二月の光
二月が嫌いだ。
このうつ鬱として垂れこめた空が嫌いだ。
胸を張ってこちらの地方では歩けない、凍った道、凍えるような寒さも嫌いだ。
若い日には田舎という言葉にあこがれた、帰る場所があるということ、自然がたくさんあるということにとても憧れた。
それが失敗のもとだったと思う。
農村地帯には束がある、色々束があって締め付けてくる。
私はそのどこの束にも属せない。
束に入ってその色に染まっていないと浮く。
何度言われたことだろう?
ああ、東京生まれね、だから・・・・・・・
何でもかんでも東京生まれだからという理由付けで相手は納得するらしい。
私は東京生まれでは実はないのだ。
生まれた場所は埼玉県の川越、ただ、戦時中でもあり父親は母と私を母の実家に預けたまま行方不明となる。
その時のいきさつは私は知らない。
物心ついたときは、神奈川県にいた。
その後の生い立ちは詳しくはいつか書くかもしれないが、今は書かない。
二月雪に埋もれた景色を見るたびに、これが失敗だったと思うようになった。
全く自尊心を持てずに若い時は死ぬことのみ考えて、白い雪に埋まって死ねたらなんてばかり思っていた。
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