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『メモの魔力』の1000問の自己分析をやったら「ハンバーグ」になっちゃった?
人生初の就職活動を通して「自分を知ること」の大切さを思い出した私は、もう一度、徹底的に自己分析をやり直してみることにした。
『メモの魔力』(幻冬舎)
と、呼ばれている本のチカラを借りて。
私は早速、手元に届いた『メモの魔力』をパラパラとめくりながら何とも言えない複雑な気持ちになった。
というのも、私はこの本が発売された当時、中に掲載されていた"とある図"が拙著『はじめての野心』に掲載したものと少しだけ似ているという理由で敵対視していたからだ。
「いいよね、タレント社長は。どうせ、担当編集者とセット販売で『スッキリ』のコメンテーターとかやってるから売れてるんでしょ!」と。
まぁ、俗に言う
低レベルな「嫉妬」というやつです。
いや、嫉妬ではなかったか…。
だって、考えてもみたまえ。著者である前田裕二氏は私が嫉妬できるほど「近い存在」ではないじゃないか。
おそらく、私が抱いていたのは「嫉妬」ではなく「恐れ」だったんだと思う。同じジャンルで、天と地ほどに売上の違う本の存在は脅威だ。
もしも、この本を読んで圧倒されてしまったら?私はもう2度と、自己分析について書くことができないかもしれない。
そんな無意識の恐れとプライドが邪魔をして、私はメモ魔から逃げに逃げ続けてきたのだ。
しかし、そうやって避ければ避けるほど頭の片隅ではいつも気になっているもので、結局、発売から2年経った"今"こうして手に取ることになってしまったという…。
やっぱり、
この本は「運命本」だわ。
っていうか、どの本にもそれぞれ読むべきタイミングというものがあるような気がする。
『メモの魔力』という本に関して言えば、今まさに「時が来た」という言葉がピッタリだ。私は、まるで何かの封印を解いていくかのように、ゆっくりとページを開いていった。
読了後。
私は泣いた。
終章を読み終えた瞬間にどこからともなく熱いものが込み上げてきて、居ても立っても居られなくなってしまった。
ホント、この場を借りて謝りたいと思う。タレント社長の本だから売れているなんて言って申し訳ありませんでした!
違うよ。
この本が売れているのは、紙面から溢れ出てくるような著者の「熱」が伝わってくるからだ。
私は、そんな狂気にも近いような著者の熱に感化され、何がなんでも1000問の自己分析をやり切ってやるぜ!という気持ちになった。
が、これがまたとんでもない山登りとなりまして…。湊かなえ氏の『山女日記』ではなく『メモ魔日記』として1合目からお話ししたいと思います。
『メモの魔力』はエベレスト!?登山も自己分析も準備が大切◎
まず、私が最初に取り掛かったのは1000問という膨大な量の自己分析に挑むための準備。
そう!ガチの登山をするときにColumbiaに駆け込んで登山グッツを揃えるように、自己分析をするときはそれ専用のノートとペンを買うべし。
ということで、私はお馴染みの文房具店で著者がオススメしていたモレスキンのノートを買うことにした。
が、
え、ちょっと待って!
これマジで高くない?こんなんメモを取っているうちにノート破産しちゃうよ!と思ったので、私はNOLTYのログタイプ(A5)を買ってみることにした。
うむ。
なかなかいい感じ。
ペンは『0秒思考』(ダイヤモンド社)という本を読んでから愛用しているPILOT V CORN(黒)を3本まとめてGETした。
よし。これで準備はOK!
カタツムリで登りはじめた、1合目。
はい、自分勝手に1合目とか言っているけど、これは【レベル① 夢についての100問】のことです。
1000問の自己分析の冒頭部分だからメチャクチャ簡単なはず!と思って意気揚々とやりはじめてみた私でしたが…あれ?あれあれ?自己分析って、こんなに時間がかかるものだったっけ!?って動揺してしまった。
それはたぶん、レベル①の問いが本質にグサッと刺さるものばかりだったからだと思う。
著者も、人生をより良く生きるための軸を見つけたいと思っているだけならレベル1の100問に答えるだけでも十分でしょう。と言っているもんね。
本当に、その通りだと思う。
とにかく、私は1合目から冷や汗がタラタラ。特に、2問目の【現在の自分の「人生の軸」は?】という問いを見た瞬間、あ、2問目にして今まで自分がやってきた自己分析が終わってしまったな、と愕然とした。
と、とりあえず…
自分軸をつくっておいてよかったな…。
これ、何にもなかったら2問目で挫折していたんじゃないだろうか・と思いながら、私は現段階の自分軸である【自由・好奇心・向上心・凛とする・慧眼】という言葉を書いていった。
その後も、引き続き色々な角度から飛んでくる質問に悪戦苦闘しながら100問を終了。なんとなく、頭の中にかかっていた霧が晴れた気がした。
タマネギの皮をムキムキ、2・3合目。
カタツムスピードで登り切ったレベル①の後に待ち受けていたのは【性格についての100問①②】だった。なぜか、レベル①より各段に答えやすい。
きっと、馴染みのある問いが多かったからだと思う。誰でも自分の性格については日頃から聞かれたり考えたりしているものだから。
しかし、こうやって自分の性格について深く考えるというのはタマネギの皮をむいていくようなものだな、と思った。今までも、自分なりにムキムキと1枚ずつ丁寧に皮を剥いで自分自身の核に近づいてはみたけれど、まさか、ここまで深掘りしていくことになるとはね。
1枚、2枚、3枚…
私は、自分の皮を剥いでいくたびに「新しい発見」があることに気づいた。そして、むいてむいてむき切った結果、最終的に"0"になった。
あーあ。
もう、芯すら残ってないじゃん。今日のタマネギはもう完売です!
みじん切りになってバラバラ、4・5合目
何なんだろう…この感覚は…。
【経験についての100問①②】のあたりを歩きはじめた頃だったと思う。私はなぜか、みじん切りにされていくようヒリヒリ感を味わうようになった。
今まで、それなりに色々な自己分析をやってきたけど、こういう経験ははじめてだった。
しんどい。
ただ、その一言に尽きる。
なんていうか、過去の経験がありとあらゆる場所から引っ張り出されて日の光で焼かれていく感じ。もう一度、再体験しているみたいだ。次々と、脳内で再現ドラマが放送されていく。
もう、これ以上は観たくない…。
そう思えば思うほど、私の自己分析スピードは落ちていった。でも、ここは4・5合目だよね?まだまだ序盤じゃない?今やめたら何も変わらないんじゃないの?
立て…!
立つんだジョ~ッ
と、自分を励ましながらたどり着いたレベル5の100問目。【人生で一番大きな秘密は?】という問いの答えを書き殴った瞬間、1000問すべて答え終わったらこのノートを抹消しよう、と誓った。
ていうか、1000問をやり終えるまでは死ねない。この『DEATH NOTE』を遺したまま死んでなるものか!生きろぉぉ!生きるんだ私ぃー!
人間関係のミンチ肉のできあがり、6・7合目
突然ですが、ミンチ肉をつくる機械って見たことありますか?あ、それです、それ。頭の中でイメージしているので合っていると思います。
そうそうそうそう。
お肉を入れてぇ~、グルングルン回してぇ~、最期にムニュッと絞り出すやつ!
うん。
そういうことです。
【家族・親戚/友人・知人についての100問】の部分の自己分析をやりはじめたらね、バッラバラでグッチャグチャのミンチ肉になったんですよ!
で、気づきました。
そうか、『メモの魔力』の1000問の自己分析は「登山」じゃなくて「ハンバーグ」を作るためのレシピだったんだなって。
なぜ、そう思ったかというとここまで自分のことをバラバラにしてくるものが他にないからじゃ!人間ハンバーグに決まってるじゃん。
そう思いませんか?
だからね、私は6・7合目あたりからは自己分析じゃなくてハンバーグ作りなんだと思うようになった。はい、お手軽な現実逃避ですね~。
さぁ、あともう少しで「極上ハンバーグ」が食べられますよ!レッツ、ポジティブシンキング!
怒りの鉄板でジュージュー、8・9合目
って、テンションを上げて一気に駆け上がろうとしていたのに…。ええ、レベル⑧⑨のタイトルを見た瞬間アゴが外れそうになりましたよ。
え、またこのパターンかよ!って感じ。
ここまではさ、あと少しあと少しって言いながら何とか7合目までは登ってこれたけどさ、もう、限界です。一体全体、何なのこれ?
レベル②③のときにも発狂しそうだったんだけどさ、同じテーマを2回繰り返すのしんどいんじゃー!
「性格」と「経験」×2で終わったかと思えばここに来て【勉強・仕事についての100問①②】って…マジで鬼じゃない?
しかも、②に関して言えば私は企業に就職なんてしたことがないから自分で質問を修正しなきゃいけないし。
もう、何なんだ!
何でこんな本つくったんだ!
と、ブチ切れまくって本を床に投げ、その怒りの矛先は担当編集者である箕輪厚介氏へと向かった。『死ぬこと以外はかすり傷』とか言ってんじゃねぇよ!この本も売れていて羨ましいぞぉぉ!うわぁぁぁあ!
遂に、極上ハンバーグの完成か?10合目
もう、ムリ。吐くかもしれない。毎日毎日『メモの魔力』と向き合って、そろそろ口から1000問の自己分析が出てきそう…。
私は、気づいたら夢の中でも自己分析をやるようになっていた。が、あと少し…。本当に、ほんとうにほんとうにほんとうにほんとうに…あと少しだ…!
ここさえ…
【趣味・嗜好についての100問】さえ終われば、この修行のような日々から解放される。
私は、自由だぁぁ!
って走り出したいところだけど…
ん?おやおや?あれ?レベル⑩が一番ラクじゃない?もしかしたら、思考回路がショートしているだけかもしれないけどこれは小走りで行ける!
いいぞ、いいぞ。
このままラスト100問まで駆け抜けていっちゃおう!私の中で、94・95・96・97…とカウントダウンがはじまった。
98問目。
【もう一度1000問に挑戦したいか?】という質問に、誰がやるか!やるワケないだろうがぁ!!!という暴言を書き殴った。
99問目はトットット。
そして遂に…ついについについについにキターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
やったぁ!
やったぁ!
やったぁ!
夢にまで見た頂上だぁぁ!
さぁ、極上ハンバーグを食べよう!
さぁ、みんなで一緒に!
いただきま…
と、言いかけた"時"だった。私は、あるものがないことに気づいてしまった。
あれ?
ソースは!?
あれ?あれ?あれ?あれ?ハンバーグはできたけど肝心のソースがないじゃないか!
って、ちょっと待って!
ハンバーグとかソースとか言っているから意味ワケワカンナイ肝心になっちゃってるけどさ、1000問目の答え(ソース)って何?
自己分析をして見つけた「人生の軸」は?
って書いてあるけど…
人生の軸ってどれのことを指しているんだろう?もしかして、ここからが終わりのはじまりだったりする!?
ダダーン!
やばい。絶対そうだ。これは「抽象化」の欄から探し出せってことだ。というか、人生の軸って1000問の自己分析をしている途中からなんとなく見えているやつのことだよね?そうだよね?合ってるよね?
誰か、誰か教えてください!!!
って叫んでも「誰か」が答えてくれるワケもなく、私は、自分なりの解釈とやり方で「人生の軸」を見つけてみることにした。
た、たぶんだけど…
抽象化の欄に繰り返し出てきた言葉を抽出して、登場回数の多い順にランキングをつけていけばソース(人生の軸)をつくることができるはず!
きっと、この『DEATHNOTE』の中には美味しいエキス(言葉)が詰まっているはずだから!
オリジナルソースをつくろう!0合目
とりあえず、3冊の自己分析ノートを1ページ目からパラパラパラパラ。
そして、2回以上抽象化の部分で登場してきたキーワードに赤いペンを使って〇をつけるっと。で、各キーワードがそれぞれ何回登場したかを集計。
よし。
完成!!!
それでは、抽象化の部分に登場したキーワードのランキングを発表したいと思います。(ジャーン!ジャカジャカジャカジャカジャカジャン!)
栄えある第1位は…
なんと、
挑戦でしたぁー!!!
パチパチパチパチパチパチ。と、心の中で拍手を送ってはみたものの、自分にとってはメチャクチャ意外な言葉が出てきてビックリした。
挑戦。
たぶん、1000問の自己分析に取り組まなかったら一生自分の中では言語化されなかったと思う。そのくらい、挑戦という言葉は自分の中で顕在的ではなかったから。
私は、なんとなくこの「挑戦」という言葉は自分の中のビジョンを指し示す言葉かもしれないなと思い、関連性のある「冒険」「経験」「再生」といった付属品の言葉たちと一緒にポケットの中にしまっておくことにした。
そう、ビジョンについては後でゆっくり考えてみることにしよう。ということで、次!
第、2位は…
情熱でしたー!!!
エエッ!
マジか!と心の声が漏れるほど、これまた私にとって「情熱」という言葉は意外なものだった。情熱なんて、自分には「無縁」の言葉だと思っていたからね…。
でも、不思議とメモを取っていると「挑戦」の次に登場する回数が多くて驚いた。
情熱…かぁ…。
なんだか、遠い昔の言葉のように感じた。
けれど、どうしてだか私は自分自身の中にある「情熱を社会に向けて燃やしているときだけ」はネガティブな資質をすべてポジティブに変換できる人間なんだということを知った。
ま、高校を卒業すると同時に失ってしまっていたものだということも判明したんだけどね…。
失っていたのはそれだけじゃない。
「情熱」という言葉に続いてランクインしたのは「エネルギー」「自由」「表現」「慧眼」という4つキーワードだった。どれもこれも、今の自分には"ない"ものばかりだ。
ハァーーーーーーーーッ。
と、深い深い深いため息をついた。が、もしかしたらまた舞い戻ってくる可能性もあるよね!と自分を励まし、情熱をはじめとする5つのキーワードは登場回数の多い順に並べて「自分軸」にすることにした。
1.情熱
2.エネルギー
3.自由
4.表現
5.慧眼
Ohhhhhhhhhhh!
1000問の自己分析をする前の自分軸は「自由」「好奇心」「向上心」「凛とする」「慧眼」だったのに、結構変わったなぁ…。
まぁ、それだけ著者が書いていた通り、自己分析が中途半端な段階で終わっていたのだろう。まだまだまだまだ足りなかったってことかもね。
ほーんと、
やってよかったぁーーー!
私は、そう心の中で叫びながら1000問の自己分析の後片付けをすることにした。
そうです。
1000問の自己分析に取り組んだ後のノートは『DEATH NOTE』。ホント、マジで誰かに見られたら人生終わるから。私、こういうモノは思い出として取っておかずにサッサと捨てるタイプなんでーす。シュレッダーにかけてバリバリとね。
サヨナラ!
1時間後。
3冊分の『DEATH NOTE』をすべて抹消すると、不思議なことに2周目もアリかもしれない、と思ってしまう自分がいた。
あんなに苦しんだのに、10年後とかならもう一度やってみてもいいかなぁ~なーんて思ってしまったのだった。
……。
も、もしや…
これがジョージ・マロリーの境地なのか?
「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」
「そこにエベレストがあるから」
っていう名ゼリフを言う日が来ちゃう感じ!?うわぁ。元野心家の私も、遂に「登山家」になる"時"が来ちゃいましたか。ホント、人生って何が起こるか分からないですよねー。
この先で「大成功」するかもしれないし、またまた3度目となる「大失敗」をするかもしれない…。
いや、でも私は大丈夫だ!
だって、私には『メモの魔力』の1000問の自己分析から導き出した揺るぎない「人生の軸」があるから!その軸は、必ず私をポジティブな方向へと連れていってくれる。
それに、もしも万が一進むべき道を失ってしまっても、私は1000問の自己分析Season1を乗り越えた経験をもとに何度だってエベレストに挑戦するだろう。
そして、そのときはこの本の終章に書いてある言葉を自分で自分にかけてあげたいと思う。
ペンをとれ。メモをしろ。
そして人生を、世界をかえよう
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