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ゲームセンターで10年前の息子と10年先の未来を思う

今日は、10歳くらいのダウン症の男の子とお母さんをゲームセンターで見かけました。

男の子は次々に興味のある方へ向かい、乗り物に乗っても最後まで座っていることはありませんでした。
お母さんはもともと浮かない表情をしていましたが、少しずつ顔が険しくなっていくのがわかりました。


私はというと、23歳になった息子と一緒に休日を過ごしにゲームセンターへ来ていました。


そんな中、息子が10歳の頃を思い出しました。


手探りの育児と息子の成長


10歳の頃、多動が激しかった息子の手首を私はしっかり握りしめていました。
成長している実感が得られず、ただ時間だけが過ぎていくように感じていました。
希少疾患ということもあり、どう成長していくのか手探り状態。周りの子どもたちが羨ましくてたまらず、焦りや苛立ちを感じる日もありました。


「いつか言葉を話し出すかもしれない」

そんな希望を抱きつつ、ふとした優しさや小さな頑張りに救われ、一筋の光を見出して育児を踏ん張っていたのです。


あれから13年



息子は23歳になりました。
重度知的障害があり、言葉を話すことはできません。それは変わりませんが、彼の成長はというと、

• 自分のペースでできることが増えてきた。
• 自分のお金でゲームセンターを楽しむ。
• 声かけは必要だけれど、一通り家事をこなす。
• 一人で事業所近くまで電車で移動する。
• 食べたいものや行きたい場所を自分なりに伝える。
• 苦しい時、何が原因かを教えてくれる。
• お金の計算は難しいけれど、一人でコンビニで好きなものを買う。
• 好きな服を選ぶ。

私はというと

・立ち止まってしまった時には一緒に乗り越え、時を重ねる中で彼の「好き」や「嫌い」がしっかりわかるようになってきました。
・周りと比べることがなくなりました。
・自分のことがわかるようになり、生きやすくなりました。


2人の時間を楽しめる今


かつては、途方に暮れることも多かった育児でしたが、今では息子との時間を楽しめるようになりました。それは、離れる時間が増えたからでもあります。


息子は一人で部屋で過ごす時間ができたり、自立に向けた成長をまだまだしています。

私自身も少しずつ肩の力が抜けてきたのかもしれません。

未来への思い


息子と積み重ねてきた時間の中で、こう問いかけることが増えました。

「あなたはどうしたい?」

息子に、聞く日がくるとは思ってもいませんでした。


もっとこうなっていてほしいと思う未来には届きませんが、これからの10年も一緒に楽しみにしながら、日々を丁寧に過ごしていきたい。そんな気持ちを新たにしました。

もちろん彼が彼らしく過ごせる彼の生活の場があることを願っています。


ゲームセンターでの出会いが、あの頃の自分を振り返らせ、今の自分を見つめ直す機会をくれました。



この日常の積み重ねが、未来の笑顔に繋がっていくのだと思います。

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