![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/51903898/rectangle_large_type_2_b17e11371ae42f6723b66d07b74d4080.jpg?width=1200)
訳しにくい言葉〜available
文脈で訳し方が変わる言葉
英語でよく出てくる言葉で、日本語に訳すときに一瞬考えてしまう単語に"available"があります。
"available"は文脈の中では、例えばこんな風に使われます。
・デジタル化によって多くの情報がavailableになった
・一度お目に掛かりたいので、availableな日程を教えてください。
・このサービスは◯月◯日からavailableです。
文章を3つ並べてみましたが、availableという同じ単語が、日本語に訳すと下記のようにそれぞれ異なります。
・デジタル化によって多くの情報がavailableになった
→デジタル化によって多くの情報が手に入るようになった。
・一度お目に掛かりたいので、availableな日程を教えてください
→一度お目に掛かりたいので、ご都合の良い日程を教えてください。
・このサービスは◯月◯日からavailableです
→このサービスは◯月◯日からご利用になれます。
と、こんな感じで"available"は、「手に入る」「ご都合の良い」「ご利用になれる」と訳出された日本語はバラバラです。
"available"をそのものズバリと訳せる日本語の単語がないため、文脈によって訳し方を変える必要があるのです。なので、単語だけ切り取って「availableってどういう意味?」って聞かれると困る言葉でもあります。
言葉を分解したり語源を知ってニュアンスを捉える
"available"という言葉は、「役に立つ」という意味の"avail" と「〜が可能な」という意味の"-able"という接尾語で成り立っている言葉です。
語源を調べてみると、15世期の中頃には「有益である」「価値がある」「望んだ結果を得る能力がある」などの意味で使われていたということです。
言葉の構成から、"available"は何かが「役に立つことが可能な状態」であることが窺えます。そして語源を見ることで、自分や他の誰かにとって「使える状態」や「有益な状態」である場合に使う言葉だというイメージが掴めてきます。
先ほどの例文をもう一度見てみましょう。
「 デジタル化によって多くの情報がavailableになった」というのは、デジタル化によって多くの情報が「available=手に入れることが可能」、つまり「使える状態」になったということです。
「一度お会いしたいので availableな日程を教えてください」というのは、相手にとって「available=会うことが可能」な日程を教えてください、つまり「会うという目的に有益な状態の日程」を教えてください、ということを言っています。それを自然な日本語に訳すと"available"は「ご都合の良い」となります。
「このサービスは◯月◯日からavailableです」というのは、◯月◯日から「available=利用が可能な状態」になるという意味なので、これも日本語として自然になるよう"available"を「ご利用になれます」と訳しています。
ちょっと、ややこしいですね💦
(ごめんなさい・・・)
要するにお伝えしたいことは、われわれ通訳は"available"のように訳語としてドンピシャな日本語がない言葉が出てきた時には、一旦は概念として意味を理解した上で日本語の文脈の中で自然な言葉に当てはめる作業(訳出)をしています。それを無理やり「この言葉は、こう訳す」と「対訳」として最初から決め込んでしまうと、不自然で「意味は分かるけど、なんかヘン」と感じる表現になってしまうんですよね。
通訳に限らず、英語を学ぶ際には、"available"のような言葉は、無理に日本語に訳して覚えるよりも、言葉の成り立ちや語源からニュアンスを含めて意味をざっくり把握しておくと、どういう使い方をする言葉なのかが分かり易いように思います。
前回、「言葉の要素から意味をイメージする」という記事を書きましたので、良かったらそちらも参考にしてみてください。
それでは、また!ごきげんよう〜♪