っぺらい人間なのだろうと。
で、最終的には誰も頼んでいない「無料セミナー」を受けさせられる始末。
だけど、ビジョンハラスメント野郎がムリヤリ教えてきた「ビジョンの概念」は意味不明だった。本人は懇切丁寧に教えてくれていたつもりかもしれないけど、ボクは聞けば聞くほど余計にビジョンというものが解からなくなっていった。
どうして、誰も教えてくれないのだろう?
ボクは、いつしか哀しみにも近いような「疑問」を抱えるようになっていった。色々な本も読んでみた。けど、どの本にもボクが求めていた「答え」は載っていなかった。
自分自身のビジョンを語る人は多いのに、ビジョンのつくり方を教えてくれる人は"0"だったのだ。
ボクは、絶望していた。
しかーし!
今、現在。
ボクは、細田さんの『コンセプト開発講座』を受講してようやく理解することができた。みーんな、ビジョンについて教えてくれなかったんじゃない。
教えられなかったんだ!!!
どいつもこいつも。
自分自身のビジョンについて語ることはできても、ビジョンの概念やビジョンのつくり方について「教える」ということはできない。
ましてや、誰かのビジョンを創出するサポートするなんてことができるはずもない。
なぜなら、ビジョンの創出というのは誰にでもできることじゃないから。細田さんのように「経営×言葉」という観点でコピーライターをやっている人にしかできない、特別なスキルだからだ!!!
ボクは、大声で叫びたくなった。
日本にいる、未来のイーロン・マスクやスティーブ・ジョブズやココ・シャネルに告ぐ!もしも今、キミにしか見えていない「未来」をまだ「言葉」にすることができず「怒り」を抱えているとしたら…
宣伝会議へ行け!
そして、細田さんの『コンセプト開発実践講座』を受講するんだぁぁ!色々な人に「夢」をバカにされたとしても気にする必要はない。そいつらはただ、キミの夢を言葉にする「能力」のないクソバカ野郎なだけだ!
斬新なアイデアであればあるほど、最初に「誰に」話すかが肝心だと思う。
ちゃんと、言葉にするスキルのある人間に話さないと殺される。コピーライターに話さないと殺されるぞぉぉ!
って…
やば。
心の中で街頭演説をしているうちにしているうちにメチャクチャ講座が進んでいるじゃないか!周りを見渡してみると、他の受講生たちは配布された「ワークシート」に何かを書きこんでいるようだった。
ど、どうしよう…。
ぜんっぜん、ワークの説明を聞いていなかった…。えーっと、既存企業のビジョンについて書いてみるってことであってる?
うーん。
あんまり…企業のビジョンとかに興味はないなぁ…。まぁ、いっか。ボクは、自分自身のビジョンについて書いてみることにしよう。どうせ、何を書いたってバレないでしょ!
But、
悲劇は昼休憩の前に訪れた。
なんとですね、ビジョンのワークシートを提出してから休憩に入ってくださね!と言われたのだ。
やばい。
これ、誰かに見られると思って書いてないんですけどー!提出するって分かっていたら、もっとちゃんと書いたのに!最初に言っておいてくれよ!
ボクは、何とかして書き直そうとA4用紙をにらんでいたが、事務局F氏に「お昼の時間なくなっちゃいますよ!」とハッパをかけられて泣く泣く提出することに。(おかげで、ランチに食べた鶏蕎麦は無味無臭となった)
休憩後。
早速、ワークの講評がはじまった。他の受講生のビジョンが次々とスクリーンに映し出されていく。うわぁ…。めっちゃ、晒されるじゃん。これはもう、ムンクの『叫び』どころではない。
ただ、スクリーンを眺めていると次第に大きな「?」が頭の中に浮かびはじめた。受講生の書いた"一行"の後に、細田さんが添削した"一行"が映し出されていったからだ。どうやら、全員分あるみたいだけど…
これ、昼休憩の間に考えたのかな?
え、休憩…
1時間もなかったよね…。
もしかして、細田さんは飲まず食わずで考えていたのだろうか?それとも、神業的なスピードで"一行"にできるとか!?
答えは、たぶん後者。
細田さんは受講生の話しに耳を傾けながら、即興でも"一行"を生成していく。ビックリを超えて呆然。ど、どんな脳ミソをしているのだろうか…。
このときのボクの気持ちを"一行"で表現するとしたら…『鬼滅の刃』に例えてもいい?
おそらく、冨岡義勇の技をはじめて見た「伊之助」の心境に近かったと思います。
すごい…!
"一行"にする速さが違う。
別次元って感じ。時代を変えるリーダーの言葉を"一行"にするために生まれてきた人みたいだ。圧倒って言うか、圧巻って言うか。
ボクは、絶望した。
講座の申込みをしたときは、コピーライターのチカラを身に付けて「個人専門のコピーライターになりたい」って思っていたけど…。
もう、やめよう。
だって、既にこんなすごい人がいるんだよ。ボクの出る幕なんてなくない?
そうやって、ボクがヒッソリと落ち込んでいると「講評タイム」が回ってきた。
案の定、細田さんから「これは何ですか?」と質問された。はい。自分でもよく分からないです。分からないんですけど、ボクは何とか口を開いた。
「あ、自分の書きたい本にまつわるビジョンです…」
というのはウソだった。別に、このときのボクは本なんて書きたいとは思っていなかった。でも、他に思いつかなかったから。自分の経験から絞り出しただけ。本当に、これから何をしたらいいのか自分でも「謎」だった。
ボクは、恐る恐る顔を上げてみた。
細田さんは納得してくれているのか?いないのか?何とも言えない「表情」でPCを操作している。
あーあ。
こんなグチャグチャな「答え」じゃ冨岡義勇でも"一行"することはできないよね。と落ち込んだが、その"時"だった。
ボクは、細田さんがスクリーンに映し出した"一行"を見て思わず「あっ!」と声が出そうになった。
【Before】
【After】
嫉妬を恐れず、
表現できる時代をつくる。
す、すごい…!
あんなに取っ散らかっていたのに…グッチャグチャだったA4用紙が"一行"になっているじゃないか!そうそう。ボクが、本当に書きたかったのはこういうコトだったのかもしれない…。
スクリーンの中の"一行"を見つめていると、なんだか急に込み上げるものがあってちょっとだけ泣きそうになった。
いつもそうだ。
自分の中にある熱いものが「言葉」になると闇に光が射したような気がして感動する。
映像として見えている未来に、必ずたどり着けるような気がするのだ。
講座終了後。
ボクは、細田さんの脳ミソをグレープフルーツのようにギュギュッと搾って帰ることにした。もう2度と会えないかもしれないからね。思いつく限りの質問をこれでもかッ!としまくった。
そうしたら、そんなボクの様子を見かねてか、細田さんは「私でお役に立てることならいつでもどうぞ!」と言ってくれた。なんという神様発言!
ボクは、その言葉にフラッと甘えそうになったけど、やっぱり、この教室を出たら自力で頑張ってみようと思った。なので、名刺は貰わずに退出。
個人的には、講座内で「指針」となる"一行"を贈ってもらえただけで、もう十分だったから。
嫉妬を恐れず、
表現できる時代をつくる。
うん。
この方向性で合っている。
とはいえ、講座内ではまだまだアウトプットし切れなかった言葉がたくさんあるから、それらを全部出し尽くして自分なりに再構築してみよう。
きっと、もう少しだけニュアンスが変わるはずだ。ま、あくまで現時点での勘だけど。あとは、自分で考えてみる。やれるだけ、やってみるんだ!
ボクは、細田さんにペコリとお辞儀をして教室を飛び立っていった。
帰り道。
ふと、そう言えば細田さんのビジョンは何だったのだろう?と思った。あーあ。ボクはいつも自分のことに必死で肝心なことを聞き忘れてしまう。
でもまぁ、それも仕方ないか…。
これが、自分なのだから。
いつの日か、再会することができたら猪突猛進に突撃インタビューを仕掛けてみよう。
義勇さんのビジョンは何ですか?