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散水学
二十代の後半,ワシは千葉にある全寮制のカレッジにいた.
学内生活に必要な調理,清掃や営繕・農業など希望する「労作」に従事することになっていた.
ワシはボイラーの管理と,長老清野先生のもとで農業の手伝いをしていた.この時期,福岡正信:わら一本の革命.が話題になっていたので,サークルをつくり,空き地を耕したりもしていた.
さて,表題の「散水学」であるが,植物に水やりをする時,一箇所に一度に大量の水を撒くのではなく少しずつ場所をずらしながら,水をまき,またもとに戻って同じように時間を空けてながら水やりをするように教えられ,清野先生はこれを「散水学」と名付けていた.
いま,ワシは珈琲をやっているが,抽出の時には「散水学」を思い起こしながら湯を注いでいる.
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コーヒー粉と湯が出会った時,油分をもつ粉は湯を弾く.ゆっくりと湯が粉に含まれるまで待った後,湯を注いでゆく.
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