連言∨選言トートロジー/命題変数が3つの場合
連言∨選言トートロジー(回路)
ドモルガンの法則の章で出てきた図35のような回路図・論理式を、”連言∨選言トートロジー(回路)“と呼ぶことにする。これらは先(図34)のXを求める場合にも有効である。
図35 連言∨選言トートロジー(回路)
大事なのはA、Bそれぞれ連言部分と選言部分がお互いの否定になっていることである。だから(¬A∧B)∨A∨¬Bでも良いし、(A∧¬B)∨¬A∨Bでも同様にトートロジー回路となる。
そしてここでA、BのみでなくCやDが加わっても同様にトートロジーになる。ドモルガンの法則を用いれば証明は非常に簡単になる。
(A∧B∧C∧D)→(A∧B∧C∧D) ・・・もちろんトートロジー(回路)
↑↓
¬(A∧B∧C∧D)∨(A∧B∧C∧D)
↑↓ ドモルガンの法則
(¬A∨¬B∨¬C∨¬D) ∨(A∧B∧C∧D)
命題変数が3つの場合
仮に(既知の)前提が(A→B)と(A→(B→C))だけであったとする。このとき、
((A→B)∧(A→(B→C)))→X
・・・におけるXの"解"として、どのような論理式(回路)が当てはまるであろうか?
まずは¬((A→B)∧(A→(B→C)))を変化させてみる。
¬((A→B)∧(A→(B→C)))
¬((¬A∨B)∧(¬A∨(¬B∨C)))
¬(¬A∨B)∨¬(¬A∨(¬B∨C))
(A∧¬B)∨(A∧¬(¬B∨C))
(A∧¬B)∨(A∧B∧¬C))
次に(A∧¬B)∨(A∧B∧¬C))の回路をさらにシンプルにする。
図36 (A∧¬B)∨(A∧B∧¬C))の回路図を変形
図36のいちばん下の回路全体がトートロジーとなるためにXにどのような論理式を挿入すれば良いのであろうか? ここで連言∨選言トートロジーを用いると・・・Xには(¬A∨B)あるいは(¬A∨C)のどちらか、あるいは両方が必要であることが分かる。(¬A∨B)≡(A→B)、(¬A∨C)≡(A→C)であるから、とりあえず
((A→B)∧(A→(B→C)))→(A→B)
((A→B)∧(A→(B→C)))→(A→C)
・・・の二つを解として挙げることができる。他にも¬A∨B∨Cとか、さらには¬A∨B∨C∨Dとか考えれば無数(?)にあるのだが、ここでは割愛する。
今度は前提がAと (A→B)と(A→(B→C))の三つの場合を考えてみよう。今回は(A∧(A→B)∧(A→(B→C)))の回路図を描いた上で変形し、それを否定してからXを求めていく(図37)。
図37 A∧(A→B)∧(A→(B→C))→Xの変形
図37のいちばん下の回路図におけるXは、A、B、C、A∧B、B∧C、A∧C・・・その他さまざまなものが考えられる。とりあえずCを選べば
A∧(A→B)∧(A→(B→C))→C
・・・となり、演繹定理により、
(A→B)∧(A→(B→C))→(A→C)
(A→B)→((A→(B→C))→(A→C))
というふうに変形も可能である。
ただ、この場合は普通に論理学的演繹をした方がさっさと簡単に答えが出そうだが・・・これは”証明”ではなく、まだ知られていない解Xを求める”計算”である。