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想像するのが好きだという話
私はごく一般のサラリーマンの家庭に育った。
進学に私立の大学は断念させられたが、生活に困ることまではなかったと思う。
でも、どうしてもあれが欲しい、これが欲しい、とは言えない、子供ながらに親にも気を使っていたのを覚えている。
友達の家に行くと、色んな可愛いおもちゃや文房具、家具などがあった。うちには無い、とても羨ましくなるソレがあった。
でも、親に欲しいなどど言ったことはなかった。
言えない代わりにすることは、想像すること。
私がソレをもっていたら…
ここに置いて…
こう使って…
こうやって…
大事にするかなー…なんて
想像して遊んだ。
ん?遊びというのか?
想像する時を過ごすのが好きだった。うん、これだな。
ドラマを見たり、本を読んだりして、主人公の気持ちになったり、また色んな登場人物の気持ち、目線になったり、はたまた、話の続きを考えたり…
そんなこともよくやっていた。
そんなことを考えるのが好きだった。
いや、未だにそんなことをしている自分がいる。
やばい。
成長していないなぁ。。。
さてさて。
そんな私に、
コレいらないでしょ!という瞬間があった。
* * * * *
連休。
大きな陶器市に行った、その出先での出来事。
このお茶碗に真っ白なご飯をよそったらとっても美味しそう♡
この器には天ぷらが映えそう♡
このプレートの中央にお料理をのせて、ここにソースをちょん、ちょん、と垂らしたらどうだろう♡
このカップで飲むコーヒーは渋くてほろ苦くて、私好みの味にしてくれそうだな♡
と、最初はそんなに乗り気でなかった私が、どんどんのめり込んでいった頃、とあるお店で目にした物に、とんでもなくガッカリしてしまったのだ。
なんとなんと!
食品サンプルがのっている!
これには正直参ってしまった。
ごめん。このお店の器、どれを見ても欲しくない。。
なぜなら、想像ができない!
この器に何をどう盛ろうかと想像するのが楽しかったのに、それが出来ない!
グスン。
こうなってしまうのは私だけなのかしら。。。
食品サンプルがあるお陰で、なるほど、こういう使い方ができるんだ、そうほとんどの方は思われるのでしょう。でも、私にはソレが徹底的に要らない。
想像の余地のない物は欲しくない。
きっと、わからない人にはこの気持ち、分からないのかもなぁ。。。
知ってる。私、自分が変わり者だってこと。
子供の頃から気づいてた。
だから、自分の発想を人に押し付けたりしたことは多分ないし、人と違っても、まぁいいか、とずっと思ってきた。
でもね、ごめんなさい。
食品サンプルだけは解せなかったの。
私の中で、どうしても。
ごめんね。