えっ? RPAが、筋の悪いDX??
今日は、RPA+AI-OCRのお話をしてみたいと思います。
先日、某SaaSのセミナーを受講しました。登壇したのは、SaaSベンダーの方ではなく、その導入支援業者様。ビジネスプロセス全体のデジタル化、業務効率化支援をなさっている業者様のようです。
とっ突然…何を言い出すかと思えば…
「RPAなんて筋の悪いDXなんですよ。紙を読み込んでデータ化するんですよね。それは、デジタル化を阻害するんです!」
えっ?RPAって筋が悪いの?そもそも、紙を読み込んでデータ化するのは、RPAではなくAI-OCRですよね??
念のため運営にチャットで確認したところ、本気でRPAとAI-OCRの違いを知らないらしく、話が通じない…
いやぁ参りました…
確かにAI-OCRとRPAは相性が良く、私達も連携した提案をよく行います。
一方、RPAは、新しいテクノロジーですので、日々進化していますし、また、ツールによって、機能にかなり差があること、そもそも、備わっている機能を最大限発揮できている場合が少ないことなどから、正しく知っている人は、本当に少ないのが現状です。
せっかくなので確認しましょう。
AI-OCR
そもそもOCRは、画像データのテキスト部分を認識して文字データに変換する技術。これにAI技術が加わり、文字認識率やフォームのズレなどにも対応でき、より使いやすくしたものがAI-OCR。一言でいうと、紙やPDFなどの画像の帳票をデータ化するソフトウェアです。
RPA
RPAは、パソコン上の操作を自動化するソフトウェア。
ですので、紙の帳票は扱えません。
RPA+AI-OCR
じゃ、なぜ彼らがRPAとAI-OCRを混同してしまったのか。
おそらく、AI-OCRは、RPAと一緒に使うと、便利度がアップするのでセットで考えることが多いためではないでしょうか。
例えば請求書から仕訳を起票する場合を考えます。
RPA業者が自動化する場合、下記のような自動化を提案します。
人の作業は、請求書をPDF化して特定のフォルダに入れるだけ。
あとは、ロボットがフォルダからPDFファイルを取り出して、AI-OCRを操作して、データ化し、それを仕訳データに修正して、会計システムにアップロードするという一連の作業を代行してくれ、会計システムを開くと、ロボットがアップロードした仮登録仕訳ができているというわけです。
筋の悪いDXとは?
これまでの説明でお判りいただけましたように、AI-OCRは必ずしも紙が対象ではなく、PDFのような画像データについても利用します。また、決して紙文化を肯定するものではなく、外部からの資料など、止むを得ず紙でしか入手できない資料をデータ化することで、そのあとの処理を自動化することを助けてくれる素晴らしい技術でなんです。
じゃ、筋の悪いDXとは?
敢えて言うとすれば、お客様の個々の状況を無視したIT導入でしょうか。
同じようなに見える業務でも、会社ごとにそこで働く従業員は違いますし、お客様も違う。そもそも、前後の業務フローが違う。
それらを無視した提案は、結局は使い切れなかったり、オーバークオリティだったりと、残念な結果に…。
DXを推進する一企業として、改めて「ツールはツールでしかない。どのように活用するかによって、毒にも薬にもなるんだよなぁ」などと考える良い機会になりました。
もちろん、間違った理解は、論外ですけど。