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やさしい日本語って何ですか?【やさしい日本語はいつから使われるようになったのか】
「やさしい日本語」って、いったいどんな日本語のことでしょうか。
文化庁が公開している「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」には「やさしい日本語は、難しいことばを言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のこと」とされています。
今日は私の勉強もかねて、「やさしい日本語」について、簡単にまとめてみたいと思います。
やさしい日本語の始まり
「やさしい日本語」ということばは、1995年の阪神・淡路大震災の後に、弘前大学の佐藤和之名誉教授の研究グループによって提唱されました。
6,434名の方の尊い命が失われ、43,800人の方が負傷した大震災の傷跡は、今もなお、私たち日本人の心に深く刻まれていますよね。
実は、被災地には日本人だけではなく、外国籍の方も多く居住していて、
その際、日本語に不慣れな外国人の方が、正しい防災情報を得られず、避難や支援が遅れてしまうという事態が発生しました。
そして、当時、日本人の死傷者は約1%だったのに対し、外国人の死傷者は2%以上だったことが報告されています。
この経験をもとに、外国人の方にも正しく防災情報を伝えるようにしていこうという取り組みが始まりました。
そこで、弘前大学の佐藤名誉教授率いる社会言語学研究室によって、日本語が不慣れな方にもわかりやすい表現が研究され、具体的なガイドラインも作成されました。
その外国人の方にも伝わりやすく工夫された日本語を「やさしい日本語」と呼んだのです。
「やさしい日本語」は、外国人の方の命を守るために考案された大切なツールなんですね。
やさしい日本語って、どんな日本語?
では、具体的に「やさしい日本語」というのは、どんな日本語のことなのでしょうか。
簡単でシンプルな、外国人や日本語が不慣れな方にも伝わるように工夫された日本語って、いったいどんな日本語のことでしょうか。
ヨーロッパの言語共通参照枠(CEFR)でいうと、主にA1~A2レベルに相当すると考えられています。
・A1(初級レベル)
・基本的なことばや簡単な文を使って、日常のやりとりができる。
例:「これはりんごです」「トイレはどこですか」
・A2(初中級レベル)
・よく使うことばや表現を理解し、簡単な会話ができる。
例:「昨日、スーパーで野菜と肉を買いました」「ここに名前を書いてください」
このように、やさしい日本語は、A1~A2レベルの学習者さんでも理解しやすいように、調整され、工夫された日本語だということが分かります。
では、以下のようなことばを、やさしい日本語を使って言い換えると…
【土足厳禁】→「くつを ぬいでください」
【電車運休】→「でんしゃは とまっています」
【ごみ収集】→「ごみを あつめます」
【駐車禁止】→「くるまを とめないでください」
このようにとても分かりやすい日本語になります!
もちろん、単にA1~A2レベルの学習者さん向けに「簡単な日本語」にするだけでなく、調整の仕方によってはB1レベル以上の学習者さんにも対応できます。
やさしい日本語を使うということは、自分が伝えたいことが相手に伝わるように、相手に合わせて、簡単でシンプルなことばを使って話すということなんですね。
やさしい日本語が使われている場所
では、現在、やさしい日本語はどんなところで使用されているのでしょうか。
阪神淡路大震災後に、外国人の方にも正しい防災情報を届けたいという思いで考案されたやさしい日本語ですが、現在では、地方自治体などの行政サービス、観光、医療、介護、教育といった多文化共生の場で幅広く活用されています!
そして、その流れはどんどん広がっています。
今後とも、日本では多文化共生社会が加速していくと思われるので、やさしい日本語のニーズもどんどん高まっていくはずです。
私たち日本人みんなが、「やさしい日本語」を、外国人とのコミュニケーションツールの1つとして使えるような社会にしていきたいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!