台湾漫画37作品が東京に集結!「Taiwan Comic City 2023 漫画交流会」に行ってきました
実はこの数年、日本語に翻訳された台湾漫画が増えているのをご存知ですか?昨年は話題の台湾ドラマ『いつでも君を待っている』の原作『用九商店』が日本でも発売されたり、SNSで大きな反響があった漫画『緑の歌』も話題となりました。
日本で読めるようになった最新の台湾漫画は、昨年実施された「#続きが気になる台湾漫画大賞」受賞作のコミック『僕の声を聞いてほしい!!』。今年8月からwebサイトで連載がスタートし、10月に第1巻が発売されました
日本で盛り上がりを見せる台湾漫画ですが、魅力ある作品はまだまだ数多くあるものの、日本で直接手に取る機会がはあまりありません。
そんな中、台湾で書籍出版やweb展開されている厳選した37作品を紹介する「Taiwan Comic City 2023 漫画交流会」が、東京・神保町で行われました。日本の出版社やメディア向けのイベントとして開催された2日間。今回はそのレポートです。
会場には台湾で書籍出版されている台湾漫画37作品の現物を展示(一部、webサイトで展開されているものは除く)。台湾漫画に関心を持つ出版関係やメディア関係者が訪れ、じっくりと時間をかけて作品を読んでいました。私が伺った時間も、すでに多くの方が作品に見入っており、会場スタッフから詳しい説明を聞いている方も。
2日間で38社/78名が参加した、盛り上がりのあるイベントとなりました。
今回の交流会は、どのような経緯で開催されたのか?台湾作品の話題に入る前に、「Taiwan Comic City」と「TAICCA」。2つのキーワードについて解説します。
Taiwan Comic Cityとは?
今回の漫画交流会のタイトルでもある「Taiwan Comic City」とは、2022年からTAICCAがスタートした、台湾の漫画作品を国際的に紹介するプロジェクトです。
日本語、英語、フランス語などの多言語で台湾のオリジナル漫画70作品以上を紹介するWebサイトを通じて、台湾漫画の国際的な認知を促進しています。
日本人現役声優によるヴォイスコミックシリーズも。
TAICCA(台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー)
昨年に続き、「Taiwan Comic City」イベント主催は台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA/読み方はタイカ)によるもの。
TAICCAとは、台湾の文化産業を促進し、国際的な展開をサポートするために設立された独立行政法人。2022年に日本で開催した「台湾漫画喫茶」の成功を受けて、新たに37作品の台湾漫画を日本市場に紹介するイベントを実施しました。
※昨年開催されたTAICCA主催イベントのレポートは下記から読めます。
今年の夏は、大阪・あべのハルカス近鉄本店にて期間限定で『台湾漫画雑貨フェア』も開催。10人の台湾漫画家による台湾風情溢れる描き下ろしイラストの特別展示など、漫画を通じて台湾を感じられる場を作りました。
今回東京で行われた「Taiwan Comic City 2023 漫画交流会」の主要な目的は、メディア関係者や出版関係者に台湾漫画作品を、TAICCA担当者を通して直接紹介を受け、知ってもらうこと。
当日はTAICCAの担当者が会場に常駐し、台湾漫画の37作品についての詳しい紹介・説明を提供。興味のある漫画作品があった場合は、TAICCAを介して台湾の出版社や漫画家と繋がる機会も提供されました。
今回、来場者アンケートが実施され、その中で最も興味・関心が集まった作品は『台湾のヒーローたち1:台湾ニューシネマ (潮浪群雄1:那些做電影的人)』でした。
作品名:『台湾のヒーローたち1:台湾ニューシネマ (潮浪群雄1:那些做電影的人)』
作者:Sean Chuang
「台湾ニューシネマ運動」の全貌がわかる内容で、台湾映画の歴史に興味がある方にとって読み応えがあると感じました。漫画全体がセピア色で描かれていることも特徴です。
作者のSean Chuangさんは台湾の著名なCMディレクター。20年以上にわたり500本以上のCM作品を制作した実績もあり、中国、シンガポール、日本などで幅広く活動しています。
気になる台湾漫画、3作品
今回の交流会でスタッフの方にもお話を聞きながら、私が個人的に気になった作品を3つ紹介したいと思います。
『ぶらぶらソング (芭樂歌)』
PETER MANN
漫画家であるPETER MANNさん、日本のミュージシャンSummerEyeこと夏目知幸さん、そして台湾のバンドDSPSのボーカル・エイミー(Ami Tseng/曾稔文)さんによるコラボ作品です。
音楽が元に描かれた漫画という企画が面白い!POPで可愛い絵柄も読みやすく、音楽の世界観に没入できます。
『神様のコンビニ(神明便利商店)』
謝東霖シャトウリン
台湾の神様事情が理解できるとより面白く感じる漫画。1話目でコンビニコーヒーのメニューに「符水」(呪文が書かれたお札を燃やした灰を入れた白湯)があるシーンなども。
台湾は人口に対してのコンビニ件数が世界2位とも言われており、台湾コンビニのリアリティを感じながら楽しめる漫画です。
『ビンロウ美少女(檳榔美少女)』
/ルーカス(Lucas Paixão)
カラフルな作風が一際目を引くこの漫画は、台湾在住のブラジル人作家が描いた作品!ルーカスさんは12歳の時、台湾の人気ガールズグループS・H・Eにハマり、中国語を勉強。その後台湾芸術大学大学院に合格し、ブラジルから地球の裏側にある台湾へ!という異色の経歴の持ち主。
作品の中のキャラクターが生き生きと動く姿や、背景に描かれる台湾は、海外から来た人の目線だからこその台湾の魅力が詰まっています。
作品についての詳しい解説は「太台本屋 tai-tai books」さんのサイトに詳しく書かれていますので、ぜひご覧ください。
紹介した3作品以外でも、幅広いジャンルの漫画を楽しむことができます。
ぜひTaiwan Comic City 公式サイトから気になる作品を見つけてくださいね!
たくさんのお土産も!
可愛いトートバッグや可愛いお土産もたくさんいただきました。
冊子には、今回展示されている37作品の解説と作者の紹介が掲載されています。可愛い缶バッチはカプセルに入った状態で提供。ガチャガチャ感があって楽しいお土産です。
台湾茶や台湾音楽を聴きながら
会場では美味しい台湾茶や台湾らしいスパイスを使ったお菓子をいただくことができました。台湾ミュージックが流れ、五感を使って台湾を楽しめるようになっていました。
まとめ
昨年のイベントと比べて、歴史ものやファンタジー、ホラー漫画なども増えたように感じました。漫画を通じて台湾をさまざまな視点から理解できることは、台湾好きとして非常に有難いです。今後もできるだけ多くの漫画が日本語に翻訳されることを期待しています。
台湾漫画イベントが行われる際は、今度はぜひ作家さんも来日してくれたら嬉しく思います。
開催概要
■主催
独立行政法人 台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)
■開催日時
2023年
10月17日(火)13:00〜18:00
10月18日(水)11:00〜17:00
■会場
日本出版クラブホール 4階401+402
東京都千代田区神田神保町1-32