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長文メールは、一行で退治する。


長電話もイヤだけど、長文メールが送られてくるのはもっとイヤだな…。

電話に頼らず何もかもをメールの文章で伝えられるようにする練習をしていたボクは、ふと、そんなことを思った。

長い、長い、長い。

3スクロールにも渡るメールが送られてくるとゾワッとするし、ぶっちゃけ重いな、とも感じる。

あ、一応説明しておくけど、ボクがここで言う「長文メール」というのは感情的で叙情的で私的な内容テンコ盛りの湿度100%メールのことだ。

企画内容を説明するために、仕方なく長くなってしまったメールはボクの中では「湿度メール」にカンウトしない。

そういったメールは事務的な内容で構成されていて、大抵の場合①②③と数字で区切られているものだから。

湿度メールには秩序がない。

ただ、つらつらと感情が吐露されている。

こういった長文メールの厄介なところは、受信者に「義務感」を抱かせるところだ。

こんなに長いメールを送ってきてもらったんだから、この熱量に見合った内容のメールを返信しなければいけないな、と。


昔、野菜家だった頃。


とある仕事関係者がこういうタイプの人間で、いつも業務連絡と一緒に長い長い長い「身の上話」や「顔文字」をつけて寄りかかってきた。


ボクは、その人から長文メールが送られてくるたびに「付属品」へのコメントを考え、文面の熱量やテンション(行数)に合わせるような内容の返信をしていた。

けれど、

それは想像以上にしんどい作業だった。

段々、相手のボリュームに応えることができなくなっていった。返答は事務的に。次第にそっけなくなっていった。

すると、相手は豹変した。

いや、エスカレートしたという表現が正しいかもしれない。24時間、ひっきりなしに長文メールが届くようになり、文面もどんどん攻撃的に…。

メールハラシメントという言葉がピッタリな、ボクの人格を否定するような言葉で埋め尽くされたメールが届くようになった。

それだけじゃない。

言葉で殴ってくる日があるかと思えば、翌日には「傷つけてしまいましたか?」「怒っていますか?」といったご機嫌伺いのメールがジャンジャンと送られてくる。

一体全体、

どういう精神状態!?

とりあえず、ボクはもうそれ以上メール内容には触れず、ただただ淡々と業務をこなしていった。

イベント最終日まで、

必要最低限の連絡をして終了。

まだ、しばらくは継続したい仕事ではあったけど、メルハラ野郎と関わっているだけでエネルギーが消耗するので退散することにした。



1週間後。



メルハラ野郎から受けたダメージをなかなか回復させることができず、日に日に「恨み」が募っていった。

ボクは、メールでは送ることのできなかった「暴言」を紙の上で吐き、罵って、罵って、罵りまくった。

この時間泥棒がッ!


と。

でも、SNSや電話番号を捨てた"今"なら分かるよ。メルハラ野郎は何も悪くなかった。

すべては、当時のボクの「線引きの甘さ」が引き起こした惨劇だった。

相手をモンスターにしてしまったのは、ボクが自分自身を確立できていなかったせいだ。


そう、ボクには自分のメールスタイルというものがなかった。


人の影響を受けやすく、いつだって相手の雰囲気によってコロコロと自分の文面を変えてしまう。

相手が長文メールなら、なんとなく行数を合わせて熱量を返信。

数行のフランクなメールを送ってくる人のときは、自分もパパッと簡単な返信をしてしまう。

あー!

ボクはなんてブレブレな人間なんだろう!

これじゃダメだ。これはしんどい。こんなんじゃ長文メールを送ってくる人達が「誤解」と「期待」をしてしまう。

この人は、自分の長い長い長いメールにも応えてくれる人なんだって勘違いをさせてしまう。

過去の仕事関係者がメルハラモンスターになってしまったのも当然だよね。

人は、相手が途中から変わることに一番強く反応する生き物だから。

できないことはできない。

違うものは違うと。

最初から、ちゃんと線を引いて提示しておかないといけないんだなぁ…。

これからは、メールに限らず相手のあり方に合わせて自分を変えるってことはしないでおこう。

誰に対しても一律で、自分はこういうスタイルなんだ!と強く主張していこう。


ということで…

まずは、自分のメールスタイルを確立しよう!


ボクは、改めて自分自身のメールスタイルについて考えることになった。

ふうむ。

そうだなぁ…。

よくよく考えてみると、ボクにはネットに載っているような「定型文」や「例文」のようなメールが合っているような気がする。

というより、

それがラクだし安心する。

時々、冒頭に「お元気ですか?」とか「暑い日が続きますね」みたいなことを書いてくれる人がいるけど、ボクはそれにリアクションしたほうがいいのかな?とか色々なことを考えちゃって疲れるんだよね。

文末に、気遣いの言葉が書かれているときも同じ。もちろん、嬉しい場合もあるんだけど、キホンは重たいんだよなぁ…。


だから…

ボクは何も書かないでおこう!


メールには、いつも必要最低限のことだけを書く!AIよりも機械的に。季節の挨拶も、気遣いの言葉もいらない。

「ご自愛ください」なんて書かなくても、大抵の人は勝手にご自愛しているだろう。

結局、今までのボクがそういった付属品をメールにつけていたのは、すべて損得勘定からだった。

冷たい人だと思われて、仕事がスムーズにいかなかったらイヤだ。できる限り、好印象な人物演じて仕事のリピートを獲得したい。

そんなことばかりを考えていた。

「またお会いできることを楽しみにしています」って何百回も文末に書いたことがあったけど、一度たりとも"そう"思ったことはない。


全部、社交辞令だった。


ボクは本来、アサヒよりもスーパードライな人間だ。多くの人は、ボクのことを見た目だけで「丁寧」とか「優しそう」って言うけれど。


全員、見る目ないなぁ。


って、そんな話はさておき。今後は誰に対してもスパッとドライに返信することにしよう。

決めた。

依存心MAX、湿度100%のメールが来ても相手の気持ちを察しちゃダメだ。

相手はそういうメールを送ってくる主義なのであって、ボクがそこに合わせていく必要はない。

否定する必要もない。

だって、どんなメールを送ってくるのかは相手の「自由」なのだから!ボクも、自分がしたいように自由に気ままに返信していいんだよ!



数週間後。



だいぶ、ドライな返信にも慣れてきた。もう、罪悪感のカケラも残っていない。

冷酷非道。上等。

ボクは、ボクのやり方でやっていく。

どれほど湿度たっぷりのメールが来たって、全部、一行で返信してやるのだ。

ま、厳密に言えば「数行」なのだけど…。

面白いことに、湿度70%以上の長文メールに数行で返信をすると、それ以降、ピッタリとメールが届くことがなくなった。

以前は、最低でも2、3回のやり取りが続いていたというのに。

やっぱり、

最初が肝心なんだなぁ…。

「この人に泣きついても相手にしてくれない」ということをRE:①で感じてもらうことが大切。

損得勘定に駆られて、相手を自分の境界線の内側に入れてはいけない。

凛としていること。

そういえば、これはボクの5つの自分軸のうちの一つだったな…。

いつもすぐに忘れてしまいそうになるけど、今日からは自分の真ん中に置いておこう。


芯を強くして生きていくんだ。



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中村慧子|Keiko NAKAMURA
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