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演繹定理とドモルガンの法則

これまでの内容については、
電流が流れるか流れないか学(電流学)|カピ哲!|note
をご覧ください。


 演繹定理とは以下のようなものである。

 Γ, A⊢C ⇔ Γ⊢A→C

(戸田山和久著『論理学をつくる』名古屋大学出版会、256ページ)

Γは論理式の集合、A、Cは論理式、Γ, A⊢Cとは、ΓとAを前提として(ΓとAを仮定して)Cが演繹可能、という意味である。
 電流学ではより具体的に直接的(?)に、(Γ∧A)→Cと表現する。既にV除去その他の説明においてそのように取り扱ってきた。そして実際、実質的に同じことであるように思える(ひょっとして同じにならない場面があるのかもしれないが、少なくとも電流学においては考慮する必要がなさそうである)。
 ここではV除去の公理を題材に演繹定理を説明してみる。(A→B)≡(¬A∨B)、そしてドモルガンの法則を用いている。

① ((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))→C
   ¬((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))∨C
② ¬((A∨B)∧(A→C))∨¬(B→C) ∨C
   ¬((A∨B)∧(A→C))∨(¬(B→C) ∨C)
   ((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)

・・・この証明は上から下の方向のみでなく、下から上の方向においても有効である。トートロジー(として同値)を維持しながら論理式の形態を変化させているだけだからだ。上記①と②の回路図を下に示す。

図32 ((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))→Cまたは
   ¬((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))∨Cの回路図

図33 ¬((A∨B)∧(A→C))∨¬(B→C) ∨Cまたは
   ((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)の回路図

同じような方法で、((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)を(A∨B)→((A→C) →((B→C) →C))に変化させることもできる(もちろん逆方向も可)。
 これはV除去の回路のみでなく、(A∧B∧C∧D∧…∧Y)→Zのような形態ならば常に適用可能である。

(A∧(A→B)∧(A→(B→C)))→C
¬(∧(A→B)∧(A→(B→C)))∨C
¬A∨¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨C
¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨¬A∨C
¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨(¬A∨C)
((A→B)∧(A→(B→C)))→(A→C)

・・・このように右側に移動する論理式はA、(A→B)、(A→(B→C))のどれを選んでもかまわない。

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