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2016/04/11 雷のような香りジッキー

化粧道具を殆ど持たない自分が
最近 ゲランの香水たるものに 興味を持つようになりました。

もともと...2007年、根気の無い自分がアロマ学校2日完結コースに通い
アロマアドバイザーなる資格を取得したところから
香りにたいする興味はあったと思います。
(それ以降の試験は 読み書き不自由なため断念)

音楽制作の納期が迫り、万策尽きて追い詰められたとき...
なにげに、お香を焚いたり、セージを焚いたりすると
楽曲動機がスルスル降りてくることが多いことから
香りと もっと仲良くなりたいと 思うようになってきた次第です。

先日 新月の日(4/7) ゲランにお願いしていた
香りのムエットが届きました。

ネットで調べた香水の中から 直感で気になる5種類を選び
ムエット送付していただきました。

① ジャルダンバガテール
② ナエマ
③ ジッキー
④ シャマード
⑤ ルールブルー


自分は 読み書きは得意ではないので
この5種類の中から ひとつ選ぶときの決め手は「直感」しかありません。

③のジッキーだけ突出した 動きとスケールを感じました。
良い意味で...「何だ こりゃ?(What is this?)」
良い意味で...意味不明です。

その他の香りは「香水」というカテゴリーの中で
キチンと仕事をしている印象。人間がハンドリング可能な香り。
③ジッキーのみ「香水」の範疇を超えてしまっている。
一体何があったんだ ③ジッキーは...
目に見えないけれど 言葉に言い表し難い 強烈な存在感がある。
もはや 人間のチカラではどうにもならない天災事変...
とくに雷というイメージが湧いてきます。

トートタロット16番「塔」の描く爆発的エネルギーといった感じ。

お財布事情もあり 全ての香水はとてもじゃないけど買えない。
気になって③ジッキーについて深く掘り下げてみて なるほど...と納得した。
嗚呼... そんな 事情があったのか...
自分は 近々③ジッキーと出会うことになると思います。


他の4種類の香りも含めて、まとめてみたので
香り選びの参考になれば幸いです。

試香したときの印象を 自由に書いてみることにしました。
ボキャブラの少ない自分が 自由に書くと ご覧の通りめちゃくちゃです(汗)。

ジャルダンバガテール
香り:白い花々の香り
静動:動
速度:ゆるやか
位置:右寄り左寄りでもなく ど真ん中。
高さ:高いところでフワフワ
表情:笑顔
色彩:さくら色
人数:いっぱい仲間が居る感じ
イメージ:ふんわり


ナエマ
この香水は 2016年 生産終了で廃盤になるらしいです。
駆け込み需要で、日本の直営店舗でも相次いで完売のもよう。
ただ、オードパルファムのラインだけは残るとのこと。

香り:ややグリーンがかった 凛とした薔薇の香り
静動:動(ゆるやかに 地上から空へ上昇する感じ)
速度:ゆるやか
位置:真ん中
高さ:はじめは低いが(地上から立ち上る感じ)徐々に高くなる
表情:凛とした隙のない表情
色彩:山吹色
人数:ひとり
イメージ:孤独な職人


ジッキー(ストーリーはこちら)
香り:存在感のある香り
静動:動
速度:速い
位置:常に動いている 制御不能
高さ:同上
表情:捉え所がない 捕まえられない
色彩:色というよりも 稲光
人数:数え切らないくらいダイナミック
イメージ:大自然の雷

1787年 フランス革命(〜1799年)
1844年 ゲラン初代が店を出す
1887年 エリック・サティ「サラバンド」が生まれ...
1889年 パリ万国博覧会(エッフェル塔 建立)
1889年 ジッキー誕生(二代目 エメ・ゲラン55歳のとき)

参考文献:ロジャ・タブ「香水の歴史」より以下に要約しました。

逸話:二代目エメ・ゲランが医学を学ぶためにイギリスに渡り
ジャクリーンという女性と出会い 結婚を申し込み
彼女もそれを受入れたにもかかわらず、ゲラン家が其れを許さず
エメは失意のうちにパリへ戻り 一生独身を貫いた。
55歳のときジャクリーンのニックネーム「ジッキー」という
斬新な香水を創り出した。

香調ベースになるシベット(※麝香猫)の量は半端でなく、
上流社会の女性は誰一人として、
あえてこれを身にまとおうとはしませんでした。

向こう見ずな男性だけが危険を冒したのですが、
女性たちが受け入れたのは何年も経ってからでした。

トップノートは
ラベンダー、ベルガモット、ローズマリー、バジル、ローリエ

奇妙にもハートノートがほとんど欠落し
(←強烈な喪失感が そうさせたのだと思う...)


ベースノートはシベット(麝香猫)、サンダルウッド、シナモン、
それにバニラで、

これにより初めて香水が、
レモンやペチュニアの花束という具象から離れて、
観念的でセクシーなものになったとロジャ・ダブは書いています。

※動物性香料について...

香水の歴史について語る前に、その原料について紹介しましょう。
動物性香料は、次の四つしかありません。
どれも芳醇強烈で、かつて疫病で死臭がたちこめた時に
その威力を発揮しました。
香水のベースになる貴重な原料ですが、
現在はその希少性や動物保護のため合成香料に代わられています。

 <アンバーグリス(竜涎香)> マッコウクジラの体内でできる結石。マッコウクジラが甲イカを飲み込むと、固く尖った嘴が気道や腸内を刺激します。すると蝋状の分泌物がそれを覆い、まるで貝が真珠を形成するように、結石を作り出します。結石がある程度の大きさになると、猫が毛玉を吐くようにマッコウクジラから排出されます。そして海面を浮遊する間、海水の塩分と日光にさらされて比類ない独特の香りを生じるのです。

 <カストリウム(海狸香)> カナダに生息するビーバーの肛門に近い香嚢から採取します。レザーとタールの香りで、その持続性に優れています。

 <シベット(霊猫香)> 麝香猫という名のエチオピアに生息するネコ科の小動物の体内にある分泌線から採取します。伝統的な手法は麝香猫を檻に入れ、檻を叩いたりして怒らせ、そのとき分泌されるワックスをスプーンで採りました。非常に重要な香料だが、糞の匂いが強いため扱いが難しく、それに成功すれば斬新な香りを作り出します。

 <ムスク(麝香)> 別格の香料。チベットやネパールに生息するジャコウジカの下腹部の香嚢から採取します。催淫作用のあるこの香料を合成しようと、一世紀にわたって化学者が研究してきましたが、1939年レオポルト・ルジチカが成功してノーベル賞を受賞しました。

ジッキーという香りは 戻らぬ時間にたいする切ない思いが
集約された 香水だったんですね...
失われた幸福の思い出にたいする 儚さを表現しているんですね。

第一印象は とても偏屈で 雷の閃光を放射状に発している感じ。
天地ひっくり返すやうな勢いで、時間を取り戻したい
そういう ダイナミズムを この香りから感じることができます。

悲しみにひれ伏すことなかれ...
今ある時間を 精一杯生きるべし...
そう 励ましてくれている香りのような気がします。

シャマード(ストーリーはこちら)
香り:グリーン系
静動:静
速度:ゆるやか
位置:両脇から包み込んで来る感じ...
高さ:目線くらいまで
表情:長老達の笑顔
色彩:午後の日差し
人数:複数(公園)
イメージ:ポプラ並木に吹き渡る穏やかな風

ルールブルー(ストーリーはこちら)
香り:お香のかおり
静動:静
速度:ゆるやか
位置:両脇から包み込んでくる感じ
高さ:正座する高さくらいまで
表情:無表情
色彩:グレー
人数:ひとり(静かな庭園の見える和室)
イメージ:涼しい和室でお香を焚く



個々の感性は無限であり 全て正解です。
間違いなぞ ありません。

ロジャ・タブ「香水の歴史」より...
「写真は冷たい二次元の紙で、時がたてば色褪せてゆく。しかし香りが呼び戻してくれる記憶は天然色で、いつまでも生き生きとよみがえる。わずか一滴で、香水は現実から離れ、めくるめく幻想の世界へ逃避させてくれる。」

みなさんも 素敵な香りとの出会いがありますように...
最後までお読みいただき ありがとうございます。


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