2020年2度目の『こころ』の授業
今年2度目になる、『こころ』の授業が終わりました。
1月から2月にかけて、前年度の最後の教材として扱ったことを、以前のブログでご紹介させていただきました。退職前のことです。
今年度の2年生は、2学期後半に扱うことになったので、なんと1年に2回、『こころ』の授業をすることになりました。
これまでに何度も『こころ』の授業をしてきましたが、限られた授業回数の中で時間に追われ、十分に思いを伝えきれなかったような気がしています。
今回もやはりギリギリの状態になってしまいましたが、次の2点に絞って、私からのメッセージを伝えました。
一つは、「誰が悪い」という受け止め方で終わらせないでほしいということ。
長い人生の中には、意図せずして誰かを傷つけてしまったり、或いは、自分が傷ついてしまったり・・・ということもあるものです。
さまざまな可能性に想像力を働かせながら、この作品を読み、感じ取る姿勢を持ってほしいということです。
あくまで『こころ』という作品の味わい方についての話ですが、「私(先生)」が悪い、「K」が悪い、「お嬢さん」に問題がある・・・などという捉え方をすると、話はそれで終わってしまいます。
それぞれの登場人物のあり方や思いを想像しながら読み進め、さらに、明治という時代性も考慮に入れつつ読んでみると、また違った見方ができるように思います。
そして、もう一つのメッセージは、作品の読解としてではなく、これからの人生を歩んでいく高校生に向けてのメッセージです。
これからの人生の中でいろいろな場面に出会い、いろいろな思いを抱く経験をするであろう彼らに、心に留めておいてほしいのは次の言葉です。
「それでも私(僕)は生きていく!」
辛いこと、嫌なことも時間が経てば通り過ぎて行くと信じて、前に進み続けてほしいと伝えました。
誰にとっても、特別な経験をした1年として、2020年は心に残る年となることでしょう。決して楽しい思い出にはならないかもしれませんが、これを一つの経験としてこれからの人生を切り拓いていってほしい!!と切に願います。
2021年が、彼らにとって、そして、これを読んでくださっている皆さんにとって(もちろん、私にとっても)、明るい幸せな1年となりますように心から祈ります。