『春暁』ーー気になる桜
土曜夜から日曜にかけての雨、春の嵐とも言われていましたね。
皆さまがお住まいの地域の桜の様子は、いかがでしょうか? 例年よりも早く咲きそろった桜、雨や風に負けていないかと心配になりますね。
今日は、お馴染みの『春暁』をご紹介します。
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春暁 Chūnxiǎo
孟浩然 Mèng Hàorán
春眠不覚暁 Chūnmián bùjué xiǎo
処処聞啼鳥 Chùchù wén tí niǎo
夜来風雨声 Yèlái fēngyǔ shēng
花落知多少 Huā luò zhī duōshao
【書き下し文】
春暁
春眠暁を覚えず
処処啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落つること知る多少ぞ
【詩の形式】
*五言絶句
*押韻・・・暁・鳥・少(五言詩ですが、一句目末も押韻)
【桂花試訳】
春の朝、うっかり寝過ごし、夜明けを知らず
いつのまにやらあちこちから鳥の声が耳に届く
ああ、一晩中聞こえた雨風の音
庭の花はどれほど散ってしまったことだろうか
【作者】孟浩然(689~740)
盛唐の詩人。襄陽(じょうよう)(湖北省)の人。
科挙の試験に合格せず、仕官することは無かったが、40歳の時に都に出て、10歳ほど年下の王維や李白などとも親交があり、慕われていたとのこと。
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仕官していないために、朝もゆっくり眠っていられたという説もあり、心地よく「春眠」を貪っていた訳ではないのかもしれません。
そうした作者の思いから今少し離れてみると、夜の雨風にハラハラする、この季節特有の心配がぐっと身近なものに思われますね。
雨風に堪えて頑張った桜もあるかと思います。今しばらく、春を味わいましょう。
【参考書籍】
①『漢詩一日一首(春)』一海知義著 平凡社ライブラリー
②『漢詩入門』一海知義著 岩波ジュニア新書
③『図説漢詩の世界』山口直樹著 河出書房新社
④『唐詩選(二)』 高木正一著 中国古典選26 朝日新聞社
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