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新規ビジネス案 日本から台湾への結球レタス輸出

【【事業分野:農業法人向け】
■1.ビジネス概要

  • 本記事で述べるレタスとは、市場で最も馴染みのある「結球レタス」のこと。

  • 5~9月に長野などで生産される高原レタスを台湾に輸出する(夏場以外は、逆に台湾から日本にレタスが輸出されている)。

  • 過去に何人か挑戦した例があるが、大規模ロットでの成功事例は見られない(はず)。

  • 台湾ではサラダ用など加工生鮮野菜としても大きな需要がある。

結球レタス。台湾向け輸出なら巻きの強い密度が高いレタスが有利
台北第一青果卸売市場

■2.顕在しているニーズと背景

  • 台湾では10~4月の間は気温が低く、自国で生産したレタスを国内流通させている。

  • しかし、夏場(5~9月)は気温が高く、生育障害が発生するため、現状では北米カリフォルニアからレタスを輸入している。
    https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1704_kaigaijoho02.html

  • 北米から台湾まではリーファーコンテナ(冷蔵)で海上輸送されるが、到着まで約3週間を要し、その間に鮮度が低下し傷みが発生するため、歩留まりが非常に悪い。結果として数十パーセントが廃棄されている。

  • 日本から台湾への海上輸送は約1週間と短く、地の利がある。また、日本産品に対する品質への信頼感・期待感も高い。

■3.この事業の成否を分けるポイント

  1. 農薬管理

    • 台湾の農薬管理基準は日本より厳格であり、日本で認可されている農薬の多くが台湾では不許可。事前の散布計画と記録が必要。

  2. 出荷時点での虫の除去

    • 目視検査やエアブローによる徹底した虫の除去が求められる。

  3. 輸入通関NGの場合の廃棄リスク

    • 日本から台湾に輸出される農産物の約8%が植物検疫で不許可となっている。農薬管理や虫の除去を徹底すればリスクは軽減できるが、100%回避することは難しい。生産体制が安定するまで一定のリスクが伴う。

■4.本件輸出のメリット

  • 「レアな夏季結球レタスの供給者」という独自の市場ポジションを確立可能。

  • シーズン契約による安定的な販路が見込める。

  • 大田市場の時価に影響されない輸出契約単価の設定が可能。

  • レタスを切り口に、新たな輸出品目への横展開が期待できる。

■5.当社がうまくいかなかった理由

  • 上述のリスク(特に3-3の輸入通関NGリスク)を取ることができなかった。輸出者としてリスクを負いながら事業を回す資金面での体力が不足していた。

  • 台湾輸入時の植物検疫NGリスクを台湾側の輸入者が負担することはないため、この部分のリスク対応が課題となった。

■6.今後挑戦する企業のための備忘録

  • 台湾の販路例
    青果大手輸入卸、サラダ加工工場との直接契約などが可能。

  • 生産者+輸出者という立場
    新規参入の農業法人でも構わないが、自社で品質管理体制を負えることが理想的。

  • 出荷単位の条件
    高冷地中山間地帯の小規模農場からの出荷でもよいが、40ftコンテナの出荷量(14kg/箱×800箱=11t)が必要。

  • 品質と収益性
    正味重量取引のため、巻きの強い高密度なレタスが望ましく、そのノウハウが収益性を高める。

  • 予冷庫の条件
    コンテナが進入・切り返しできるスペースがある場所が必要。

  • 原産地証明の取得
    英文原産地証明は地元商工会議所で発行可能(取得は難しくない)。

  • 植物検疫の対応
    輸出植物検疫(センチュウなど)は、予冷庫保存分に対し付近の検疫官が出張対応。乙仲経由で事前相談を行い、検査場所を予冷庫に集約するのが望ましい。

  • コンテナ積み込み時のパレット
    プラスチック製か木製燻蒸済パレットを使用。

  • 物流ルート
    長野→名古屋港→高雄を想定。

  • 農薬管理の工夫
    隣接する圃場からの農薬飛来リスクを考慮し、輸出規模に応じた「輸出専用エリア」の圃場分離が理想。

更新履歴
2024.12.09 新規ビジネスアイデア公開(前言)
2024.12.09 新規ビジネス案 日本Foodie(美食家、ハイエンド顧客)向け中国グルメツアー
2024.12.10 新規ビジネス案 日本から台湾への結球レタス輸出


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