「また仕事したい」と思えない人の特徴〜"attitude problem"
依頼する側になって分かった意外な事実
フリーランスにとって、「また仕事したい」と思ってもらえるというのは、とても大切なことです。その道のプロとして生きていくためには依頼がないと話にならないわけで、一度仕事をした相手にリピートしてもらえるかどうかは死活問題です。
私が駆け出し通訳としてフリーランスになったばかりの頃は仕事のたびに「クビになるのではないか」「力不足で二度とお声がかからないのではないか」などと、いつもビクビクしていました。
それが最近は、仕事を依頼されると同時に自分が仕事を依頼する機会も多くなりました。20年以上も同じ仕事をしていると馴染みのクライアントさんも増え、仕事の依頼が直接くることがよくあります。同時通訳の仕事は基本的には2人でペアを組んで交代しながら行うため、クライアントさんから依頼が直接来たときには、私とペアを組んでくれる通訳を探して仕事を発注しなくてはなりません。
そして、実際に仕事をお願いする側になって分かってきたのが、「この人にはもう二度と依頼しない」と思う理由はスキルや能力であることは滅多にないということです。もちろん、圧倒的にスキルが足りていないというのは論外ですが、通訳者の場合、正式に仕事の依頼をする前に過去の実績を提出することも多いので、仕事が成り立たないほどスキル不足ということはありません。そして、先述の通り通訳は2人でペアを組んで行うため、多少のスキル不足やちょっとした失敗などは、お互いにフォローしながら何とかなるものです。
二度と依頼が来ない人ってどんな人?
では、「この人にはもう二度と依頼しない」と思ってしまうのは、どんな人なのでしょう?
まずは努力をしない人です。通訳は現場に入る前にかなりの準備をします。どんなに準備をしても完璧はあり得ませんが、可能な限りの準備をすることに最善を尽くします。それが、ごく稀に準備をしてきた形跡がない人がいます。お互いプロなので、相手がどれくらいの準備をしてきたかということは大体わかります。依頼をする側として、全く準備もしないで現場に来るというのは、仕事に対する誠意がないと感じてしまいます。(度胸はあると思いますが・・・)
逆に、通訳としての経験が浅く仮にスキルが少し足りなかったとしても、一生懸命に頑張って準備をしてきたことを感じさせる人は応援したくなります。これは通訳に限らず、どんな仕事でも、依頼してくれた人の期待に応えるために精一杯の努力をする人は周りも応援したくなるのではないでしょうか。
依頼をしたくなくなるもう一つのタイプは、自分のことしか考えない人です。(当然のことですよね。)特に、ミスやトラブルが起きた時に責任逃れをしたり、自分勝手な行動をする人には「もう次はないな」と思ってしまいます。
仕事の現場でミスが起きてしまうのは仕方ありません。人がやっていることですから、どんなに準備をしようと、どんなにスキルが高かろうと、残念ながらミスは起こるのです。そんな時に、間違えたことを人のせいにしたり、時に嘘をついて責任を他の人になすりつけようとする人、残念ながらいます。本人はうまく責任逃れしたつもりでも、遅かれ早かれバレます。問題が発生した時に、解決するために協力的な人と、自分だけよければ良いという態度をとる人では評価は真っ二つに分かれます。当然のことながら後者は二度とお声がけすることはありません。
評価の決定的ポイントはスキルよりも態度
人の評価を示す英語表現に"attitude problem"があります。"attitude"という言葉は、「態度」とか「振る舞い」などと訳され、人としてのあり方やその人の物事に対する姿勢が行動として出ているときに使います。
"Attitude problem"と言われてしまうのは、かなり厳しい評価が下されたときです。例えば「〇〇さん、契約終了になったらしいよ」という会話の中で、原因は"attitude problem"だったというような話はときどき聞きます。何か一つの大きなミスをしてしまったということではなく、周りが困るような行動が日常的に見られる状況で使う言葉です。できれば遭遇したくない言葉ですが、表現としては覚えておくといいかもしれません。
自分が依頼をする側になって感じるのは、「もう二度と一緒に仕事をしたくない」と思うほどの低評価のポイントはスキルや能力よりも、"attitude"だということです。
また一緒に仕事したいと思ってもらうために、真摯に努力をすることやチーム全体のことを考える姿勢を忘れずにいたいと思います。そして、失敗してしまったときにこそ本質は現れることも覚えておきたいです。