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植物のこと

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植物との出会いを短歌や俳句で歌っています
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2021年11月の記事一覧

お白い

お白い

『朝霜の冷気に耐える草花が 初めてのせる白化粧』

-3℃  体感温度は-5℃

庭が真っ白になった。

土には霜柱が、草花には霜が降りていて、寒いけれど美しい。

水の結晶一つ一つが、この世で今この瞬間にしかない芸術作品だと思うと、寒さを忘れて見入ってしまう。

息が白い。手がかじかむ。

だけど、植物は強い。

出たばかりの絹さやの芽も、苺の新芽も、元気に成長している。

私は弱いなぁ。少しの

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いちょう

いちょう

『雨風の跡に残る落ち葉道 女優気分でイエローカーペット』

昨日は久しぶりに雨が降った。お散歩もお預けの一日。

夜は急に風が強くなり、こうして気温が下がり、冬になって行く。

今朝は少し風が強いけれど散歩に出かける。

公園の樹々は、すっかり裸にされていた。

でも、昨日の雨のおかげで、朝陽が当たり、キラキラ輝いている。美しい…。

いつもの公園の道が、銀杏と松葉の落ち葉で敷き詰められていた。

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落ち葉

落ち葉

『幼児のはしゃぐ声で目が覚めて 我が身を運ぶ落ち葉の絨毯』

11月に入ってから、小春日和の心地良い日が続いている。

昨夜は月食も見られた、幻想的な夜だった。

慌ただしい日常を送る中で、公園へ散歩に行くと、自然と戯れる子供たちの声で癒される。

銀杏の落ち葉を集めては飛ばす、その繰り返しが楽しくて、はしゃぐ姉妹が愛らしい。

「黄色がきれい」と話せるようになったばかりの言葉が、さらに愛らしい。

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もえる

もえる

『恋ひ人のそばに居られずもえつきて 届かぬ想いに陽はまた昇る』

紅くなった桜の落ち葉に、朝陽が当たり美しい。

ふと、あの時の恋をしていた頃を思い出した。

恋は、叶う方がいいけれど、叶わずに燃え尽きたものも美しい思い出となって、また新たに生まれ変わる。

恋も紅葉した落ち葉も、みな、地球の一部なんだと感じた。

今日も皆さんが心穏やかに過ごせますように。

きく

きく

『風に揺れ ミツバチ誘う乙女香に 我もひかれる淡い野路菊』

庭にミツバチがぶんぶんと飛んでいる。

秋の花蜜を集めて、冬に備えるのだろう。

菊の花は香りも強く、人間の私でさえ鼻に届くほど。

見れば庭先に淡い色の野路菊が咲き始めている。

可愛らしい立ち姿に、思わずパシャリと写真を撮る。

虫も人も誘う野路菊の魅力は、秋の陽射しと調和して美しい。

今日も皆さんが心穏やかに過ごせますように。