寒いから､ね

寒いから
一番あったかだった日を描いたよ
ちいさなきみを抱いて
肌と肌であたためあった日々

つらかった場所から
逃げたばかりの時
住む場所は借りられたけど
エアコンがなかった

ちいさなヒーターとこたつ
ささやかな暖房器具と
おふろであったまったら
抱っこして
早々にふとんにもぐりこんでた

それでも　もう
いきなり怒声を浴びなくていい
きみを危険にさらさなくていい
幸せだったはずの選択

10年過ぎて
少し生活らしくなってきた今
長い時間をかけても
治りきらない自分の心身に
あせり　落ち込む

もっと笑顔を
見せたかった
きみと笑顔で暮らしたかったのに
治らない自分の体にいらだつ
きっと痛みは
深かったんだね
自覚よりずっと

2歳だったきみに
怖かった日々の記憶はない
それは幸い
だけど
記憶はないけど怖いという
それが心配

きみはすっかり背が伸びた
ちいさなきみを抱きしめることはもうできない
あったかだった記憶は
あったかだった気持ちを呼び起こす

よく黄色いベビー服を選んでた
男の子女の子って
とらわれないように
いまはもう自由になってきたから
良かったね

伸び伸び生きよう
好きな道を選んでほしい
きみにあげられるものは
かぎられているけれど
きみからは
無限のものをもらった

さあ
寒いから、ね
もう寝よう
明日は雪が降るのだろうか
その雪は
やさしいものに留まってほしいと
願うばかり

見てくださって
ありがとうございます

けいちゃん♪