演繹定理とドモルガンの法則
演繹定理とは以下のようなものである。
Γは論理式の集合、A、Cは論理式、Γ, A⊢Cとは、ΓとAを前提として(ΓとAを仮定して)Cが演繹可能、という意味である。
電流学ではより具体的に直接的(?)に、(Γ∧A)→Cと表現する。既にV除去その他の説明においてそのように取り扱ってきた。そして実際、実質的に同じことであるように思える(ひょっとして同じにならない場面があるのかもしれないが、少なくとも電流学においては考慮する必要がなさそうである)。
ここではV除去の公理を題材に演繹定理を説明してみる。(A→B)≡(¬A∨B)、そしてドモルガンの法則を用いている。
① ((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))→C
¬((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))∨C
② ¬((A∨B)∧(A→C))∨¬(B→C) ∨C
¬((A∨B)∧(A→C))∨(¬(B→C) ∨C)
((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)
・・・この証明は上から下の方向のみでなく、下から上の方向においても有効である。トートロジー(として同値)を維持しながら論理式の形態を変化させているだけだからだ。上記①と②の回路図を下に示す。
図32 ((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))→Cまたは
¬((A∨B)∧(A→C)∧(B→C))∨Cの回路図
図33 ¬((A∨B)∧(A→C))∨¬(B→C) ∨Cまたは
((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)の回路図
同じような方法で、((A∨B)∧(A→C))→((B→C) →C)を(A∨B)→((A→C) →((B→C) →C))に変化させることもできる(もちろん逆方向も可)。
これはV除去の回路のみでなく、(A∧B∧C∧D∧…∧Y)→Zのような形態ならば常に適用可能である。
(A∧(A→B)∧(A→(B→C)))→C
¬(A∧(A→B)∧(A→(B→C)))∨C
¬A∨¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨C
¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨¬A∨C
¬((A→B)∧(A→(B→C))) ∨(¬A∨C)
((A→B)∧(A→(B→C)))→(A→C)
・・・このように右側に移動する論理式はA、(A→B)、(A→(B→C))のどれを選んでもかまわない。