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麻子ちゃん

本好きな子どもに育てたかった私。
なんでだろう。
別に私が特別本を読む子ではなかったのに。1つ思い出す憧れていた人。本好きな友達。そう、その友達が好きだったな。

もうオタクと自他ともに認め、決して自分から人を寄せ付けない人だった。周りに居るのは、そこにいて居心地のいい人、相手ができる人だけって感じで。その友達の全部を受け入れられる訳では無かったけど、どうしてかよく一緒に遊んでいた。

けいちゃんは優しいから、私に合わせてくれる。
そんなことも言われたっけな。

私は別にそう思っていた訳じゃなく、その友達の創造性が好きだった。夢見る夢子ちゃんな感じの。一緒にいると、色んなものを作って遊んだ。色んなことを知っているその友達が好きだった。

麻子ちゃん。久しぶりに思い出した。
麻子ちゃんのお父さんは文房具の卸し会社に勤めていて、色んな文房具を持っていた。折り紙はうちにあったけど、当時、色のついた画用紙が家にある所はあまり無かった。今では簡単に百均に行けば買えるけどね。トレーシングペーパーは、好きな絵を上からなぞることができる夢のような紙だと思っていた。そんな紙を教えてくれたのも麻子ちゃん。

お家に行けば、沢山の本があって、整理された机の上には夢のような文房具が揃っていて。その空間に行くのも好きだったな。

中学生になって、お父さんの仕事の都合で引っ越して行った麻子ちゃん。
ああいう性格だったからか、随分後になってあまり馴染めなかったと聞いた。でも、私も麻子ちゃんも、学校は違うけど同じ美術の方に進学したと聞いた時はすごく納得した。

そうかあ。やっぱりなぁ。

きっと、お互いにそう思ったんじゃないかな。

楽しかったよね。
色んな物を作って遊んだ。
一番多かったのは、きせかえ人形。
雑誌の付録に付いてくるような人形を描いて、その人形に好きなお洋服を着せた。お互いに趣味が違って、自分にはないものねだりな物が出来上がって。そしてお互いにお互いの作り出す物に憧れていた気がする。

母の日や父の日には飛び出すメッセージカードを作ったり、カーネーションやバラの花も立体で作った。

何となくお互いに惹かれあって、休みの日には朝から電話して遊ぼう!って約束して。

麻子ちゃんのお父さんやお母さんにも可愛がってもらったな。そして、色んなこと教わったな。

大切な時を過ごしたこと、ふっと思い出した。

麻子ちゃん、元気かな。



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