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我が青春のJ-POPプレイリスト②~カセット、MD、そしてサブスク~

 プレイリスト作りに必要なのは、何と言っても音源だ。どうせ聞くならば、AMラジオからカセットテープへ落とした“ロックアイス〆”のような生温い音源ではなく、“漁港直送“の如く最高鮮度を保った音源を望みたい。

 J-POP全盛期('90年代後半)、10代が入手可能な最高鮮度の音源は紛れもなくCDだった。ただ、プレイリストとして聞くためには曲順編集の過程を経ねばならず、CD(CD-R)がその役割を果たすのはほんの少し後の時代となる。

 では当時、一体どんな媒体で流行曲を追っていたのか。生涯で初めてプレイリスト作りに勤しんだ1995年夏、音楽を録音するといえばカセット一択だった。レンタル店で8cmCDシングルを借りてきて、CDを再生すると共にカセットの録音ボタンを押すという実にアナログな手業でJ-POP黄金期の名曲たちを仕留めたものだ。気分だけはまさにレコーディング・エンジニア。

 1998年夏、我が家のCDラジカセがMDコンポへと大型アップデートされた。CDからの録音はボタン一つで完結し、自由自在に曲順を変更でき、曲に名前も付けられるようになったのだ(カタカナ・英字のみだが)。何よりも音質が安定したので(カセットの場合は何百回も聞くと擦り切れていくので、音質が劣化してしまう)、シャレオツなデザインと相まって、すっかりMDの虜になっていき、気が付けば“お耳の恋人”へと昇格していた。

 この頃になると、CDシングルを片っ端からTSUTAYAで借りてきて、2か月毎にMDを一枚作成するのがルーチンワークとなっていく。そしてそのMDを毎晩必ずヘッドホンで聴きながら寝て、夢の中で一日の思い出と音楽たちが強固に紐付けされていった。

 …ということは、「あの頃の夢よもう一度」でMDでプレイリストを作るということか!?物事はカタチから入ることが大事と言うし、確かにMDで作れば青春のエネルギーが沸き立ってくるかもしれない。でも…思い出の曲たちを全てCDシングルで捕捉してMDに完パケするのはあまりに非現実的だ。

 もう大人になったのだから、文面の利器を使おうではないか。ここで“音楽界の黒船”ことサブスクリプション様に登場してもらおう。かつてのCDシングル一枚分の料金を支払えば、無限に曲を聞くことのできる革新的サービスは、音楽を聴くというライフスタイルを根本的に変革した。店へ行かなくたって、車の中でだって、いつでもどこでも、好きなだけ音を浴びられる。

 決めた。サブスクを使って、過去の名曲をリストアップしていこう。
 出来るだけ、たくさん。出来るだけ、当時のままで。

 「当時のままで」の意味は、可能な限りCDシングル音源で氷結することだ。シングルバージョンで収録されているアルバム音源でも、フェードアウトの秒数までも同じであるとは限らない。飽くまでも「CDシングル音源」原理主義でプレイリストを貫きたい。

 あとはもう実行あるのみだ。

 

 

 

 

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