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論理学の詭弁(命題論理はアプリオリに正しいとは言えない)

(関連するレポート)

※ 条件文真理値の問題点については、以下のレポートで説明しています。条件文A→Bにおいて、前件が偽ならばA→Bは常に真となる、という論理学における真理値設定には、実は何の根拠もありません

条件文「AならばB」は命題ではない? ~ 論理学における条件法の真理値設定の問題点
http://miya.aki.gs/miya/miya_report32.pdf

実質含意・厳密含意のパラドクスは、条件文の論理学的真理値設定が誤っていることの証左である
http://miya.aki.gs/miya/miya_report33.pdf

うまく見ることができない場合は、以下のページからダウンロードしてみてください。
経験論研究所:レポート一覧

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(以下本文です)

1.形式含意の詭弁

論理式の真偽を定義する|大森 武|note
からの引用です。(なんだか批判するようになってしまってすみません・・・)

x>5 ならば x>3 である … ③
これが真であることは分かると思います。さて、③が真であるというのは「x がどんな値であっても成り立つ」という意味ですね。

(大森氏)

これはラッセルの言う「形式含意」の事例の一つですが・・・明らかな詭弁だと言えます。x>5ならばと明確に条件付けされており、「x がどんな値であっても成り立つ」とは決して言っていないのです(どう読んだらそうなるのか不思議でならないのですが・・・)。「4>5 ならば 4>3 である」という文章は明らかなナンセンスです。ナンセンス文を真としろというのが現代の標準的論理学なのだと言えます。

2.命題論理の公理系の詭弁


論理学 実質含意のパラドックスの証明(御光堂世界~Pulinの日記)

https://pulin.hateblo.jp/entry/20141126/1416994129

というページにおいて、次のような証明がなされています。(またまた批判になってしまいすみません・・・)

 p→(q→p)
  1
  p
 ───
 p∨¬q  
 ───
 q→p
───── 1
p→(q→p)

しかし次のような疑問が生じます。

(1)pが偽の場合、
任意の命題¬qについてp∨¬qが常に成立するわけではありません。
qが真(¬qが偽)の場合です。q→pも偽となり、成立しません。

つまり、pが偽のとき、p→(p∨¬q)が成立するとは限らないのです。

(2)pが真の場合、
p∨¬q
を導くことは可能ですが(論理学における命題論理においては)、
¬qが真でも偽でも、pは真です。

そもそも命題pの真偽は命題qとは全く関連はありません。
結局、関係ないqとpとをつなげて良いのかという実質含意のパラドックスの問題に立ち返ってしまうのです。つまり何も証明されていないということです。

真である命題ならば、何でも条件法の形にして良い、という話ならば
p→(q→p)→p→qでも何でも良くなります(実際、論理学における方法ならば何でもありという話になってしまう)。
そもそも条件法とは何を説明する論理なのでしょうか?

いずれにせよ・・・(1)(2)双方を考え併せても、
(p∨¬q)→(q→p)
が成立しうる根拠がないのです。

さらに言えば、

命題pから、p∨qという複合命題を導き出すことに正当性があるのか? という問題も生じて来ます(上記(1)の場合を考えれば)。

論理学における命題論理では、記号で示される命題が真であるのか偽であるのかが明確にされていません。このあたりが(意図的に?)あいまいにされています。そこに詭弁の入り込む余地があるように思えるのです。





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