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Magic 2024

 涼しくなってきた。うん、嬉しい。とにかく、嬉しい。

 この夏の猛暑を思うと、今年はクリスマス直前まで南国気分なのかと勝手に絶望してしまったのだが、春夏秋冬は品行方正な我々を決して見捨てなかった。だけども、いくら酷暑が続いていたとしても、夏が終わるっていうのは、一抹の寂しさを感じてしまう。

 そういえば『稲村ジェーン』のサントラCDの最後の最後に、
      「暑かったけど、短かったよね、夏」
と清水美沙が呟く約5秒のフレーズがあったような。いつの時代も夏は物語を紡いでいく大切な瞬間のコンティニュアム。夏は永久ループで経験できるわけではなく、誰にだって100回あるかないかの有限な存在であり、だからこそ"全集中"で楽しみ尽くさなければ…

 …今年の夏は小生ライフの中でも過去イチ動き回った日々だった。休暇日数は例年と変わりないものの、本格的にstay homeではなくなったせいか、「あたち」改メ「た氏」は文字通り全速力で駆け抜けていった。

 そんな「た氏」に夏休みの思い出を聞いてみよう。いや、ディズニーシーのパレードを最前列で見たとかドジャー・スタジアムで大谷に手を振ったらホームランを打ってくれたとか言わなくても別に大丈夫だからね(注:経験していません)。

「とうきょうすかいつりーでぽけもんをみたこと」

 あれだけ行きまくって、そこかよ!!しかもスカイツリーには登頂していない上に、ポケモンはソラマチのサーティワンで買ったにすぎないし、もっといえば駐車場をケチるために、わざわざ曳舟に車を停めたのに、本人曰く最も印象に残っている「夏」のようだ。

 改めてスカイツリーを体験した日の出来事を思い出してみる。夏の日の土曜日、特別な日ではない夕刻、た氏は曳舟から電車に乗って、スカイツリーの近くに降り立ち、自分の身長よりも遙かに高いスカイツリーを見上げながら、パーフェクティブな神々しさに目を奪われていた。

 自宅からスカイツリーを見ることはできないため、確かに"非日常"である。池袋のサンシャインシティでプリキュアのイベントを見た後、どこへ行こうかと話していると、ふいにスカイツリーの話になったものの、チケットは既に完売していた。それでも雰囲気だけを味わいたくて、春日通りをひたすら東へ車を走らせていく。

 スカイツリーの入口付近にある「庭」に近付くと、雰囲気がインターナショナルっぽさを帯びてくる。なんだか楽しそう。よくわかんないけどみんなが笑顔になっている。何かが発火すると今にもフラッシュモブが始まりそうで、マグマのような地熱が身体に纏わり付いてくる。

 た氏はただ茫然と立ち尽くしていた。宇宙が好きなだけに、スカイツリーを宇宙へ続く階段と捉えたのだろうか。それとも、大人たちが繰り出すエンタメナイトに自身の未来を重ね合わせたのだろうか。

 彼女に聞いても明確な答えを教えてくれない。
 こどもだけにわかる世界観。10年後、もう一度聞いてみよう。


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