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ヘルスケア・アート
昨日、2月22日(土)は「ヘルスケア・アートの日」というオンラインのイベントに参加しました。
実は、この日は早朝から秋吉台カルスト大地の「山焼き」というイベントに向かう予定でしたが、天候不順のため延期になりました。毎年2月中旬に予定されているのですが、天候不順や山のコンディションが良くないと開催できず、よく延期になります。今年の最初の開催予定日は2月15日(土)でしたが、天候不順で延期、2月22日も開催できず。実はこのnoteを書いている2月23日(日)も積雪のため延期になりました。
ご興味にある方は以下をご参照ください。
さて、2月22日に山焼きが開催されなかったため、7時過ぎに頭がボ〜ッとしながらどうしようかなと考えていたところ、前々から事前申し込みをしていた「ヘルスケア・アートの日」に参加できることを思い出しました!
この「ヘルスケア・アートの日」は、2018年頃から名古屋市立大学の鈴木賢一教授を中心に発足され「文化庁 大学における文化芸術推進事業」に採択された「なごやヘルスケア・アートマネジメント推進プロジェクト」が設定した記念日です。事業の発足からシンポジウム、講座、ワークショップなどが活発に開催され、日本や国外のヘルスケア・アートを監修した冊子の発行もされています。私は2019年頃からオンラインで講座を受講し、ヘルスケア・アートに関する学びを深めることができ、ところどころで関係者の方々にお世話になっています。最初にこの活動を知った時に自分の母校だったので、少し運命的な出会いを感じてもいました。それから早6年ほどが過ぎました。
現代美術の国際舞台での活躍を夢見て日々、活動を続けてきましたが、ヘルスケア・アートに出会って大きく見方が変わった点があります。これまではかなり国際的な現代美術の動向というものに意識が向いていました。有名なアーティストやキュレーターの活躍や話題に目が向いていました。世界情勢や度肝をぬくようなアイデア、作品や展覧会の圧倒されるような規模感に魅了されていたと思います。
ただ、同時になかなか色々な問題や課題にも気づき始めていました。美術館やギャラリーなどでも働いていた経験があり、昔は環境建築などへインターンへ行っていたこともあり、展覧会ごとに壁面の設置や解体でかなりの廃棄物が出ることや作品の国際配送による膨大なエネルギー消費など。深く見ていくと権威やお金のことなども含め、国際的な現代美術の構造的な課題や問題に時より違和感を感じることもありました。
と同時に、地域の社会問題や課題を解決していくプロジェクトの素晴らしさにも触れてきていたので、これまで分け隔てなく地域住民を対象としたコミュニティー・ベースド・プロジェクトや学びの多い役立つアート・プロジェクトの視察や実践をしてきました。
そんな時にたまたま地元の建築士の方からご紹介していただいたのが、このヘルスケア・アートでした。先ほど、見方が変わったとお伝えした点に戻りますが、講座を何度か受講し、病院や医療施設などの現場で必要とされているのは、「患者さんやそのご家族、そして医療機関で働くお医者さんや看護師さんなどの心が安らぐもの」が必要ということでした。
病院や医療施設は大抵の場合、巨大な建物で多くの人々が出入りをし、専門的な医療機器や複雑な施術や薬の処方など、体や精神が弱っている人には不安を煽るものばかりです。そのご家族も家族の病状などで心配を抱えます。お医者さんや看護師さんも多くの患者さんの対応で多忙でストレスの多い時間を過ごす状況で、心が休まる時間や環境が大事だということでした。
また、患者さんやご家族、医療従事者の方々が抱えている不安やストレスをなんらかのかたちで表現し、共感してもらえることがそれらの人たちのストレス緩和になり、回復にもつながるということでした。
そういったことを理解した上で、超有名なアーティストで評価が高い作品を病院に飾ったからといって、必ずしも患者さんやご家族、医療従事者に好影響が出るとは限らないということが私のアートに対する見方の変化でした。というのも、この10年ほど国際展覧会を何度か見に行って、注目されていたものの多くが政治問題や歴史認識に関わるような作品やプロジェクトだった印象が強いです。国際展覧会なので、その開催されている時期の話題に対する国際的なテーマでアーティストや作品が選出されているので当然でもあり、比較の対象として適切ではないかともしれませんが、私の見てきた現代美術の動向の一つで、目指していた舞台でもありました。
なので、このヘルスケア・アート関係のことを知り、それ以降、新たな視点の一つとして掘り下げるようにしてきています。
そんな「ヘルスケア・アート」の記念日として、「ヘルスケア・アートの日」に開催されたオンライン・イベントに参加し、日本で活躍される様々なヘルスケア・アートの事例紹介を見聞きすることができました。
音楽を聴きながら絵画や壁画制作、体が不自由な子供達による体の絵の制作、障がい者のアートの展覧会や貸し出し、患者さんや介護者に優しい間接照明のあかり作品の数々、マスキングテープで院内の彩りを生み出す参加型プロジェクト、緩和ケア病棟の方の心に寄り添うアート、地域資源を活用した参加型コラボ・アート・プロジェクト、学生が高齢者の方を対象とした化粧品会社とコラボしたメイクアップ・プロジェクトなど。
どれも日常の一部に溶け込んだ役立つアート・プロジェクトの数々で、とても大きな学びになりました。また、こういった活動がさらに広がっていくことを期待しつつ、支援体制を整える参考に、若い世代の意見も聞くことができ、とても参考になりました。
3時間にも及ぶオンライン講座でしたが、それぞれ密度の濃い内容が短時間に凝縮され、集中して学ぶことができました。アートの有用性の理解をさらに深めることができ、とても嬉しいです。
みなさんもぜひ覗いてみてください。
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