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10月の朝顔
『10月の庭の朝顔 師となりて美を学ぶ私 芸術の秋』
すっかり秋らしくなったある朝
庭の片隅に、紫色の朝顔がポツンと咲いていた。
種を蒔いたことはないので、
きっと、鳥が落としていったのだろう。
朝顔といえば、小学1年生の夏休みの観察日記。
10月に咲くものなのだろうか?
朝日を浴びて美しい。
紫の気高い色が、なんとも言えない。
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中心に向かって紫と白が混ざっていく。
品のある色、形に、見惚れてしまう。
吸い込まれそうだ。
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横から見た花の色気に、ため息が出る。
すっきりとした姿
浴衣の女性の首筋、うなじの色気に似ている…
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そして、蕾…
巻き上がった花びらのふっくらした姿も
品があり、愛らしい。
朝顔の花をこんなにじっくりと見たことはなかった。
小学1年生の観察日記では
「めがでました」「つぼみがありました」
「あさおきたら、はながさいてました」
と、成長記録のみ。
花びらや葉の形に色気や愛らしさを感じて、座り続けるなんてことはなかった。
芸術の秋
植物を師として、学ぶ朝。
歳を重ねると、物の見方が変わってくる。
そして気が付いたことは、
「世界は美しい物で溢れている」
天からの贈り物は、心を豊かにしてくれる。