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2023年Angels注目選手紹介 アンソニー・レンドン


1. はじめに

2023年、エンゼルスの注目選手を紹介していくnote連載記事シリーズ、1番最初の注目選手に選んだのは、アンソニー・レンドン選手です!なぜレンドンでスタートするのか?その理由はシンプルで、レンドンが試合に出場すればするほど、エンゼルスには勝利のチャンスが増えると考えられるから。昨年の2022年シーズン、レンドンが試合に出場した際のエンゼルスの成績は26勝21敗でした。2021年も、彼が出場した試合のトータルは33勝25敗。なんと、2年ともシーズン全体では負け越しているエンゼルスですが、レンドンがフィールドにでている限りにおいて、勝ち越しているんですね。


とはいえ、レンドンは昨年、一昨年と50試合程度の出場に留まってしまっていますから、これを倍以上、少なくとも120試合くらいに出場してくれれば、ここ一番での勝負強い打撃と華麗なグラブ捌きで、チームをプレーオフ圏内へとプッシュしてくれるでしょう。大谷翔平選手の勝利数や、打席で勝負してもらえる回数を増やすためにも、やはりレンドンの活躍はチームに欠かせませんよね。


さて、今回この記事で、注目していくのは、経歴や成績、データ、プレーにおける技術面の指摘、、そのどれでもありません。そうした情報は、レンドンのWikipediaを読めばある程度把握できますし、細かいプレー面の指摘は解説の方のほうがよっぽど知識がありますので…。そこで、KKがこの連載を通して注目していきたいのは、ズバリ、「人柄」。その人物が、どんな思考をして、どんな性格で、どんな風に試合に臨んでいるのか?言語の壁を越えて、それを知ることで、皆さんがエンゼルスの試合を見るのがもっと楽しくなれば良いな、と考えるからです。大谷翔平選手だけでなく、チームメイトの性格にまで詳しくなれると、試合を見るのがより楽しくなること間違いなしですよ!さて、前置きはこの辺にして、早速本題にLet’s Go!



2. レンドンの登場曲の和訳紹介

まずは、レンドンの2022シーズンの登場曲、Damian Marleyの「Welcome to Jamrock」の和訳の紹介から入っていきたいと思います。登場曲は、選手自身が選曲する場合が多く、選手の性格や好みが現れるので、人柄を知るのにはもってこいです!


“Welcome to Jamrock” by Damian Marley

“Out in the street, they call it murder”

「ストリートでは、このサウンドを殺人的だと言う」

“Welcome to Jamrock Camp whe' the thugs dem camp at”

「Jamrockへようこそ ホントの悪い奴らが集まる場所さ」

“Two pound a weed inna van back It inna yuh hand bag, yuh nap sack It inna yuh back pack”

「1キロものクスリが車の中、ハンドバックに、ナップサック、リュックにも」

“The smell a give yah girlfriend contact”

「その香りだけで彼女までハイにさせてしまう」

“Some bwoy nuh know dis Dem only come around like tourist”

「チンピラたちはそんなことも知らない、俺たちの場所に、観光客みたいに立ち寄るだけだからな」


…さて、実際に聞いて、歌詞を確認した皆さんの反応はいかがでしょうか?KKが真っ先に感じたのは、レンドンらしいチョイスだなぁ、と。闘争心がたぎるような曲でもなければ、ノリノリのエレクトリック・ミュージックでもないし。歌詞も野球と全然関係ない。でも、気怠さのある曲調の中には、どこかレゲエ風のノリと熱さも感じます。何度かYouTubeの動画を見ていたら、打席にゆっくりと歩いて向かうレンドンに、ピッタリな曲なように見えてきました。カッコイイ。


実は、これから注目していくレンドンの人柄も、まさにこの曲のよう。一見ダルそうに、クールな感じで振る舞っているけれど、実はおもしろくて、優しくて、家族思いな一面もある、そんな人なんです。



3. レンドンの性格①(実はクールなのにおもしろい!?)

さて、エンゼルスファン、大谷選手のファンの皆さんは、レンドンについてどんなイメージを抱いておられましたか?2年連続での、シーズン途中での故障離脱となってしまったことで、寡黙そうとか、やる気がなさそう、と思っておられる方も多いんじゃないかなぁと存じます。一方で、昨年のマリナーズ戦での乱闘の際には、腕にギプスをした状態なのにもう片方の腕でパンチを繰り出し、出場停止に。あの姿に驚いた方も多かったはずですよね(笑)。


今回、この記事を執筆するために、レンドンのインタビュー動画をかなり視聴したんですが、イメージとはかなり違う感じの人で、良い意味で驚かされました!意外と、とても率直に受け答えをする方で、ジョークも交えためちゃくちゃ面白い瞬間がいくつもありました。まずは、KKが個人的に笑ってしまったレンドンの受け答えを2つ、以下で紹介しますね。


・Masn (Nationalsのメディア)による、4年前のインタビューより①

(*FAでエンゼルスに移籍する前、ナショナルズ時代のものです)

インタビュアー「オフシーズンでは、どんな風に過ごしていましたか?」

レンドン「しっかりとした”オフシーズン”を過ごしたよ。MLB関係のTwitterでは、#オフシーズンなんてない とか言って練習してる姿を投稿する人たちもいるみたいだけど、馬鹿げてると思う。だって、自分はソファに腰掛けて、”オフシーズン”を過ごしたからね。」

インタビュアー「そう言いつつ、しっかり練習したのは知ってますよ?(笑)」

レンドン「うん、したよ。」


・Masn (Nationalsのメディア)による、4年前のインタビューより②

インタビュアー「Nationalsとの契約延長については、どうですか?」

レンドン「自分は関係しないようにしてるよ。エージェントに全部任せてる。前に言ったみたいに、学校からドロップアウトしたから。だからエージェントを雇ってるんだよ。もし卒業してたら、そんな必要なく、自分でできてたかな。」


…( ゚д゚)。どうでしょうか?なかなか文字だけでは伝わらないと思いますが、とにかく、めちゃくちゃシュールです。そして、答えがストレート。レンドンが、実はポソっとおもしろいことを言うタイプの人だと知らなければ、ものすごい問題発言にも聞こえてしまうような危ない発言でもありますが、冗談だと分かった上で聞けば、なかなか味がある受け答えのように思えてきませんか?(笑) 個人的には、レンドンのユーモアセンスが大好きになりました。


でも、こうしたある意味率直すぎる受け答えが、メディアに悪用されて、レンドンは何度かトラブルにあったことも。それが故に、レンドンはメディアを極端に避けるようになってしまいました。次の章では、レンドンとメディアの関係について取り上げます。

(この章で参照したインタビュー動画はこちら→『Anthony Rendon joins "MASN All Access" in West Palm Beach』


4. レンドンの性格②(カメラから逃げる!野球が嫌い?ではなく、メディアが嫌い!)

『レンドンは野球が嫌い。』もしかしたら、エンゼルスファンの方の中には、この噂を聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか?これは、レンドンの発言が曲解して伝わったもので、事実ではありません(!)。


レンドンが言ったのは、「テレビで野球を見るのは、長くて、退屈」だから、「オフの時間に、野球はテレビでは見ない」。この発言が、文脈を踏まえずに『レンドンは野球が嫌い』という方向でメディアによって拡散され、広まってしまったため、レンドンにそうした悪評がついて回ってしまうようになったようです。この記事が出たのが、2014年、この時レンドンは24歳でした。


(それって結局、「嫌い」と同じような意味では?と思う方もおられるかもしれませんが、思い出してください。レンドンはとても率直に、ストレートに質問に答える方。おそらく本人としては、聞かれた通り質問に答えただけなんだと思います。それが、予期せぬ形で広まったと。いつも当たり障りのない回答をしたり、リップサービスをしたりしないのも、ある意味では彼の個性であり、素敵なところではないでしょうか?)


その後も、「レンドンは打順にこだわりがある」と言う噂がメディアを中心にして出回ったりと、レンドンとメディアの関係は良好なものとはならず…。そうした経緯もあり、レンドンは、極端にメディアを避けるようになったようです。レンドン本人は、インタビュー内で以下のような発言をしていました。


・Masn (Nationalsのメディア)による、5年前のインタビューより

インタビュアー「MLBでの数シーズンを過ごしてみていかがですか?夢が叶ってる感じ?」


レンドン「そうだね。注目されるようになって、悪評が立ったりとか、問題もあるけど。」


インタビュアー「注目されるのがお好きじゃないですもんね。」


レンドン「そうなんだよ。だから、良いことが起きると悪いこともあるし・・。」


インタビュアー「メディアも全てが悪ではないですよ?」


レンドン「全部ではないけど、いくつかのメディアは酷いんだよ。だから、メディアの取材から逃げるんだけど。でも、毎日試合があって、たくさんのファンの皆さんの前でプレーできて、楽しいし、エンジョイしていきたいと思う。」


こうした発言からも分かるように、レンドン自身は、野球をファンの前でプレーすること自体は好きで、むしろ彼が嫌いなのは「メディア」と言っても過言ではないかもしれません。ナショナルズでワールドシリーズを制覇した2019年には、なんとシャンパンファイト中のインタビューからもスッと逃げていました。


ちなみに、前述の2つの噂(野球が嫌い、打順にこだわりがある)は、レンドン本人によってどちらも否定されています。ナショナルズでのワールドシリーズ制覇後、ファンの前で「I love baseball.(野球が大好きだからね。)」と笑顔で発言し、打順についてもインタビューの中で「ラインナップの中でどこで打つかの好みなんて全くないよ。何回も言ってるけど、バットが手の中にあれば、それでハッピーだから!」と笑って否定しておられました。


こうして見ていくと、如何に、本人の発言が切り取られてメディアによって拡散されいたのか分かりますね。せめて、この記事を読んでいただいた方には、悪評によるレンドンのイメージが払拭されていることを祈りたいです。率直すぎる発言をするけれど、ユーモアセンスがあって、とても面白い方なので!

(この章で参照したインタビュー動画はこちら→『Anthony Rendon sits down to discuss his journey』)

5. レンドンの性格③(オールスターよりも子ども好き?優しい一面)


さて、『野球が嫌い』の他に、もう一つ、『レンドンはオールスターに選ばれたのに、面倒でサボった』と言うものを聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか?これも、事実ではありません


正しい事実は、確かにレンドンは持ち前のユーモアセンスで「行きたくない」みたいなことを言っていたけど(ここまで読んでくださった方なら、これが彼の冗談だと言うことが分かると思います)、最終的には参加したいと言う気持ちも芽生えて、本気で悩んだ。だけど、故障もあったので、結局辞退することとなったそうです。


さらに、そのオールスターの期間にはなんと、休んでいたわけではなくて、ナショナルズのキッズ・ベースボールアカデミーに参加して、地域の子どもたちに野球を教え、一緒に時間を過ごす活動をしていたとのこと。飛び交っている噂からは信じられないかもしれませんが、レンドンは、コミュニティ参加活動にも熱心なようです。


その活動ぶりは、ナショナルズのオーナー、ラーナーさんに「彼は野球界でもすごい選手の1人だが、それよりも、立派な人なんだよ。アカデミーでの活動は驚くほどで、しかもそれを注目を浴びないようにやっている。彼にとっても、大事な活動なんだろうね。プロのアスリートの振る舞いとして、とにかく素晴らしい例だ。」と称えられるほど。


レンドン本人は、インタビューでこの活動について尋ねられ、「子供たちにポジティブな影響を与えられたら、と思ってやっているよ。彼らと会って、今は厳しい状況にいても、ポジティブな未来が待っていると言うことを伝えたい。優しい周りの人たちと、サポートシステムがあれば、どんな状況でも成功することは可能だと思っているんだ。」と語っていました。


こうした社会貢献活動は、あえてメディアに出ない形でやることを好む4大スポーツのアスリートも最近は多いように感じています。その中でも、レンドンがそんなに熱心だったとは。KKもこうして記事を書くために調べなければ、知ることもなかったと思います。なんとも素敵な人柄が、この記事で少しでも伝われば嬉しいです。


さて、そうしたレンドンの優しさは、どこから来ているのでしょうか。インタビューの中で、こんなやりとりもありました。

インタビュアー「大学を決めたのは、家族と近くにいたかったからですか?」

レンドン「それも理由の一つだったかな。みんな家族や友達の前でプレーしたいものだと思うし。家族はそんなに裕福だったわけじゃなかったから、遠い大学だと試合を見に来るのも大変だったはず。家族はずっと自分を支えてくれたし、高校まで99%、100%に近いくらい試合は見にきてくれていたから、実家に近いのは良かったよ。」


…もしかしたら、家族から受けてきた愛情が深かったからこそ、現在の活動にも繋がる優しさがあるのかもしれませんよね。そんなレンドンも、今では2人の娘さんのお父さんだそう。現役生活を終えた後は、きっと家族のためにたくさんの時間を割かれることだろうと思います。

(この章では、既に記載したインタビューに加えて、以下の記事を参照しました。)
Jamal Collier記者 『Rendon's ties to Nats Youth Academy run deep』 MLB.com
NBC Sportsの記事『all-star Anthony Rendon wasn't cleveland brought midsummer classic nats youth academy


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