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[奄美の食①]油ゾーメン(レシピあり)
奄美が沖縄県だと勘違いする人がいるように、「油ゾーメン」を沖縄の「そーみんチャンプルー」と勘違いする人は非常に多い。
【地図上】奄美群島(鹿児島県奄美市および大島郡)
鹿児島県に属する「奄美群島」は
「奄美大島(単に大島とも)」
「与論島(よろんじま、よろんとう)」
「喜界島(きかいじま)」
「沖永良部島(おきのえらぶじま)」
など8つの島で構成されている。
沖縄の「そうめんチャンプルー」に似ているが、
奄美地域の「油ゾーメン」は、
炒める時にだし汁を入れるのが特徴である。
情報発信技術の進歩により、油ゾーメンは昔より存在を知られるようになっているが、どこの家庭にも根付いている間違いのない奄美ソウルフードである。
奄美料理の代表であるかのように紹介される「鶏飯」は、実は一般家庭に普及していったのが、戦中/戦後あたり以降だそうであり、歴史が浅い。まあ、鶏肉や卵は昔は高級品だったのだから、当たり前と言えば当たり前である。
事実、奄美出身の父の5人兄弟は口を揃えて「あんなもの子供の頃見たことも食べたこともない。」と話している。
現在のスタイルで食べられるようになったのは
1941年から第二次世界大戦後にかけてのこと。
さらにこの頃から、一般家庭でも食べられるように
なったそうです。
つまり、ソウルフードとしての「油ゾーメン」は圧倒的に先輩である、と言える。江戸時代から存在した料理のようで、明治以降には一般家庭で食べられるようになった。
薩摩から持ち込まれ、乾麺で保存がきくことから
奄美地域でよく食べられるようになったのではないか
という説があるが、定かではない。
明治以降、「油ゾーメン」は一般家庭にも広がり、
比較して言えば、「油ゾーメン」に必要な最低限の材料は、①素麺②油③出汁④塩だけであり、高級食材コストも手間もかかる「鶏飯」より庶民への浸透度が圧倒的であったのは言うまでもない。
父が子供の頃の思い出で繰り返し語るネタのひとつに、「母ちゃんも近所のおばちゃんも、油と塩だけであっという間に美味しい素麺をつくったものだ。」みたいなのがある。
専業主婦といったものが存在しえない、江戸期~昭和中期まで、農業、漁業、紬の機織り、などなど親はとても忙しかったはずである。
そんな忙しい合間にも短時間でつくれる故、お腹を空かせた子供が素麺を食べる機会は余程多かったと想像出来て、ソウルフードと呼ぶ存在であるのは必然であろう。
さて、この「油ゾーメン」だが、味噌汁がおふくろの味/自身のソウルフード的に語られるのと同様、店や家庭によって味付けは様々で、正直「これが正しいレシピ」という定義は存在し得ない。
ただし、前述の通り、必ず使うモノは ①素麺②油③出汁④塩である、と言うのに異論のある人はいないと思われる。これにもうひとつ、個人的に必須材料として欲しいモノを挙げるとすれば、⑤いりこ(煮干) であろうか。検索で調べてみると、いりこを使うレシピが大半で、前出の農水省のWebサイトのレシピでも使っている。一方、多数派ではないものの、いりこを使わないレシピも散在する。と言う事で、いりこは私が引き継いだレシピに必須の材料、という位置付けにしておこう。私が義叔母に奄美で習った作り方を私のスタンダード・レシピ風にまとめておく。
★材料(何人分 何g 何cc とかは書きません)
・素麺
・いりこ(煮干)
・和出汁 ※ 常備「白だし」を使う事多し
・塩 ※ 市販の出汁に塩分ある際は不要
・ごま油 ※その他の油でもOK
<以下はお好み>
・青菜 ※ 青ネギ、ニラ、等、何でも。
(常備している 小松菜 使う事が多い)
・ツナ缶
★作り方
1.お湯を沸かし始める。
2.いりこを鍋に入れ、ひたひたぐらい水を入れる。
3.鍋に火を入れ、沸々してきた辺りで和出汁を入れる。
4.切った青菜やその他具材入れ、沸騰手前で弱火にする。
5.ごま油多めに入れ、かき混ぜて乳化っぽくする。
6.沸いたお湯で素麺茹でる。少々固めで引上げ水で締める。
7.麺を少量食べる分だけ鍋の汁にくぐらせ温める。
8.具材と少量の汁と皿に盛って出来上がり。
細かくステップを書いているが、要は、いりこを和出汁と煮立てたところに具材と油を入れて、茹でて水切った素麺を放り込むだけである。
・・・絶望的に簡単なのだよ。
以下、ツナ入れないパターンの写真を参考までに。
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水に漬ける時間長い方が良いとは言われるが余り気にしなくてもOK
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これも、いりこ使いこなす基本。
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素麺はあっという間に茹で上がる。後で汁にくぐらせるので固いかな?ぐらいでOK
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素麺を先に茹でる、あるいは素麺が汁より先に茹で上がっても全然構わない。
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麺を一気に入れて加熱すると、汁を全部吸ってしまって、汁は無いわー麺はぐにゃぐにゃだわー、になってしまう。(笑)
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父が祖母に作ってもらったように、私は娘に「油ゾーメン」を、すぐに何か食べたい時にチャチャっと作って、一緒に食べている。
私は、いくつかの料理で奄美の文化を引き継いでいる、と実感している。